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「……それで?どうして捕まったんだ?」
はぐらかしたつもりだったが、女傭兵はもう一度訊いてきた。
何を気にしてるんだ、この女は?
「旅費をケチっただけだ」
「……は?」
俺の隣で『司祭見習』が口に手をあてるのが視界の隅に映る。笑いをこらえているなこいつ。
「い、言ってる意味が解らん」
女傭兵は司祭見習ほど理解力が無いらしい。
「……丁度王都に用事があったのさ」
俺は一口また珈琲を喉に流し込んだ。
「王都までは遠い。首に賞金が懸かっている俺が乗り合いの客になる訳にもいかないからな。と云って一人旅は危険なものだ」
女傭兵は何か言おうとして言葉が出てこない様だ。
「て、手前ぇ!わざと捕まったってのか!?」
ヤザンがいきり立って吠えた。
始め俺としては王都近くまでは大人しくしているつもりだったが、女神ライラが今夜何かあるとほのめかした事だし……。
「馬鹿げている……貴様今の状態で逃げられると思ったのか?」
「実際今の俺は自由の身も同然だ……なぁヤザン?まさかお前一人で俺を連れていけると思ってるのか?」
「ぅ……」
俺の指摘にヤザンの『天秤』が傾いていくのが解る。
女傭兵が憮然とした表情で立ち上がり、自分の座っていた場所に戻っていく。
「……あまりからかっては可哀想ですよ?」
司祭見習の娘が小声で嗜める様に言った……目は笑っていたが。
からかったつもりは無かったが、まぁ冗談の通じないタイプだなあの女傭兵。
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