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第89話 悲しみからの再起

今回はヒカリ達がどう立ち直るかです。

 杏達と雷轟が戦っている最中、零夜は空を飛びながら急いで彼女達の元に向かっていた。闇の柱が見えたとなると、恐らく戦いの場は近いというべきだろう。


(もう少しでアルストールだ!急いでギアを上げないと!)


 零夜が心の中で飛行速度を上げようとしていたその時、後ろにはヒカリ達が追いかけているのが見えた。どうやら彼に放ったらかして任務に向かった事を根に持っていて、怒りの表情で額には青筋が浮かんでいた。


(なんで怒るんだよ!今はそれどころじゃ無いってのに!)


 零夜が心の中で焦りながらスピードを上げたその時、ヒカリが彼の前に転移してきて足止めしたのだ。


「転移魔術だと!?」


 なんとヒカリはいつの間にか転移魔術を取得していて、この様な事も出来ている。目の前にあるのが証拠だが、こうなると逃げるのは難しいだろう。

 予想外の事態に零夜が驚く中、ヒカリは彼をムギュッと抱き締める。すると彼女の目には涙が溢れ、我慢できずにヒックヒックと泣いてしまう。


「ヒカリ……さん?」

「行っちゃ嫌だ……抱っこ……」


 ヒカリの泣き顔に零夜はキョトンとしている中、ミミ達も追い付いて彼等の元に近付く。彼女達も孤児たちを守れなかったヒカリの事を心配していたのだ。


「ヒカリさん、孤児達を失ってから落ち込んでしまうのも無理ないわ。私達は怒りで涙も吹き飛んだけど……」

「無理矢理引き寄せた私達も悪いですが、零夜様も私達を放っておかないでくださいよ!私達だって……悲しくて……うわーん!」


 ルリカまで零夜に飛びつきながら泣いてしまい、エヴァ、倫子、ジェニー、日和も涙を流しながら彼に次々と抱き着いていた。まだ孤児達を失った深い悲しみが残っていたので、こうなってしまうのも無理ないだろう。


「皆……気付けなくてごめんな……」


 零夜が済まなさそうにヒカリ達に謝罪をする中、ミミ、キララ、ジャンヌ、マリーが彼等に近付いてきた。そのまま泣いているヒカリ達の頭や背中を撫でまくり、落ち着くまで慰め始める。

 

「シャングリを解放する事ができたけど、まさか裏を突かれてしまうとは誤算だったわ……」

「私達も依頼と役目に集中し過ぎていたのも原因があるし、二手に分かれて分担するべきだったかも知れなかった。でも、ここで落ち込む理由にはいかない!皆もそうでしょ?」


 ミミは俯きながらこれまでの事を振り返るが、キララは前を向きながら皆に呼びかけ始める。過去を振り返っても何も始まらない。大切なのは今である事を教えているのだ。

 ヒカリ達は涙を拭きながら落ち着きを取り戻し、すぐに前を向く。ここで落ち込んでいるわけにはいかないのだ。


「そうね。ここで落ち込んでいたら……皆に心配されるからね……前を向いて頑張っていかないと!」


 ヒカリは頬を叩きながら自らやる気を奮い起こし、倫子達も立ち直って戦闘準備に取り掛かる。孤児達の仇を討つだけでなく、選ばれし戦士達として戦う覚悟を示さなければならないのだ。


「そうね。今回の戦いの反省を踏まえて、更にレベルアップする必要があるし、一つの事に固執せずに二手や三手に分かれて行動しないと!」


 エヴァの提案に皆が頷き合い、そのまますぐにアルストールがある方向に視線を移す。アミリス達は先にその街に辿り着いている為、急いで援護に向かわないといけないだろう。


「今頃戦いが繰り広げられている……アミリス達がやられる前に急ぐぞ!」


 零夜の合図に全員が頷き、そのままアミリス達の元へ駆け出し始めた。



 アミリス達と雷轟の戦いは白熱の展開となっているが、彼のサンダートライデントによって苦戦を強いられていた。槍さばきも上手いのは勿論だが、槍から放たれる雷によって上手く近付く事が出来ないのが現状だ。

 アミリス達も素早い動きで対応しながらも戦うが、雷轟のトリッキーな動きによって次第に押されている。まさに絶体絶命だ。


「くそっ!あの槍、とんでもない威力だ!」

「下手したら感電するし、要注意ね……こんな時、ヒカリ、ルリカがいたら……」


 ソニアは悔しそうな表情を浮かべながら睨み付け、アミリスは冷静に考えながら真剣な表情をする。誰もが冷や汗を流していて、今いるメンバーでどう乗り越える事ができるのか不安になるのも無理はない。


「観念しろ。ここがお前等の墓場だ!」

「ちっ!」


 雷轟が槍を構えてソニア達に襲い掛かろうとしたその時だった。



火炎蓮華(かえんれんげ)!」

「っ!?」



 なんと炎の球が雷轟に襲い掛かり、次々と爆発を起こす。彼はダメージを受けて後退してしまい、態勢を整え直し始める。


「今の攻撃……どうやら来たみたいね」


 コーネリアが笑みを浮かべながら空の方を見ると、なんと零夜が上空から駆け付けてきた。そのまま彼は彼女達の前に着地して笑顔を見せる。


「遅くなってごめん。あの後また捕まったけど、落ち着かせたから」

「その様子だと……彼女達はもう大丈夫みたいね」


 零夜の説明にマーリンが納得したその時、雷轟が槍を構えながら彼等に襲い掛かろうとする。


「「「はっ!」」」

「ぐほっ!」


 ところがエヴァ、キララ、ジェニーが駆け付けて、雷轟を蹴り飛ばしてしまう。彼は攻撃が不発に終わり、地面に激突してしまった。


「エヴァ、キララ、ジェニー!」

「間に合いました!」


 杏の叫びにジェニーが笑顔を見せた途端、ルリカ、ミミ、倫子、ヒカリ、日和、ジャンヌ、マリーも駆け付けてきた。これで十六人の戦士達が全員集結という形になったのだ。


「雷轟、あなたは罪のない孤児達を容赦なく殺した……あなたのその罪、裁かせてあげるわ!」


 ヒカリは怒りの表情で雷轟を睨みつけ、剣の先を彼に向ける。同時に零夜達も武器を構えて彼を睨み付け、形勢が逆転したのだ。


「数が増えようとも……俺の敵ではない事には変わりはない!裁かれるのはお前等の方だ!」


 雷轟が宣言したと同時に、地面から電流が流れて彼の方に向かっていく。そのまま彼が電流を平然と浴びたその時、電流は鎧となってその身を纏い始めたのだ。

 そして電流が止まった途端、雷轟の姿は戦国武将の姿に変わっていた。雷の全身鎧となっていて、右手にはサンダートライデントが握られている。まさにラスボス感の雰囲気がありそうだ。


「だったら逆に言わせてもらう。俺達はお前を許さない!その罪を……償わせるのみだ!」


 零夜達は戦闘態勢に入りながら雷轟を睨みつけ、彼との戦いも第二ラウンドに入り始めた。

ヒカリ達が立ち直り、全員集結!果たしてどうなるのかに注目です!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 分かりやすい数の暴力がとても素晴らしかったです。この緊迫した場面で、泣いているのは無理もない、わけはないだろう、と突っ込みたくなりました。今回もとても面白かったです。
[一言] 雷轟との第2ラウンド!! 期待です(•`д•´)
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