残像と光
まるで白い『闇』だった。
「うん―――?ここは?」
辺りを見回したが、何もないただ白いだけの部屋。アンジェリーナはその部屋には覚えがなかったが、どうしてここに来たのか思い出した。
(早く帰りたい)
アンジェリーナは一筋の光が差す方向を見つけ、それに向かって様々なことを考えながら走り出した。
『シュガトリ』における6人の攻略対象との問答の上、ヴァンゲリス宗主と対峙した。
その時に、自分がコレンス侯爵の娘でもなく、ベネディクト・コーレルの子孫でもないことが分かった。
ベネディクトから受け継いだ、というよりも新たな創造主としての能力を授かっているらしく、『世界』を統べる能力があるらしい。
「そんな能力要らないのに」
それよりももっと欲しいものはある。
名誉。
金。
恋愛。
―――――――――やりたいこと。
―――――――――――やりたいこと?
「そっか、ようやく見つけた」
自分のしたいこと。
侯爵令嬢、創造主後継者としてではなく、ただの『アンジェリーナ』としての自分を見てほしい。
誰かを守るためにも強くなりたい。
いろんな国を見聞して、トワディアンの役に立ちたい。
すべて自分ひとりじゃ成しえない仕事だ。
「もちろん、手伝うさ」
黒髪の国王が笑って手を差し出す。
「そりゃ、キュシーのためなら」
金髪の貴公子が招く。
「お手伝いいたします」
柔らかい物腰の騎士が敬礼する。
「当然、手伝うさ」
銀髪の同僚が隣に走る。
「あなたのためならば手伝う」
黒髪の皇太子もすでに迷いはない。
だったら、自分も。
「さあ、元に戻るわよ――――――」
だんだんと近づいてくる光がまぶしくても、決して目をそらさなかった。
「―――――――――」
青色を基調とした家具に囲まれた部屋。
こんどこそ、記憶にある場所だ。
ようやく戻って来たようだった。
「―――――――――おかえり、アンジェリーナ」
目の前の男性は泣いていた。その隣の女性も泣いていた。
「ただいま、お父様、お母様」




