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部活動と想像と、少しの妄想

 入学して一週間。そろそろ部活動を選択しなければならない。

僕は中学の頃少しだけ陸上をしていた事がある。あるといっても中二の初めに辞めてしまった。

辞めた理由は全然大したことはなく、何となくやる気をなくしてしまった。それだけだ。


実は良樹とも陸上繋がりで知り合ったという背景もある。そんなこともあり、僕はいまどの部活に入部するかをすごく迷っている。


「てことでりょーま、陸部友だちとしてもよろしくな!」

「うん、ってかもう僕が入部すること決まってるの?!」

「もう出してきたぞ!」

「ええ、、、僕の決定権は、、」


どうやら僕には人権がないらしい。基本的人権とは何か、彼に誰か教えてやってくれ。


「ーーだってさ」

良樹が口を開く

「だってさ、りょーま2年でやめちゃったじゃん?俺、くっっそ寂しかったんだぜ??」

「、、その時は悪かったよ」

「いーけど!だから今回は一緒に走り切りたいなって思ったわけ!」

「オッケー、わかったよ。入部する」

「やった!さんきゅーな!じゃありょーまの分も入部届出してくるわ!」

「えっ、さっきもう出したって、、」

「細かいことは気にすんな!じゃ!」


内堀を固められて見事に攻められたなこれは、、

でも、良樹が凄く嬉しそうな顔をしていたから良しとしよう。


部活、今回は頑張ってみるか。


そういえば彼女は何部に入るのだろうか。運動部のイメージは全然なかったけど。


でも仮に運動部だとしたら、新体操部とか、、、レオタード姿、いかんいかん。あらぬ妄想をしてしまう。

バレー部なんかもかっこいいよな、、髪を後ろで束ねたりして、ちょっと汗が滴ったりして、、、

ダメだダメだ、どの部活でも変な妄想をしてしまう。


、、文化系なら?

茶道部!凛とした姿と立ち振舞いがさらに際立つ。清楚な感じが強く出てて良い、、

これは‘’想像‘’の域だろう。セーフだ。


色々と良からぬ想像、いや妄想をしてしまったが実際何部に入るのかは気になるところ。

部活を聞くくらいはおかしなことではないだろう。ただ、クラスメイトがいるところで彼女に話しかけるのは気が引ける。ほかの女子ともまともに話したこと無いのに。


とりあえず放課後まで待ってみることにした。


ーーーーーーーーーーーーーー


放課後、皆がぞろぞろ下校していく。彼女は、、、いた。ちょうど教室を出るところだ。


「宮守さんっ」

彼女が振り向く。

「あ、ごめん、皆いるから名前呼びはちょっと」

「大丈夫だよ。私も今できない」

「だよね、良かった。それでなんだけどさ、部活って何はいるか決めたのかな~って」

「私、生徒会に誘われて書記をやることになったんだ」


なるほど、生徒会か。さらに清楚な感じが出てて、、良い、、

「、、良い、、」

「?良い、、?」


しまった、先ほどの流れからかつい口に出してしまった。

「いやっあの、生徒会も責任感あって宮守さんにはとても良いかなって、、」

誤魔化したつもりだったが、妙に変な褒め方をしてしまった。

「、、ほんと?私でやっていけるかな、、」

ちょっと深刻な顔をしている。

「宮守さんなら大丈夫。というかピッタリだと思うよ」

これは本心だ。真面目な感じとか、皆に慕われてるように見える感じとか、ピッタリだと思う。


「そう、、頑張ってみるね」

「うん、そういえば生徒会は誰に誘われたの?」

「えっと、、会長直々というか」

まじか、まさかの生徒会長に推薦されたのか。

「すごいじゃん!会長にまで目をつけられるなんて、なかなかできることじゃないよ」

「いや、、そんな」

少なくとも中学時代の彼女では無理だっただろう。色々努力を続けてきたからこそだ。


「頑張ってね、宮守さん。きっとほかの生徒のみんなも宮守さんの良さにすぐ気づくからさ」

「む~、、」

ちょっと恥ずかしそうな顔をしていたが、ここは正直に褒められるべきだ。


「昔から、他の人優先で考えられる優しい人ってことを僕は知ってるからさ、だからきっと生徒会でも上手くやっていけるよ」


「、、、またすぐそういうこと言う、、」

そう言うと彼女は終始恥ずかしそうな顔をして、目をそらしていた。


「、、遠藤君は、なんの部活に入るの?」

「僕は陸上部だよ。といっても半ば強引に決められた感じだったけど」

「そうなんだ」

「中学からの同級生が今度は走り切りたいって言ってくれてさ」

「いいお友達だね」

「いいやつだよ、それこそこの前揚げパンをねだってきたあいつだよ」

「あ、、いたねそういえば。名前、、、よしと君?だっけ??」

良樹、、名前、覚えてもらえなかったな、、、骨は拾っておくぞ。

「よしき、ね」

「あ、、ごめんね。なかなか男子の名前覚えられなくて」

意外だな、と思ってしまった。生徒会に入れるほどしっかりしていたからクラスメイトの名前なんて覚えているものかと思っていたが。


「他のこと考えるだけで精一杯で、、、」

急にまた恥ずかしそうな顔をした。なんだろう?他のことって。

「そっか、まだ入学したばかりだからね。僕も全然名前なんてまだ全然覚えてないからさ」


「そうだよね、それが普通だよね?!」

急に目を見開いてそう言ってきた。

「そ、そうだよ!ゆっくり覚えよう」

「うん!あ、私生徒会室に行かなきゃだから」

そうだった、僕も初めての部活に行かなくては。

「引き止めてごめんね、じゃあね」

そういって反対方向に歩き始める。


「全然だよ!私的にはもっと、、」

ん?何か言いかけたのかな。

「何か言った?」


「、、なにも!じゃあね!」

そう言って生徒会室に向かっていった。


まぁ、いいか。

とりあえず初めての部活、ちょっと緊張するけども楽しみだったりする。

良樹は先に行っているだろうから一人でグラウンドへ向かうことにした。


第一印象が大事だ。まずは自己紹介、頑張ろう。



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