ああああああああああ
翌日、異変は起こった。
時間は一時間目の途中、九時半を回ったところだった。
「ああああああああああああーーーーーーーやめろおおおおおおおおおおお静かにしてくれぇぇぇーーーー」
ある男子の奇声が教室の静寂を切り裂いた。
「え?何?」
「どうした?」
「長谷川?」
クラス全体がその男子、長谷川幸太に注目して、呆気にとられ口をポカンと開けていた。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
再び奇声をあげると、その長谷川は教室から走り出してしまった。
「あ、おい!長谷川!」
先生の制止もむなしく、長谷川の姿は見えなくなってしまった。
「君たちは教科書の問題をやっていてくれ!」
そう言って、先生も長谷川を追いかけて教室を出て行った。
しかしこんな状況で真面目に問題を解くものなどいるはずもなく、皆近くの友達と今の事について話し、教室はざわついていた。
長谷川幸太は大人しい男子だった。長谷川の特徴を一言で言うなら「普通」。容姿は可もなく不可もなく。テストの順位も真ん中。運動も良いとは言わないが、出来ないわけでもない。とにかく「普通」だ。
今まで目立つようなことが無かった奴がいきなり、発狂して教室を飛び出す。なんて行為をわざとするだろうか。
その時、太陽の携帯が振動した。
「ん?立花からメール」
受信画面には「立花楓」の表示があった。昨日、一応メアドを交換しておいたのだ。
『今の恐らくドッペルゲンガーが関わってるわ』
「!?」
今のがドッペルゲンガーが関わっているという事は、長谷川は何か能力に目覚めたという事なのか?だとしたら、どんな能力が長谷川をあんな状況にしたのか?
「ふ~戻ったぞ~」
太陽がいろいろ考えていると、疲れた様子で先生が戻ってきた。
「長谷川どうなったんすか?」
生徒の一人が質問した。
これに関しては誰もが気になるところだろう。
「ああ、体調が悪いみたいで、今保健室で休んでる」
ありふれた回答であるが、とりあえず無事であることが分かって、生徒たちは安堵した。




