第四話 「改訂」
だんだんと更新スピードが落ちてくるよおおおおおお!。
2011年、6月30日、午前9時50分
昨日リリスに説明されたとおり、約束の騎士専用練習場に向かっていた。
ある程度距離が近くなって来てからは人が多くなって興味溢れた視線でみられたのが気持ち悪かった。もしかしたら、アイドルってのはこんな視線を日常的に浴びていると思うと吐き気すらこみ上げてくる。
そんなことはすぐに慣れたがそれより、俺とその相手の試合を見るために野次馬がたくさんいる。まるでサッカーの試合のように観戦席モドキには人がそこそこ詰まっている。
もとから余り広くないからに、余計に人がたくさんいるように見えているだけだが。
そしてすこし進むと審判らしき人とその近くにリリスがいたので声をかけた。
「おう、リリス」
軽く手を挙げての挨拶。
「あ、紅!! 来たのですか。早めに来たのはいいですけど、時間はまだありますよ」
「そうか。ちょっと早かったか。これでも余り緊張や焦りとか不安はないはずなんだけど」
「そうですね。自分自身のことでも分からないことって多いですよね。特に心の整理なんかは難しいです」
すこしだけ、疲れたように薄ら笑いを浮かべたリリスに、彼女の立場上のことを思い出して同情した。彼女は王女に属する。ならば、日本の皇太子達と似たように精神的に黒することが多いのだろう。
それだけでなく、女ということでどこかに嫁がされるかのせいがこの世界ではあるのだ。仕事もしなければならない。
外の世界を知らない箱庭の中の王女ではいられない。厳しい国なのかもしれない。
「そうか。でも、話を聞いてもらっただけで心が晴れた気がする。ありがとうな」
「いえ、私も少しだけ愚痴がこぼせたので」
本当に、すこしだけスッキリした顔でカラッと笑った。その笑みはとてもじゃないけれど、王女がするような笑いとは思えなかった。その笑顔はどこまでも子供のようで、輝かしかった。
そんな顔を、俺は少なくともこの先も浮かべて欲しいと思ってしまった。
だって、その笑顔はきっと、ほかの誰かも笑顔にする力を秘めているのだから。
だから――
「はは。そういうのは、誰にも聞かれないようなところで言えよ」
本当に誰も聞かれないようなところで言えばいいものを、わざわざリリスは怒られるような真似をしたのか。
「……リリス様」
氷のように冷たく、針のように鋭い渋い声がリリスの後ろから聞こえた。
そんな声に、肩を震わせてリリスはゆっくりと後ろを向いた。
「………あら、ゴートン公爵じゃないですか」
あくまでシラを着るつもりでリリスはそっぽを向く。
だが、安易な考えを破壊するように鉄槌が振り下ろされた。
「後で、その余裕に溢れた幸せな頭に私の分の政務でもやらせましょうか」
鉄槌は何よりも重く、リリスを苦しめる。その証拠にリリスの顔は青ざめていた。
「どうかそれだけは――」
「問答無用」
まるで、猫を掴むように首筋を手でつかまれて人ごみの中から消えていった。
そんな二人の様子を見ていた何人かのうち、一人の騎士が近寄ってきた。
「あの、もうすぐ予定が始まるので、その前に相手に会っておきませんか?」
「うーん。わかった。そうしてくれ」
男の騎士はすぐ連れてくると言い、すぐに去ってしまった。
僅か数分待ったところで女を連れて騎士は戻ってきた。
「勇者殿、つれてまいりました」
「彼女が俺の相手か・・・」
見る限り、かなりの鍛錬を行っているものだった。
とても普通の人では身につけられないような自然と同一しているかのような息づかい。それは彼女の天性の才能だろう。俺でさえ、十年以上続けても完璧に身に付けていないのだから。
しかも、美人で彼女の艶のいいスカーレットの色が美しさをさらに引き出している。
「あなたが、勇者ですか」
彼女は然程俺を気にせず、試合場に上がる。
彼女は勇者には興味がないのかと思ったが、たぶんちがうと思った。根拠は、目の前の人物から発せられるあれだ。
自分も試合場に上がったら闘志がむき出しだったから。こんな感覚は紅鷹にとって二年ぶりの久しいものだった。こんな剥き出しの闘志をぶつけられたのはあの人が死んで以来なのだから。
ヒシヒシと呻きを上げていく闘志に躯が反応して紅鷹の方まで戦いたいという衝動が出てきた。それを必死に抑えながらも相手を見つめる。
そして、お互い名を名乗る。
こういう挨拶も此方では日本と同じなんだなと少し微笑んだ。
「エリス、エリス・エレフォード」
「こっち風に言えば紅鷹獄閻寺かな」
そして審判が『お互い前へ』
そして俺たちは前に出る。
ある一定の距離を開け、地面に書かれている白線の真上に立って静かに相手の騎士は手を腰に添える。
『構え!』
『始めえええ!!』
俺は相手より少し送れたタイミングで地面をけった。
あくまで相手に自分はあなたより弱いですよをアピールするためだ。
真横から一閃される斬撃に、剣を立てて交える。
想像したとおり女のものとは思えないくらい一撃は重く鋭かった。
洗礼されたしなやかな動きで、極力無駄がない。先天的に男と女では地力が違う。だが、彼女はそれを技術で補っている。
それに対して、俺は剣術などやったことがないので握りが甘くすぐ剣を手から弾き飛ばされた。
そして、彼女の剣先が俺の首筋に当たる直前で止まる。
その様子を見て審判が『そこまで!!』
内心ほっとした。
今の試合で俺に興味をなくしたものがほとんどいたからだ。
まあ、この国のやつらにとって俺はただの宣伝役だからただのものとしか思ってないんだろうな。
まだ、俺の相手と数人の目は俺を捉えていたがいずれその目も消えると思いその日を終えた。
ただ、彼女だけは違かった。
しかし、その理由は彼にはわからない。
誤字脱字の報告お願いします。
なんか、疲れちゃったよ・・・パトラッシュ




