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ゴジラ1.0 続編構想・『決戦都市・東京』総力戦

カクヨムに先行掲載しています。

兵器オタク的にはゴジラに人間ドラマは期待してないというか、むしろ邪魔?せいぜいが物語の進行役で良いと思っているので……自身の性癖をぶち込んだゴジラを書いてみました。

なお、ゴジラは時代が新しくなるほど手におえないというか(東宝神)の加護が強すぎてどうしょうもないので、せめて通常兵器でも知恵と勇気が有れば倒せる時代としました。

というか?ゴジラが神化しているのがおかしいので、怪物は人間の知恵と勇気で倒されるべきだと思いませんか?

――奴を仕留めた、というのは我々人類の傲慢な錯覚に過ぎなかった。


相模湾の深海に沈んだはずの、あの「孤島特異生物」。日本政府および連合国軍は、国境すら越えた執拗なまでの海底捜索と残骸のサンプリングを敢行したが、期待された肉片の一片、あるいは骨の破片すら、ついに発見することはできなかった。

それどころか、事態はさらに最悪の局面を迎える。大戸島や品川の陸上で極秘裏に回収されていた、奴のわずかな細胞組織――その「肉片群」が、隔離研究所の培養液の中で、物理法則をあざ笑うかのような異常な自己分裂を開始したのだ。


「驚異的、などという言葉では生ぬるい。これは単なる再生ではない。群体としての自己修復だ」


幸いにも、個々の孤立した肉片自体は、最先端の抗生物質や放射線照射、あらゆる科学的手段を試みるも、一定の質量に満たない検体はすべて1ヶ月ほどで細胞崩壊を起こし、黒い灰となって死滅した。

だが、この絶望的な研究報告は、裏を返せば、ある一定以上の質量を持った中核コアが海底に残存していれば、奴はいつでも「完全な姿」で復活・再生してくるという、非情な未来を指し示していた。


日本からこのプロジェクトに参加していた芹澤博士は、この恐怖のデータから、奴の異常なタフさの裏にある『限界』を冷徹に弾き出していた。


「諸君、絶望する必要はない。奴は不死身の神などではない。ただの、質量が大きすぎる獣だ」


芹澤博士は、GHQの戦略会議の壇上で、黒板に大きく数式を叩きつけた。

前戦での橘たちの『震電』による特攻、そして海防艦による局地戦。あれらの攻撃が通じていなかったのではない。

要は、奴の超再生能力という「燃費」に対し、我々の用意した兵器の「瞬間火力(エネルギー量)」が、奴の巨体に全く適合していなかっただけなのだ。

「一撃で肉体を消し去れないなら、動かなくなるまで超重砲弾を撃ち込み続ければいい! 身体の再生が追いつかないほど、骨を砕き、肉を削ぎ落とせ! 動きが止まっても、少しでも痕跡があるなら攻撃を続けるだけだ!」

壇上の芹澤の目が、狂気的なまでの執念でギラリと光る。

「弾を惜しむな! 時間を惜しむな! 痕跡が分からなくなったなら、次は工兵部隊の仕事だ! 瓦礫をどかせ! 土をさらえ! 総力を以て、奴をこの世から完全に消滅させればいい!」


「必要なのは、個の英雄ではない。奴の質量を圧倒する、飽和した『システムの暴力』だ」


会場は異常な興奮に包まれた。

各国の将星たち。彼らは奴の「理不尽な異常性 が分かるからこそ、芹澤博士のこの冷徹極まりないドクトリンが、彼らの軍人としての本能に深く突き刺さったのだ。ここに連合国は一丸となって、巨大生物の完全なる撲滅を決意した。


連合国は、芹澤博士のこの冷徹な戦術ドクトリンを採用。米ソ冷戦の火種を一時的に凍結し、この特異な生物の脅威を圧殺するための国家総力戦トータル・ウォーへと舵を切った。


提言を受けた連合国軍総司令部(GHQ)の兵器選定委員会。その司令部の壁には、大戦中のレーダー開発で知られるロバート・ワトソン=ワット卿の、あまりにも有名な金言が、冷たい真鍮のプレートに刻まれた。


『最善の兵器はついに完成せず、次善の兵器は間に合わない。戦場には、3番目に良いものを今すぐ送り込め』


新兵器の開発などという、時間がかかる博打は打たない。今ある最高の手札――第二次大戦という「人類史上最大の殺戮劇」を生き抜き、すでに実戦で証明されている既存の超重兵器群を世界中からかき集める。


