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第35話:異世界にも存在する

 


 テーブルを囲むようにあたしとグリックさん、そしてカッツェさんがお茶を用意して腰掛けたところで話が再開された。



「まずは、神子様が神子をされている龍神国は御存知のように龍神を奉る宗教となります」


 スタートは解りやすい所からと思ったのか、グリックさんはそう切り出してきたのだけど、「え?ちょっと待て」となった。


「グリックさん、龍神国で神子をしているって……あたしは龍神の神子ではないですよ?」


 今度はグリックさんが首を傾げてきた。


「え?龍神族の方々が神子様と敬っておられたので龍神の神子だと思っていたのですが、違うのですか?」


 グリックさんがカッツェさんに意見を求めてきたので、カッツェさんは当然のように頷いた。


「違います。彼女は龍神族ではなく、天からこの地に降りてきた神子様です。

 龍神の神子とは格が違う存在なので皆が敬っています」


「格、ですか?」


「ええ。彼女は創生の神の神子です。恐らくこの地の現状を憐れんだ創生の神様が神子をこの地に降臨させたのだというのが龍神様達を含め、長達の見解です」


「そそそ、創生の、神、子さ、ま!」


 グリックさんが驚いたように立ち上がり、慌ててあたしに平伏した。


「大変失礼致しました!まさか創生の神子様とは露知らず不敬の数々誠に申し訳御座いませんでした!」


 あのお子様そんなに偉いのか?すぐ不貞腐れるのに。

 てか、これじゃあ話が続かないじゃないかぁ!!


「全然不敬でもなんでもいないので話を続けてください。何も知らずに喚ばれたので本当に解らない事だらけなんです」


 あたしは、なんとかグリックさんを宥めて話を続けて貰うようにお願いした。

 それでも畏れ多いとの理由で、中々席に戻ろうとしないグリックさんが話を再開させたのはそれから10分ほど経ってからだ。

 やれやれ。どんだけ偉いんだ、あのお子様。


「さ、さて、宗教についてでしたか。

 この世界には様々な宗教がありますが、人族でありながら龍神様を奉っている派は少数ながらあります。ですが、一番多く普及しているのは私もそうですが、女神教で創生の神の命令でこの地の平和を維持する為に遣わされた神様になります。女神様はどんな宗教でもこの世界に生きるもの全てを受け入れる神様なので、魔族と戦争になりそうだった30年前も私達は話し合いで解決する方法を最後に選びました。

 その他には聖十字教があり、そこは創生の神の存在を認めてはおりません。この世界は彼等が信仰する唯一絶対の神が作り上げたものだと信じております。よって、女神の存在も龍神の存在も下位の扱いをされています。ですが、この宗教の信徒達は愛する心が何より大事なものだとしておりますので、他宗教の者でも忌み嫌ったりする事は御座いません。問題は、先程も話に出ましたが白銀十字教です。

 彼等は元々聖十字教に属しておりましたが、自分が崇める神以外を崇める者を是としません。よって他宗教の民達を蛮族として扱い、魔王を崇める魔族や妖精王を崇めるシルフ、龍神を崇める龍神族を敵だと見なしております。

 神子様がもし彼等と遭遇する機会があったら出来る限り正体を隠して逃げるよう進言します」


 という事は、宗教らしい宗教は女神、聖十字、白銀十字の3つで、それらは全て教会と呼ばれる礼拝堂があるわけか。

 兄さんはどの教会で召喚されたのだろうか?


「あの、女神教の教会で召喚の儀式って最近行われましたか?」


「いえ、召喚は魔力を膨大に必要としますので、50年に一度しか行われません。30年前にリン・ユウキを召喚しておりますので、次があるとしたら20年後になりますね」


 成程、そうなると白銀十字は創生の神を受け入れていないから、あたしと同じ加護のある筈の兄さんが召喚されたとは考えにくい。ならば、一番可能性が高いのは聖十字教会か。忌み嫌っていなくても下には見ているわけだから兄さんを手駒として使う可能性は高いもんね。

 あたしは、そう結論付けて次の疑問をぶつける事にした。


「大和国というのはここから遠いのでしょうか?」


「いえ、近いと思いますよ。ここより北の大陸に渡り、馬車に乗って5日程で到着します。魔族の地の果ては遠いですが、大和国は魔族の地と人族の地の境目に御座いますので」


 5日か。それを近いというのだろうか?この世界の人の感覚が解らない。

 だけど、今の赤龍の民なら一月位此処から離れても大丈夫だろう。


「では、馬車を手配して貰えますか?この街を作る技術者を大和国に紹介して貰いに行ってきます。技術者が無理でも建築技術を教えて貰えるかもしれませんし。

 恐らくその国の魔王はあたしと同郷の可能性が高いので、あたしが直接交渉にいった方が気を許して貰えるかもしれませんし」


 一瞬、グリックさんは難しそうな表情になったけれど、暫く経ってから仕方がないといった風に頷いた。


「そうですね。確かに責任者である神子様が行かれた方が相手に誠意も伝わりますし、交渉もスムーズにいくかもしれません。

 ですが、身分は隠された方がよろしいかと存じます。

 幸い北の港町のノザリンには規模の大きなギルドがありますし、そちらで冒険者として登録すると宜しいかと存じます。

 冒険者はならず者や訳ありの方が登録する事も多くありますので、身上についてあれこれ詮索はされませんし、神子様にとっては都合のいい職業といえます。

 グリック商会の推薦状を作成致します。そちらを提出して頂ければ順番待ちせずに済みますので、是非お持ちください」


 大商人のグリックさんからの推薦状があれば、確かに事務手続きが優先的にされそうな気がする。

 なので、その好意に甘える事にした。




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