第五話
▲ 同日午後3時
先ほどのエリスとの戦い基、能力検定のあとは何事もなくスケジュールどおり召喚された勇者の能力を覚醒するために必要な場、リリス姫に城の地下にある覚醒の泉に向かっている最中である。
この泉では勇者として召還された者の身体能力及び魔法に関するスキルなど、限界まで潜在能力を覚醒させることができる。所謂、ゲームで言う限界突破の状態を初期ステータスで与えられるというもの。
しかし、残念なことに必ずとも成功するわけではないという可能性も十分にあるとのこと。
過去300年前に一度失敗した例があった。
――ていうか、俺以外にもいたのか…………勇者。
その三百年前に召喚された勇者は、能力こそ覚醒しなかったものの、護衛の騎士達のおかげで無事魔王を倒せたという文献が残っている。
なので、仮にもし俺が失敗しても護衛の人たちがやっつけてくれるらしい。
この話を聞いてますます自分はだたの宣伝役なんだと思い知らされる。民の士気を挙げるため。希望があるとそれに縋る。今まで、勇者達一行が魔王に負けたという歴史は存在しないが、誰の心にも万が一というのはあるもの。
仕方の無いことと受け入れればいいのだが、やはり現代人の性なのか、理解できても納得はできない。
そんなふうに思いながらも覚醒の泉に着いた。
「いいですか、紅」
「ああ、わかってる」
「どうか、無事に戻ってきてくださいね」
言葉は返さない。
ただ、背中を見せるだけ。
そうして石造りのドアを開け覚醒の泉のある部屋へと入る。
自分に勝を入れるために心の中で意気込む。
五メートルほどの石造りの道を進み、下に向かって階段が伸びていて、そこからしたが覚醒の泉になっていた。
そして目の前にある泉の中へと階段を一段ずつ降りる。
光源がどこにあるかは知らないが、光が水面で乱反射して幻想的な光を発している。それに加え、よどみが一切ない透明な色が余計に輝かしさを際立たせる。
少しずつ体が水につかる。
腰まで使ったところで目を瞑った。
リリスの話によれば、いつの間にか始まると言っていた。
『泉に腰まで使ったら目を瞑ります』
『目をつぶるのか?』
『ええ、一種の精神統一だと考えてください。試練とは勇者の精神世界で行われるものですから』
言葉を鵜呑みにして続きを促す。
『その後体中から光があふれ意識が切れます。そして、目覚めたときから試練は始まります』
『試練は毎回同じなのか?』
『いいえ、個人の能力が違うように、勇者の試練も人それぞれです』
『そうか、・・・』
体中から発光しているのがわかる。
それだけじゃない。泉全体が光を放って余計に乱反射して自分が光っていると勘違いしていただけ。
これから何が起こるのか、少しわくわくしていた。
そんなことを考えているうちに意識は落ちた。
▲
意識が戻る。
すぐに頭を回転させる。
・・
・
そうだ試練が始まるのか・・・
すると、先ほどまでこの真っ白な世界には自分しかいなかったのに目の前に全身黒ずくめのマントを羽織ったものがいた。
あんたは誰だと問う前に、男が口を開いた。
『能力が欲しいか?』
迷う。
迷う。
力があることで災いを呼ぶこともある。
その力で俺は一体どれくらい自身が傷ついたのかもわかってる。
だから、まだ踏ん切りがつかない。
この力がないとたぶん魔王と戦う俺の護衛たちは俺の代わりに傷つく。
ただ、それだけがいやだった。
だから告げる。
あの時もそうだったから・・・
『俺の周りの人間を守る能力が欲しい』
その答えに黒ずくめの男の口がニヤッとなる。
『なら、これからお前に試練を与えよう。
その試練を乗り越えればお前はこの世界で一・二位の力を得ることができる。
しかし、その試練は厳しい。
その、試練を受ける覚悟がお前にあるか?』
何をいまさら、
俺は試練を受けるためにここにきたんだ。
もちろん答えは
『YESだ!』
『よし、じゃあ移動だ』
言葉の後、黒ずくめの男が指を鳴らす
パチン!!
指の音が鳴った後、あたりの景色が変わった。
さっきまでは白い世界だったのに今は、草木のない荒地だった。
『では、ルールを説明する。
お前にはただひたすら俺の魔術・陣術・精霊魔術をひたすら見ろ!』
『見るだけか?』
『いや、違う。
発動の際に起きる周りの変化とその弱点を見つける。
さらに俺に魔法で攻撃することだ。
それができたらおしまいだ』
『まて、俺は魔法なんてつかえないぞ。
それに理論なんてまだ聞いてない』
『大丈夫だ、お前はすでにわかってるはずだ。体の中に今までなかったはずのものが入り混じってることくらい』
『そんな、まさk・・・』
あいつに言われたとおり体に意識を集中させる。
すると今までなかったものが入っているのに気がつく。
『おいおい、まさか本当に気づいてなかったのか。
まあ、いい。
その変なのが魔力の源だ。
それを体から出すイメージで自分の想像した魔法を思う浮かべればいい』
『そんなの練習が必要に決まっているだろ!!』
『だから、それを実戦形式でつかめっていってるんだよ。
わかったか?』
『ああ』
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・・・
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それから俺の体感時間でおよそ半年以上もの長い月日の中で訓練という死闘があった。
そのなかでいくつか自分の弱点に気がついた。
なぜか、左の反応がわずかに右より劣っていたことに。
思い返せば俺は左目の視力が右目ほどよくない。
そのためか、若干右目よりも劣る。
しかし、もう一つわかったことがあった。
目で視認できない攻撃には左のほうが反応できていた。
しかし、右のほうは視界に頼っているせいで、どうしても目で確認しようとしてしまう。
この訓練で、自分自身の弱点を見つけ、克服し、ある意味二段階・三段階と強くなった。
だが、肝心の試練を終えた俺にあいつは俺の能力のことを何一つ教えてはくれなかった。
『さよならだ・・・』
その言葉を最後に俺の意識は闇に落ちた。
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一気にストーリー進めました。
単に試練のとこをかける力がなかっただけですけどね。
誤字脱字あったら報告お願いします。




