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第7話「ツインピークス」

明け方から3時間だけ寝て悟の家に向かった。プレゼン大会の会場はもちろん小林邸だ。悟の家なら資料になりそうな映画のDVDが山ほどあるし、広いし、何よりも行き慣れている。加藤さんも一度行ってるし、場所はすぐに悟の家ということに決まった。


「さて、誰の企画からプレゼンしてもらおうかなぁ?」

悟は企画書が入っていると思われるクリアファイルを片手に持ちそう言った。

それぞれに顔を見合わせたが、もちろん我先に!と手を挙げる者はおらず、それぞれに「どーぞ、どーぞ」と譲り合う事に。

「まぁ、こんな事になるやろぉ思ってクジ作っといたで」

そう言うと、悟は机の上にある紙袋を取り出す。

「こん中に番号が書いた紙切れが3枚入ってるからそれぞれ1枚づつ引いて」

準備がいいなこいつ。

クジを引いた結果、僕が1番、2番が悟、そして最後は加藤さんとなった。1番はちょっと緊張するけど、こーゆーのはサッサと終わらせた方が気が楽だし、ここは前向きに考えよう。

「えーと、では僕の考えた企画を発表したいと思います〜」

「おぉー、期待してるでー!」

パチパチと2人から拍手が湧く。

「えーっと、どうも。僕が考えた企画は青春SFものです」

と、話し始めた。僕が考えた企画は簡単に説明するとこうだ。

男女3人の中学生は毎晩不思議な夢を見ていた。その夢の中では世界に3人しかおらず、自分以外の2人は全く知らない人物だ。しかし、夢の中ではとても親しそうで、協力しあって生活をしている。そんな夢を毎日しかも1年以上見続けていたため、夢の中の生活が現実で、現実と思っているのが夢なんじゃないか?と疑う様になった主人公の少年は、夢についてネットで色々と調べ始める。そんな中でたまたま見つけた”夢日記”というブログを読んで驚愕する。そのブログに書かれている夢の内容は自分が見ている夢と全く同じだったのだ。厳密には全く同じではなく夢に登場する女の子の視点だった。

興奮した主人公はブログに「自分も同じ夢を見ている」とコメントする。すると、ブログを書いている人物から、詳しく聞きたいと返信があり、とりあえずTwitterをフォローしてくれ、と言われIDを教えてもらう。すぐにフォローした主人公はブログの書き手としばらくDMのやり取りをし、2人が共通の夢を見ていると確信する。お互いの写真を送ったのが決定的だった。夢に出てくる人物と完全に一致したのだ。そして、残る1人を探すことにする。といった感じの内容だ。

「おぉ、めっちゃおもろそうやなぁ!」

悟は興奮気味にそう言ってくれた。

「ほんと、凄く続きが気になる!」

加藤さんまでそんな嬉しい事を言ってくれる。

「で、最後はどうなるん?」

「最後は結局なんでそんな夢を見てるのかよくわからないまま終わろうかな、って思ってる」

「えぇー!そーなん!?それはどーなんやろ?実はラスト思い付かんかっただけなんちゃう?」

「一応、なんとなくは考えてるんだけど、真相がはっきりわからない方が面白いなかって。ツインピークスも犯人がわかるまでが面白いじゃん?それに、現実の世界では真相がわからない事の方が多いと思うんだよね。あれって結局なんだったんだろ?って」

「なるほどなー。まぁ、おもろそうな企画である事は間違いないわ」

「うん、そうね。これから練っていったらもっと良くなりそう。ラストに関してもどうするか3人で色々考えるのも楽しいかも」

こうやって自分が考えたストーリーを仲間と言える2人に聞いてもらうのはなんだか気恥ずかしくもあるけど、嬉しいものだ。今までこんな経験をした事がないし、もしかしたらこんな体験が出来るのは今だけなのかもしれない。そう思うとなんだか少し切なくもなってしまった。


次にプレゼンした悟の企画はなんとSFアクションだった!

超能力を持った美少女ヒロインが悪の組織と戦うというもの。加藤さんがヒロインの美少女を演じるのはもちろんなのだけれど、僕も悟もお面や被り物を被って1人で何役もするらしい。ストーリーらしいストーリーはなく、とにかくヒロインがばったばったと敵をなぎ倒していく、という内容。

「アクションかぁ、確かに加藤さんなら美少女ヒロイン完璧ハマりそうだね」

「あたし、アクションとかできないと思うけどなぁ」

加藤さんは困った表情で弱気な発言をしている。

「いや、加藤さん大丈夫やって、本格的なアクションやないねん。これは“ワンダーマスミ”へのオマージュやねん」

ワンダーマスミ?なんだそれ??

「ワンダーマスミってなんだよ?そんな映画知らないよ?」

「あれ?大月は“アオイホノオ”見てなかったか?」

「アオイホノオ?そんな映画があるの?」

「いや、ドラマ。原作は漫画やねんけどな、そのドラマに出てくる自主制作の映画がワンダーマスミやんか」

そう言うと、悟は本棚から“アオイホノオ”と書かれたDVDを取り出して、PCで再生を始めた。

それは、劇中劇の様な形で主人公が通う芸大で自主制作の映像作品を流すというイベントがあり、その中で流れる作品だった。なるほど、これくらいのアクションならなんとかなるかもしれない。

「てか、このドラマおもしろそうだな。DVD貸してよ」

「ええで、日本のテレビドラマでは1番おもろいと思うわこれ。加藤さん、あれくらいのアクションならいけそうやろ?」

ドラマの中ではワンダーマスミ役を小嶋陽菜が演じている。確かにアクションはかなり単純で特に大変そうな事はしていないから誰でも出来そうな感じではある。あと、加藤さんの方が美少女感が出せるだろうな、などと考える。

「んー、そうだね。あれぐらいならなんとかなるかも」

加藤さんも簡単なアクションしかないということで少し安心したみたいだ。

そして、次はいよいよ加藤さんのプレゼンだ。加藤さんがどんな企画を考えてきたのかめちゃくちゃに気になる!


(つづく)

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