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1ー9 武術 魔術 転機

プールに行ってきました。日焼けして肩がヒリヒリする・・・。



 五歳になった。授業もあらかたマスターし、応用や発展の課題をこなしている毎日だ。

 歴史から始まり算術や経済を学んでいる。僕は次男だから家が貴族でもここを継ぐ事は無いので、領地経営のいろはは教えられていない。


 それに五歳になったので新しく授業も二つ増えた。一つは身を守ったり敵を倒すための武術。もう一つは四歳の頃にフライング気味に始めた魔術だ。

 

 武術は続けていた筋トレの成果か土台となる筋肉は出来上がっていたし、魔術もフライングしたからか人並みより少し多い魔力を持っていた。

 どちらも努力の結果が目に見えて現れていたので嬉しかったが、気絶をしまくった魔術の成果がいまいちだったのが残念だ。


 そんな訳で両親が雇ってくれた元騎士団副団長に剣を習っている。

 アイン・バインと言うこの雇った中年男性は辞めるきっかけとなる怪我を負った足を引きずって動いている。が、剣を持たせると第三の足の様に使って器用に戦い始める。まだまだ現役でいけるだろ!と思いながらいつも負けている。


 僕の得物は刃渡り20cm程の短剣と、肉厚で子供の僕には少し重いマチェットを使っている。

 他にも得物の種類はあるが、槍等の長物や筋力を必要とする西洋剣、しくじれば自分に牙をむく鞭等は選べずに、この短剣とマチェットをアインのおっさんに押し付けられた。


 アインのおっさんの剣には型が無いらしく、相手の呼吸を見てほんの僅かな隙に攻撃すると言う相手に合わせる剣だと言っていた。

 当然僕に教えられるのもこの剣だ。


 たった今もにらみ合い相手の呼吸を聞き取る。集中して尖った意識は一挙一動を見逃さない。

 息が途切れ、吸い込む。瞼を降ろし、開く。いつ来るか、いつ仕掛けるか考えようとする。すると思考の海に入る瞬間にアインのおっさんが動いた。


 一瞬の隙をつかれ、風を切って練習用の潰されて殺傷力の落ちた刃が迫ってくる。

 一瞬とはいえ遅れた。攻撃から身を守ろうとマチェットを動かすも手首を持ち手で叩かれて得物を落とす。

 

 短剣を構える時間を稼ごうと反射的に後ろへ跳ぶも、アインのおっさんに見抜かれ首に刃を添えられる。負けた。


「ハッハッハー!まだまだ甘いなお前さんはよぉ!そんな剣じゃオジサンは負かせれないぞ?」


 先程の真剣な表情と殺気立った空気をおさめると、バカにしたような言い方で陽気に茶化してくる。

 僕はそれを無視してドサリとその場に座り込み額の汗を拭う。


「また負けたー・・・。何で子供の相手に本気出すんだよー!大人気ないぞー!」


「いんやぁ、まだまだ序の口よお。三割も力を出していないし、最初に隙をついた以外に特別何にもしてないぞ?

 もっと頭ん中空っぽにして直感で剣を振りゃあ良いんだ。お前さんは考えすぎなんだよ」


 おっさんがゴツい指先で軽く額を押す。

 いらっときた僕はおっさんを口汚く罵る。


「うるせー!この、おっさん!加齢臭!おっさんはいっつも加齢臭!」


「あ!?お前さん言って良いことと悪いことがあるだろう?ちょっとこっち来い。そんな加齢臭加齢臭言うんだったら確かめさせてやるぞ!?」


 ワイワイ騒いでいると細身の男使用人が近付いてきた。手には蝋で封がされていた手紙が握られている。

 おっさんも一緒になって騒ぐのを止めると真面目な顔に切り替えた。


「坊っちゃま宛にお手紙がございます。えー、貴族の六歳以下のお子様方を対象に、城に招いてお話をするとあります」


「城に?どうして?いつ行くの?」


 疑問符をつけまくった質問をする。男使用人は一つ一つ答えてくれた。


「どうやら第一王子様が六歳になられた様で、それまで城に缶詰めにしていた為に同年代の友達を持っていないのを気にした国王陛下が、友達を作る機会として開いたお茶会の様なもので、爵位が高い家から順に呼ばれています。


 その順番が回って来ました。なので坊っちゃまが五歳になられた御祝いの為王都にある家でパーティーを開く為に行くのもかねて、明日出発になります。」


 王都に行ってお茶会に参加するついでに僕の五歳のパーティーか。少しイベントを積み込み過ぎじゃないか?


「明日・・・か。何か持っていった方が良いのかな?」


「お茶とお茶請けとして摘まめる物に限り持ち込みが認められています。話すきっかけにもなるでしょうし是非とも持っていくべきでしょう」


 お茶とお茶請けか・・・。ならついこの間手に入った小豆と米の粉を使ってあれを持っていこうか!

 王子様と緊張せずに話せると良いなぁ、今世ではまだ僕にも友達がいないしね。是非とも王子様と友達になりたい!

次回やっと男の子が出ます。

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