好きだけど考えさせて
森川君に洗脳されたわけではないが、私はオタク脳の一部を、恋愛脳にシフトチェンジしてみた。
「ケータイ小説? 何の冗談だ?」
ランチ中に読書している私に、待ち合わせしていた沖原ケンシロウが奇異な目を向けた。
「ヒラリンが恋愛マンガ?」
私の本棚に並ぶ少女マンガにシゲモンが驚いた。
恋愛脳へのシフトチェンジがこんなもんか!と思うかもしれないが、切欠なのよ。
これにより、二次元から三次元の男に目を向けれるようになるかもしれない、リハビリなのよ。
訓練(?)の甲斐があり、ジャニー○に興味が出てきた。
そしてイケメン系の俳優にも目が向いてきた。
だがしかし。
わかっている。これはファン心理だ。
彼らは偶像。アイドルなのだ。
手の届かない存在だから、暢気にキャーキャー言えるのだ。
どっこい(死語)野々宮君は、手を伸ばせば届く・・・というか、あっちからもろ手を差し出している状態。
いずれ、こんな年増には飽きちゃうから、本気になったら馬鹿をみる。
なんだかんだと理由をつけていたけど、私が野々宮君の告白に及び腰なのは、つきつめてみればそういう事だ。
今の野々宮君の気持ちを疑っているわけじゃないけれど、未来まで信用できない。
でもさ。
それって未成年だろうがおっさんだろうが、同じだよね。
過去、離れていった男も居たけど、自分から離れていったことだってある。それと一緒。
「つかささん、好きです」
「うん、ありがと」
「・・・・・・・え?」
「私ね、野々宮君が好きになれる気がする。・・・なったと思う」
月に一度ペースで告白する野々宮君に、私はそう返事をした。
野々宮君は・・・・・・・・・・・・・・固まった。
「でもね、お付き合いはねぇ」
「・・・・・えっ!?」
「イタイケな高校生をたぶらかしている気分になるから、お付き合いはもうちょっと先にしない? もしくは健全なものとか?」
「な、何言っているんですか! 俺がイタイケとか森川とかチームメイトが聞いたら気絶するくらいありえないですよっ!」
「そうなの?」
野々宮君、ピュアってカンジなんだけど。
ストーカーぽいし、押し強いけど。・・・そういえば森川君が、『チョイ黒』とか言ってたっけ。
「高校生のお付き合いで健全っていうのありえないです!」
「・・・う~ん」
いきなり生々しいお付き合いというのも・・・年の差もありハードル高いな。
まあ、高校生ってそういうオトシゴロだし、う~ん???
「なに考え込んでいるんですか、つかささんっ!」
「ごめん、考えさせて」
「なにをですかっ!?」
両思いにはなったが、お預けを食らう野々宮
あまりジレジレすると、ストーリーがダレそうなので、とりあえずの両思いです。
まだ続きますが、R指定は入りません。なぜなら描写がニガテだから!




