夢見た少女と光の粉
ドロシーは夢を見た。
とても暗い場所に立っていた。そこには赤い大きな光、それより小さな青い光、更に小さな白い光が有った。
赤い光は弾けて消えた。白い光は青い光に呑まれて消えた。青い光は何処か遠くへ去っていった……。
ドロシーが目を覚ますとそこに政宗は居なかった。テーブルの上には政宗からの手紙が置いてあった。
「その辺を探検してくる」 と余程急いで出掛けたかったのか、汚い文字で書いてあった。
『ズルい〜! 私も行きたかった〜!』
ドロシーは口を膨らませながら窓の外を見た。
『帰ってきたらタダじゃおかないんだから』
そう言ったドロシーは夢の事を思い出していた……。
(アレは一体……)
その頃政宗はグリンダと一緒に居た。
『アンタに頼みが有る』
『あら、私に出来る事なら力になりますわ』
『俺に魔法を教えて下さい!!』
その場で地面に頭を擦り付けるように土下座をした。
『申し訳ありませんがそれは出来ません』
軽く頭を下げるグリンダだが、政宗は食い下がる訳にはいかなかった。
『あの時助けてもらわなければどうなっていたことか……。俺は強くなりたい! ドロシーを守る為の力が必要なんだ』
必死にお願いするが、グリンダは首を振った。
『何故だ。せめて理由だけでも教えてくれないか!?』
『人は誰でも多少は魔力を持っておりますわ。オズ様も勿論。ですが……オズ様の場合あまりにも微量ですので……』
(あぁ、なる程。教えないのではなく、教えても意味がないって事ね…)
しょんぼりと肩を落とし、死んだ魚の様な目をした。
『ですから私がオズ様に魔法を掛けて差し上げますわ』
グリンダはまるで塩を蒔く様に、光の粉を政宗に向かって振りかけた。
『……何も変わらないみたいなんだけど?』
『オズ様が力を必要とした時オズ様が願った力が産まれる魔法ですわ。チャンスは一度、決定したら取り返しがつきませんのでご慎重に』
グリンダは人差し指を政宗の鼻の頭に触れた次のこと
、カドリングの兵が慌てふためき走ってきたのだ。
『大変です。ドロシー様が……』
血相を変え兵士の胸ぐらをつかみ問う。
『ドロシーがどうした!?』
『ド、ドロシー様が……ドロシー様がワーウルフに攫われました!!』