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毒キノコ転生〜地下ダンジョンに閉じ込められた最弱の魔物は、チートスキルと謀略を駆使して最強最悪の魔族を目指す〜  作者: さかなかさ
三章『マテーラ村防衛編』

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二十一話 『リュドガーとの出会い』

「俺がこいつらの首長の、カミラってもんだ。種族は…毒キノコ族だな、うん。」


気を取り直して、俺はそう答えた。

すると、エルフ族だという青年が首を傾げる。



「毒キノコ族…?いや、すまない。名乗るのが遅れだ。リュドガーだ。」


「ああ、よろしくリュドガー。この見た目はまあ、種族進化した結果だ。それと、俺たちは特にどの勢力に属しているわけでもないよ」


俺がそう答えると、リュドガーはふむ、と小考した。


(それにしても、随分な胆力だ。)


そんなリュドガーを見て、俺は1人感心していた。

ステータスがわからなくとも、ダンジョンで生きてきた感覚で、なんとなく彼我の実力差はわかる。


目の前の青年は、決して弱いわけではないが、恐らくレベルで言えば30〜40ほどであろう。

ウチで言えば副長達がそのレベル帯だ。

1対1ならいざしらず、7人全員で闘うとなれば、失礼だがひとたまりもないだろう。


実力差は肌で感じているはず。

その上目的も所属もわからない謎の集団を相手に、1人で赴き臆する様子を見せることもない。


実力云々の以前に、あっぱれな精神力である。

その佇まいからも、一朝一夕では培われない風格を感じる。


(ひょっとしたら、集落でもある程度の重役かもな)


何となくの直感で、カミラはそう考察した。

そんな存在がわざわざ出向いてきたのだ。こちらとしても無碍に扱うわけにはいかない。


眷属達、特にサクラはかなり警戒している様子だが、これはむしろチャンスだ。


深層がどんな世界かもわからぬ中で、彼らと友好な関係を結べれば多くの情報を得ることができる。


(さっき言ってたオーガ族、ってのも気になるし…ここは友好関係を結んでおきたい。)


そう考えると、カミラはリュドガーの言葉を待つことにした。ひとまず、こちらの身分は明かした。あとは向こうがどう出るかだ。


するとリュドガーがこちらの目線に気づき、視線を上げる。


「あぁ、すまない。少々考え込んでしまった。…どこの勢力の傘下でもないということは__貴殿達は、新たな勢力を興そうとしている、ということか?」


リュドガーの目線が鋭くなる。

うーん、これは困った質問だ。迂闊に答えれば、彼らと敵対することになるかもしれない。そもそもあの集落は、オーガ族ってヤツの傘下なのか?



「…そいつは、何とも答えにくいな。我々にも目的はある。__ただ、一つ言えることは、俺たちは現状、アンタらとの敵対を望んじゃいない。」



ひとまずそう答える。一応嘘はついていない。

俺の、俺たちの目的は外の世界に出ることである。

蠱毒(ダンジョン)の中で生まれた魔物が、外の世界に出るということ。


それは、言ってしまえば自身以外全ての魔物を殺すことに他ならないので、最終的には敵になることは間違いないのだが。


ただ現時点で言えば、彼らと敵対したくないというのは心からの本音であった。

藪を突いて鬼が出たらたまったもんじゃない。


「…そう聞いて安心した。力の差から言って、貴殿らに本気を出されたら我々の集落はひとたまりもないだろう。」


リュドガーは、安堵したように表情を緩めた。驚くほど正直な反応だ。なるほど。俺はどうやらこういったタイプが嫌いではない。

先ほどから、その口ぶりにはかなり誠実な印象を受ける。


「うむ、もしよろしければ、貴殿らを村の客人として歓迎しよう。」


リュドガーからそう提案される。願ったり叶ったりだ。しかしどうにも、こちらに都合が良すぎる。


「そいつはなんとも懐の広い。だが、いくらどこの傘下でもないからと言って、得体の知れない奴らをそんな簡単に村に迎え入れていいのか?」


青年の判断は、些か警戒心が欠けているように感じる。そもそも、そんな選択を目の前の青年一人が決めていいのだろうか?


俺が疑問を投げかけると、リュドガーは一瞬ぽかんとし、それからにこりと笑って言葉を紡いだ。


「そうしてわざわざ忠告をくれるのが、何よりの証拠であろう?それに、見えないだろうが、私もそれなりに長く生きている。勘所にはある程度の自信がある。」



そう言うと、リュドガーはすっく、と立ち上がる。上背は高く、人間で言えば180cmほどはありそうだ。


だがそれ以上に、その佇まいが強かな雰囲気を醸し出していた。


「改めて挨拶を。マテーラ村、村長のリュドガーだ。我が村を案内しよう。」



(いや、お前が村長かよ!?)


その言葉を聞き、カミラは内心舌を巻いた。

役職持ちとは思ったが、まさかの首長直々のご挨拶だとは。集落の奴らは今頃気が気じゃないだろうな。



「…ハハ!アンタ、見た目よか相当気合い入ってるな!」


こうなると、実年齢が気になってくる。

それに、こんなに気が良い人物は久々に会った。

カミラはどことなく心が踊っている自分に気づいた。


「ふむ、それは貴殿もだ。一見、幼い少女にしか見えぬが___その実、心の内には計り知れぬほどの野望を感じる。」



おや、そこまで見透かされてたか。益々面白い。


「それが覇道か、邪道かはわからぬが…貴殿らとの親交は我々にとっても得難いものだ。」


リュドガーはそう言うと、集落の方に向かって歩き出した。


俺たちもその後に続く。

こうして俺たちは、深層で初めて魔物との邂逅を果たしたのだった。


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