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Vol.3 夢幻郷


気がつくと、廉は真っ白な空間の中にいた。


「やあ………来たね」


目の前に椎那が立っている。

白い服を着ているので、背景と重なって

姿が見えにくくなっていた。


「ここが異世界…………?」


廉は辺りを見回した。

何もない。それに、不気味なほど静かだ。


「いや、ここはまだ君の意識の中だよ。

ほら、後ろ見てごらん」


椎那が廉の後ろを指差した。振り返ってみる。

……前言撤回。何もなくなかった。


そこには、大きなルビー色の宝石のようなものが

浮かんでいた。


「それが君の夢人の"資質"だよ。俺たちは

ドリームストーンと呼んでる。君のは綺麗な

赤色だね。真岡ちゃんのは深い青だったよ。

ちなみに、俺はエメラルドグリーン」



「……あんた、なんで他人の意識の中に

入れるんだ?」


そう尋ねると、椎那はちょっと

得意そうな顔をして答えた。


「俺ほど強力なドリームストーンを持っていれば、

そうすることが可能なんだよ。……まぁ、それは

置いといていいから。近くでよぉく見てごらん。

何が見える?」



廉はドリームストーンの前に立った。

顔を近づけてみる。回転する正八角形の中に、

「なにか」が見えた。


その瞬間、ドリームストーンがカッと光った。

あまりの眩しさに目がくらむ。

同時に、一瞬身体が宙に浮いたかと思うと、

ドシンとうつ伏せに落ちた。


「うわっ?!」




その地面は、さっきまでの白い地面ではなかった。

そこはやわらかい土に覆われ、みずみずしい草の

匂いで満ちていた。

立ち上がって周りを見渡した廉は、

目の前に広がる光景に圧倒された。


コバルトブルーの美しい空。そこに浮かぶ桜色の雲。

見たこともない神秘的な草木や花が生い茂り、

無数の緑樹が天に向かって伸びている。

不思議な姿形をした動物たちが、廉の足元を

走り抜けていった。

壮大なジャングルのはるか先に、巨大な白い城が

悠然と建っているのが見える。


椎那が両手を広げ、はずんだ声で言った。




「ようこそ、美しい神秘に満ちた幻想世界……


夢幻郷ファンタジアへ!!」







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