第2話:集落に行ってみよう
置いてけぼりを喰らったあたしは、暫く茫然としていたのだけど、取り敢えずメニューアイコンを全部チェックしてから集落に向けて歩き始めた。
距離にして30㎞の所にある集落が一番近い。
歩き始めて気が付いた事がいくつかある。
まずは歩くとHPが減る。休むと10ずつ回復するので、どうやらスタミナがHPに関係しているらしい。
試しに全力で走ってみた。
思った通りHPの減りが早い。歩くと1ずつ減っていたけれど、走ると10ずつ減っていった。まあ、100mにつきだから微々たるものだし、座って休むと1分ほどで立って休む時の10倍の100が回復されるので全く問題はない。
だけど、走るスピードは車並みである。
やばい。あたしもう人間じゃなくなってる。
そう言えば種族は人間じゃなくて神子だった。その時点で人間じゃなかった事に気付かなかったあたしが悪い。
うん。人間に転生させるとは一言も言っていなかった。
『特殊体』だと言っていたじゃないか。
まあ、良い意味で考えれば、険しい岩肌の道なき道をたったの2時間で集落に到着したわけだから種族なんてこの際どうでもいいじゃないか。
そう強引に、本当に無理矢理に結論付けて集落の入口まで近付いた所であたしは歩みを止め、頭を抱えた。
「肝心な事を忘れていた」
外見はそのままだと少年が言っていた事を思い出したのだ。
つまり、あたしの顔は凶悪なままだという事になる。
クールビューティな母親の切れ長の目を中性的な美形である父の顔に宿したのがあたしだ。
美形である事は間違いないと思う。だけど、小さい子と目が合えば泣かれ、睨みつけると大の大人でさえ逃げだすという凶悪な目のせいで、あたしには友達が一人もおらず、本が友達だったのだ。
そんなあたしがいきなり集落に現れたら間違いなく混乱を招くに違いない。
でも、人と会わなきゃ璃人兄さんの居場所を見つけるなんて不可能だ。
「大丈夫だよ。異世界なんだからあたしより怖い顔なんてゴロゴロしてるに決まってる」
声に出してそう言い聞かせると、あたしは集落の入口に立っている門番に近付いた。
「あの、すみません」
出来る限りフレンドリーを心掛けて笑みを浮かべてみた。
だけど、案の定門番はいきなりあたしに手に携えていた槍を向けてきたのだ。
「●●▲●!」
青い鱗の鎧に魚のヒレのような耳をした門番は、ワケの判らない言葉を発しながらあたしを威嚇するように睨んでいる。
ですよね~。
やっぱりこの世界でもあたしの顔は警戒するほどの凶悪顔らしい。
母よ何故この顔に生んだ?
もう二度と会えないであろう母の顔を思い浮かべながら自分の顔立ちを呪う。
そうしている間も門番達の声が続く。
「せめて翻訳スキルくらい欲しい!」
そう叫んだ瞬間、頭の中でlevelUPする時のような音が鳴り響き、機械的な声がその後に続いた。
『龍人族の言語を習得出来ます』
え?習得?なんだそりゃ?
「メニュー」
よく分からないけど習得出来るならメニューに何かあるはずだ!
そう思って唱えたワケだけど、門番達は更に警戒してますって感じに声を荒げている。
でも、構っている場合じゃない。
あたしはメニュー欄に目をやるとスキル欄が赤く点滅しているのを見つけ、迷わずタップした。
『new龍人語』
あった!ありました!更にタップすると、
『龍人語が出来るようになります。習得しますか?YES/NO』
そこは勿論YESでしょう!次いでに割り振りポイントも最高の10まで入れてしまえ!
まあ、最高まで入れてもまだまだ割り振りポイント残ってますけどね。
『龍人語を習得しました。習得レベルが最高になりました』
「どこから来たか答えろと言っているのが分からないのか!?」
お。解る解りますよ!スムーズに聞こえますよ。まるで昔から知ってる言語のようだ。
でも、何処からと言われても…異世界から来ましたとか言っても信じて貰えないだろうし。
「えと、あっちの岩場ですかね?」
なんて曖昧な言い方をしてしまいました。
結果、その言葉に門番達は気色ばんだ。
「岩場だと!?人間が行ける場所ではない!さては、貴様が我らの同胞を殺した犯人だな!?」
「確かに人を殺した事がある目付きだ!」
え!?今、スッゴイ物騒な単語が聞こえたけど……!?
「い、いや、ちょっと待って。あたしは殺しなんてしてない。この目は生まれつきでって…いや、落ち着いて話しましょう」
「事情は牢屋で聞く!」
門番はそう言うと右腕を天に翳した。
すると、中から武装した人達があたしの四方を固めて、あたしを捕まえると有無を言わせずに中へと引き摺って行った。
一人称で文章を書くのってかなり難しいものなんだと自覚中。
出来るだけ早く更新しようとは思っていますが、遅筆で申し訳ございません。