兵器の目処は立った。問題は、どこを「キルゾーン(殺傷地帯)」にするかだ。

敵は政治も理屈も通じない野生の怪物。手がかりは皆無に等しかったが、各国の生物学者を中心とする科学者グループは、奴の「縄張り意識」に着目した。

奴があれほど執拗に東京を目指し、品川で死にかけるような目にあってなお、同じ海域へと戻ろうとするのはなぜか。そして再生が起きているとすれば、奴の肉体が砕け散った地――地形的に、あの湾内のはずだ。


「我々には、世界中に戦力を分散して勝てるほどの兵站ロジスティクスの余裕はありません。戦力を一地点に集中し、奴をそこに引きずり込む」


芹澤のこの発言により、全世界の超重火器の銃口は、日本の「東京」へと集中されることとなった。

東京。先の大戦の空襲から、ようやく復興の兆しが見え始めた矢先、あの怪物の銀座襲来によって再び灰燼に帰した、文字通りの「がれきの山」。

だが、だからこそ、これ以上ない完璧な舞台トラップだった。

奴に無茶苦茶に破壊された悲劇の首都は、今度は奴を、人類のテクノロジーで無茶苦茶にミンチにするための『巨大な屠殺場(要塞都市)』へと変貌する。


世界中から数千台の工事車両、コンクリートミキサー、そして民間の建築・土木のスペシャリストが東京へと送り込まれた。ビルのがれきはそのまま防弾用の土塁へと作り変えられ、地下鉄のトンネルは弾薬庫へと補強されていく。

要塞化していくその異様な威容を見て、兵士たちは誰言うとなく、そこを**『決戦都市・東京』**と呼んだ。


東京の地に部隊が集結しつつある頃、世界中の主要港から、巨大生物に有効とされた「化物兵器」の極東輸送作戦が始まった。

多少の不具合や損傷がある機材であっても、そのまま日本へ送ればいい。現地のベース・トーキョー(東京工廠)で直せば済む話だ。数ヶ月の修理が必要な兵器も、治り次第ピストン輸送する。奴の復活が明日かもしれない以上、兵站の集結は一刻を争う緊急事態だった。


ヨーロッパの港からは、かつてナチス・ドイツが開発した人類史上最大の地上兵器、80cm列車砲『ドーラ』と『グスタフ』が、専用の双線レールと共に解体され、超大型輸送船のデッキを占拠して日本へと向かっていた。地平線の彼方から、怪物の頭部を直接一撃で粉砕するための、7トンの徹甲弾が迫る。


イギリスのスカパ・フローからは、かつてドイツの超巨大要塞を叩き潰した、英空軍第617「ダムバスターズ」中隊の歴戦の爆撃機『アブロ・ランカスター』が、群れをなして極東の空へと飛び去った。その腹の下には、自重10トンに達する超巨大地中貫通爆弾『グランドスラム』と『トールボーイ』が、怪物を地中深くに埋め殺すために鈍い光を放っている。さらに、大戦の血煙を吸ったロイヤルネイビーの弩級戦艦群が抜錨する。すべては日本へ。


アメリカの本土からは、空を覆い尽くすほどのB-17、B-26爆撃機の大群が、太平洋の島々を経由して前線飛行場へと展開。陸軍からは、口径914mmという、もはや狂気の領域に達した世界最大の超重迫撃砲『リトル・デービッド』を筆頭とする重砲兵連隊が、東京の頑強なコンクリート砲座へと据え付けられていく。海軍は、アイオワ級戦艦を主力とした、16インチ主砲を持つ圧倒的な打撃艦隊を横須賀へと入港させた。すべては日本へ。


* **司令部:** 連合国軍総司令部(GHQ)直轄、東京要塞司令部

* **第1・第2・第3重砲兵大隊:** ドイツ製80cm列車砲、米軍914mm超重迫撃砲を運用

* **航空打撃旅団:** 英空軍第617中隊(グランドスラム装備)、米陸軍爆撃機群

* **東京湾防衛艦隊:** 米アイオワ級戦艦、および日海軍の遺産


そしてここ日本でも、かつて大戦の終結とともに解体を待っていた戦艦『長門』や、最後まで温存された連合艦隊の遺産――戦艦『大和』が、アメリカの最新鋭技術と潤沢な重油の供給のもと、驚異的な速度で「浮かぶ要塞フローティング・バンカー」として蘇ろうとしていた。主砲の46cm砲、41cm砲の照準は、完璧に東京湾の入り口へと固定されている。


