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夜明けの光を待つ  作者: 池田 ヒロ
第六章
76/112

これが夢であればこそ

[8944715-754486のデータログ]

SHARE[G]ID:G9995-389-2100

【ご協力ありがとうございました】

  先日は急な依頼を受けてくださってありがとうございました。

  使用許可証の資料を添付しておりますので、ご確認をお願いします。

添付資料:fijsgf5462

 s△SHARE[G]ID:G1616-515-7014

SHARE[G]ID:L”Suve”s-0042

【Re:ご協力ありがとうございました】

  こちらこそご利用ありがとうございます。


  ところで、個人的にお訊ねなのですが、

  勇者デアにご興味があるのですか?

  今の時代、ほとんどの方が信仰されていないようなので、

  こちらとしては少しばかり気になります。


  もしも、気分を害されたならば、

  この質問は無視していただいても構いませんので。

SHARE[G]ID:G9995-389-2100

【Re2:ご協力ありがとうございました】

  いいえ、気分は害されてはいませんよ。

  こちらとしては、〈SHARE〉に記載されていたもので

  昔、人を生命エネルギーの結晶へと変換させたという

  魔術工学の技術があるとか、ないとか聞いていました。

  しかしながら、どれほど昔からあるのか。

  それに至っては、全く存じないのです。

  それならば、太古時代、おとぎ話ほどの時代を

  遡ればあるかもしれない、そのような考えに至ったのです。

  以前、アルビオン王国で〈Suvi〉の発見時、

  古代魔術工学機器も見つかったとかで。

  もしかしすると、という淡い期待なのですよ。

 s△SHARE[G]ID:G1616-515-7014

SHARE[G]ID:L”Suve”s-0042

【Re3:ご協力ありがとうございました】

  なるほど、そういうことでしたか。

  確かに、そのような話がマキナ国あたりの神話にありましたね。

  ですが、そもそもの〈Suvi〉がいつの時代の代物であるのか、

  私たちにもわからないのですよね。

  資料に関して、リーキタス家に

  ほとんど返還しなければならなかったので、

  確かめようがないのですよ。


  実は、グローリアで新たに〈Suvi〉が発見されたようですが、

  それに関する情報も、制度や法律が変わってしまったので、

  彼らしか知らされないんですよね。

  結局のところ、報告だけだったので。

SHARE[G]ID:G9995-389-2100

【Re4:ご協力ありがとうございました】

  調査はできないのですか?

 s△SHARE[G]ID:G1616-515-7014

SHARE[G]ID:L”Suve”s-0042

【Re5:ご協力ありがとうございました】

  遥か昔に世界共通協約が結ばれてからは、

  〈遺跡協会〉がほとんど管理するというのではなく、

  その土地の所有者が管理することになりましてね。

  一体、誰がこんな協約をしたんだと

  少しばかり憤慨しているのですよ。

  元々、二つの〈Suvi〉が発見されたあの土地は

  すべてリーキタス家のものですし。

SHARE[G]ID:G9995-389-2100

【Re6:ご協力ありがとうございました】

  リーキタス家ですか。

  そういえば、彼らの息子さんたちが私の部下と親しいようですね。

  子どもたちならば、何かしら知っていますかね?

 s△SHARE[G]ID:G1616-515-7014

SHARE[G]ID:L”Suve”s-0042

【Re7:ご協力ありがとうございました】

  訊き出すことは難しいですよ。

  古代の情報に関して、門外不出の資料データでしょうから。

  こちらとしては、返還していないデータがある以上、

  あの子らも口は堅いはずです。

SHARE[G]ID:G9995-389-2100

【Re8:ご協力ありがとうございました】

  そうなのですか。

  それならば、口を割るというのではなく、

  その資料データを完全に手に入れる方法が

  あるにはあるようですが……。

 s△SHARE[G]ID:G1616-515-7014

SHARE[G]ID:L”Suve”s-0042

【Re9:ご協力ありがとうございました】

  それは、どのような方法ですか?

SHARE[G]ID:G9995-389-2100

【Re10:ご協力ありがとうございました】

  基本的に、グローリアでの習慣として、

  土地を持つ家は常に世襲制です。

  もしも、跡継ぎがいなければ、持ち主は国へ渡すか。

  あるいは、土地自体が遺跡なので、

  〈遺跡協会〉に保護してもらうか、ではないでしょうか。

 s△SHARE[G]ID:G1616-515-7014

SHARE[G]ID:L”Suve”s-0042

【Re11:ご協力ありがとうございました】

  なるべくならば、大事にはしたくありませんね。

SHARE[G]ID:G9995-389-2100

【Re12:ご協力ありがとうございました】

  軍の都合で逮捕できるならば、こちらにも、〈遺跡協会〉の方々にも

  彼らが悪いの一点張りができるでしょう。

  しかしながら、本当に難しい案件ですね。

  おかしなことを提案してしまって、申し訳ありませんでした。

 s△SHARE[G]ID:G1616-515-7014

SHARE[G]ID:L”Suve”s-0042

【Re13:ご協力ありがとうございました】

  構いませんよ。

  それでは記述の日程に回収しに来ますので、

  そのときはよろしくお願いします。


  -警告(SHARE[G]ID:G1616-515-7014)-

 他のIDへの過剰干渉をしています。他者のID干渉は法律により禁止されています。直ちに干渉を中止してください。


  -警告(SHARE[G]ID:G1616-515-7014)-

 あなたの他のIDへの過剰干渉が〈SHARE〉によって監視されています。

 急にモニター上に警告案内文がお見えとなる。ついに、バレてしまったのだ。慌てて、電子機器から手を引いた。それに、自分側のIDコードがバレてしまっている。ただ、これは私的物じゃない分、まだよかったのかもしれない。

 心のどこかで、現在地からの退却を薦めるような声が聞こえてきた。急いで電子機器の電源を消す。挿していた情報記録キーを抜き取った。


「ヤバい」


 始めはとある人物にちょっとした復讐をしようと考えていた。その人物の情報を集めるために、こうしてIDへとハッキングまでもしてみた。情報屋を雇う金はなかったから。だからこそ、ずっと前からその人物を電子機器で観察していた。それがついにバレてしまったのだ。

 とりあえずは、今いる場所から逃げることを先決とする。たくさんの電子機器がある部屋から脱出した一人の人物は誰もいない夜の廊下を素早く移動した。

 だが、あんなものを見てしまっては、徐々に足が止まっていく。


――一体、誰をそのように?


 自分がしでかしたことは、犯罪だと理解できているが、復讐を試みていた人物がしようとしていることも――結局は殺人、犯罪者と変わりないのではないだろうか。


――市民を守る立場のやつがねぇ……。


 そろそろ、過剰干渉をしてきたということで、追手がくるはず。止めていた足を動かすのだった。


――どうにも、こうにも、こっちが言い逃れできる証拠をもっと集めないと……。


 何だか、嫌な予感がする。

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