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「メジェドの居ない日々」(セーラー服と雪女 第28巻)  作者: サナダムシオ


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1/15

① 彼は何処へ?

 由理子は、とても心配だった。

 今日は、1995年12月15日の金曜日。

 時刻は15時をまわったところだ。

 アレからちょうど半年が過ぎた。

 (つまり半年間、メジェドの姿を見ていない事になるわ。)


 今日もメイド服姿の彼女は、名護屋テレビ塔の、亜空間レストランのバーカウンターで頬杖をつきながら、ボンヤリそんな事を考えていた。

 "きっと彼は、人類の何処までの範囲を、自らの仲間として認めるべきかを吟味し、それを見極めに出掛けているのだ"。サン・ジェルマン伯爵の解釈は、そんな感じだった。


 つまり、このサロンのメンバーからスタートした彼は、次に名護屋市の人々、更に愛知県、そして日本全国へと、味方にするべきファミリーの、拡張の可能性を探るための活動中という事なのね……えっ、ちょっと待って。ひょっとしてその後は、外国まで手を広げるつもりなのかしら?


 或いは、良き人物とそうでない者との選別かしら?何しろ、仮にも彼は神なのだ。だから、そのお眼鏡にかなうかどうかは、大問題なのだ。かつては、古代エジプトの民たちを守るために、攻め込んで来た他国の大軍勢を、ことごとく打ち破り、退けた事もあったと聞く。


 もしもそんな彼に、敵だと判断されたら、その場で、眼から放つビームで撃たれかねない。"そんな、分別の無い事はしないから、大丈夫だよ"と、伯爵は言うけれど、由理子はつい心配になってしまうのだった。

 何故なら、常に無表情に見えるメジェドの心は、ああ見えて、意外と臆病で繊細なのだ。テレパスの由理子にはソレが良く判るのである。


 ともあれ、通常業務である時空の調査は、引き続きヤルしかない。何だかんだ言っても、ソレで伯爵から、ギャラを貰っているのだ。レストランの仕事は、言わば趣味に近いアルバイトなのだから。


 そんな訳で、彼女は地下駐車場にやって来た。

 そしていつものように、赤いビートルの運転席に乗り込む。助手席には、少しでも皆さんのお役に立ちたいと、いつも活躍の場を欲している、ジャンヌ・ダルクに乗ってもらった。特に最近は、単独行動を慎むようにと、厳しく伯爵から言われているので、ちょうど良かった。第一希望の鷹志は、今日も伯爵と研究に勤しんでいて、手が離せないのだから仕方がない。


 彼女は、センターコンソールパネルに向かうと、目的地の座標を、以下のように入力した。コレは未確認飛行物体の案件だから、多分、悪魔には遭遇しないはずだ。


 西暦1973年4月13日

 時刻12時20分

 北緯36度29分

 東経126度33分


「じゃあ、行きましょうか。」

 由理子はジャンヌに声を掛けると、クルマを地下駐車場から出し、光学迷彩を掛けて垂直上昇させ、時空転移装置のスイッチを入れた。

 目指すは韓国の忠清南道。

 保寧市に有る洛東ナクトン小学校だ。


挿絵(By みてみん)

 

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