(注)なお、これら日米の弩級戦艦群の役目は、奴に対する洋上での迎撃ではなく、「罠の口を閉じる蓋」であることを期待されていた。そのため、奴の進路上にいる場合は敢えて戦わず、道を開けて要塞内へと誘引するものとされた。真にその圧倒的な火力を解放するのは、奴が完全に陸上へ上陸してからである。

だが、日本海軍の残存艦艇には極秘の特攻命令が下されていた。万が一、奴が海上に逃れようとしたならば、その巨体に自らの艦を叩きつけろ、自らも一発の巨大な鉄の弾丸と化せ、日本海軍の最後の意地を見せよと――それは、やんごとなき身の方から直々に下された、血の滲むような密命であった。


もちろん、これら動く要塞群だけではない。連合国軍総司令部は、より緻密な『システム』を周辺海域に張り巡らせていた。

最も早い段階で完了したのは、三浦半島から房総半島を結ぶ、東京湾口への圧倒的な数の「機雷原」の敷設だ。数を揃えるために新旧問わずかき集めて設置されたこれらの機雷は、奴を爆殺するためではない。触海により奴の現在地を網羅する、巨大な「早期警戒システム(トリップワイヤー)」としての役割を期待されていた。


さらに、戦中に大量建造され、国内の各港に生き残っていた海防艦に、アメリカ製の民間用高性能無線機を強引に搭載し、周辺海域を遊弋させた。

これらの艦艇の任務は、機雷爆発の目視確認と、何よりも奴を引きつける『デコイ』である。巨大生物を発見次第、12cm主砲や機銃の全火力を以て奴を徹底的に挑発し、あるいは肉体そのものを盾にして、東京のキルゾーンへと引きずり込むという、生還を考慮しない決死の任務を帯びていた。「日本海軍の名誉のために、砕け散るまで戦え」という、あまりにも非情な命令であった。


万が一、日本以外の海域――あるいは大西洋やアメリカ本土の沿岸に奴が突然肉体を再生させて出現するという、最悪のケース(懸念)に備え、アメリカ空軍は最新鋭の超大型爆撃機『B-36 ピースメーカー』による「原子爆弾・常時空中パトロール」を開始。さらに、対潜核爆雷をフル装備した護衛空母群が、太平洋から日本海までのすべてをカバーする勢いで、海中の音源探知パッシブ・アクティブ・ソナーパトロールを展開していた。


(注)初めから核を使用しないのは、海中では効果確認が不明瞭なことと、陸上(日本本土)への使用に対して日本側が「これ以上の核攻撃が行われるならば、我が国はすべての協力を打ち切り、戦争をも辞さない」と猛烈な反対を示したために断念されたからである。そのため、連合国軍総司令部では、もし日本本土への誘致に失敗した場合、敢えて世界のどこでも良いから一度上陸させ、そこへ核を使う作戦が立案されていた。なお、その場合には、奴の再生能力を完全に絶つため、一度の爆発で終わらせず、爆心地に対して継続的・波状的に核攻撃を行うこととされた。

当時の爆撃技術ではピンポイントの直撃は不可能であり、例え核兵器といえども、あの巨大生物に対しては至近弾(直撃以外)の効果に大きな疑問があったため、このような過剰とも言える無慈悲な攻撃命令が指示されていたのだ。


連合国軍総司令部より、全軍へ無線が入る。

「補給中隊、施設工兵班、各員に伝達。これより歴史上最も激烈、最も冷酷な『神殺しの火網』の完成を目指す。一刻も早く完成させよ。各位、総力を上げよ」


人類が、かつて身内で殺し合うために研ぎ澄ませた「大戦の牙」のすべてが、今、極東の小さな島国へと集結しつつある。

咆哮をあげる鉄の馬(列車砲)、空を埋める爆撃機の影、そして海を埋め尽くす巨砲の列。

あの怪物を確実に、あるいは跡形もなく消し去るために!

力には力を!

異形の理不尽な力には、人類の知恵たる科学の力を!

圧倒的な物量を以て圧殺するための、有史以来初とも言える「人類の力の結集」。


『必殺の包密網』が、今、完璧に組み上がろうとしていた。

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