表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
5章 港町防衛戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/121

第99話 海戦開始

 鬼人族、というより多種多様な種族の港町『ハコダテーネ』防衛組のリョウコ、ナオエさん、サチさん、リキさん、ウィンディードさんと、有志で突然名乗り出たリンカさんがテストプレイヤーの出現ポイント付近へと移動を開始しようとしていた。


 テストプレイヤーのテレポートの拠点になる「祠」は港町の中には無いらしく、突然出現することは無いだろう……とのことだったが。大丈夫だろうか?


 ってか、防衛組の中にあまり戦闘をしてこなかったリンカさんが入って大丈夫なのか? 思わずいつも隣にいるナオエさんに聞いてしまう。




「あー……なぁ、大丈夫なのか?」


「リンカちゃんの『重圧』スキルを駆使すれば相手の動き封じられるから……」


「はい。あと、ここが『分岐点』になる感じなので行かないと多分駄目な気がするんです」


「例の「カミのお告げ」みたいなスキルが言ってるの?」


「そうですね……それもありますが、『勘』ですねっ!」


「『勘』か……」


「カンだったのね……」


「勘であれか……」




 リンカさんもアヤノさんを連れて島中を逃げ回って、妖魔の砦からの大脱出……とかして俺らのもとにたどりついた……って事を考えると……うーん。強運なのはわかるけど。


 何かみんなも心当たりがあるみたいだけど、なんでだ?


 見送りに来ていたアヤノさんが口添えをする。


「リンカちゃんなら大丈夫……この中では……一番危機を乗り越える事が出来る子だから」


「危機を……」


「ええ。彼女には……その。時々、色々と未来が分かるみたいに行動するのよね……」


「任せてくださいっ! 大丈夫ですよ。みんなまとめて守ってみますから」


「……???」


「?」




 リンカさんの持っているスキルの『神のお告げ』的なものはそこまで強いのだろうか? ってかスキルを使う前にやられちゃったら元も子もないような?? 


 よく漫画とかである「10秒先の未来を予知」できたりするのかもしかして?




「まぁ、リンカも武術訓練参加しててさ、避けるの滅茶苦茶うまいから多分大丈夫」


「そうね。リンカさんの『重圧』のワールド設置はかなり強力なのよね……それに、リンカさんがやられる状態だったら……私たちは全滅している状態だから安心して」




 サチさんの変な太鼓判で何とも言えない空気になる。


 なんでナオエさんが驚いた表情をしてるんだ? リキさんは頭を抱えているし……




「……安心しきれないな……」


「先輩、大丈夫ですよ。私がいるんですから。やり直し組が全員集まって徒党を組まない限りは何とかなります。今のレベル差だったら無双できちゃうんですから。この時点ではチートですからね、私」


「……余計心配になったぞ……」




 リョウコの強さはわかっているが……例の最後まで生きぬいた猛者が集まってなければ……って集まってない保証はないんでしょ? 困ったな……どうすれば……




「さ、時間も無いから移動しましょう。カタシ君、足止めよろしくね。できれば早めに船を沈めて援護に来てね」


「……わかった。気を付けて。ヤバくなったら撤退で」


「わかってるわ。SPの残量に気を付けて」


「危なくなったら拠点に戻ってくれ」


「わかってるわ」


「……やっぱり俺もそっちに……」


「駄目よ!もう!!」


「いや、しかし……」




 リョウコが俺の肩をつかみ、俺を待つショウコさんを指さす。あっち行けって事か……


「先輩? 作戦の肝の空爆しっかりやってくださいね!」


「すまん……」




「それじゃ」


「先輩、頑張ってくださいね! たいていの事は何とかなるので! 戻ってこないでくださいね!」


「お、おう……」


「いけっての!!」


「わ、わかった」




 考えてみたら完全別行動は初めてだな……いつでも救援に行ける距離にいたし……


 心配過ぎる……『分身』のスキルとかほしい……


【本当に過保護ですね……】




 §  §  §  §





 ショウコさん達も拠点砲撃組の仲間との別れを惜しんで……と言うよりタチキさんが心配してショウコさんが困った顔をして……って俺もあんな感じに見えてたのか?


【そうですね】


 自重しないと……と思うけど無理だよね。気持ちはわかるよ。タチキさん。




「たっくん………大丈夫だから。カタシさん。行きましょうか」


「すみません、遅れて」


「はい………………そろそろなのね……いよいよね……緊張するわね……ふぅ……」


「大丈夫ですよ。飛んでくる弾は効きませんから、船の上を飛んで帰ってくるだけですから」


「ほんと大丈夫なんですか??」




 恐らく今回俺たちは、砲撃拠点に籠るよりはとても安全なミッションなんだけど……そうは思えないよなぁ……出撃する感じだし。タチキさんもすごい不安そうだ。


「大丈夫だ。もしもの時は『固定』で守るから」


「わかってはいるんですけどね…………おばさん、頑張って!」


「……がんばるわ。賞金のためにも……学費が免除みたいなものだものね……」


「突然現実的な……」




 あちらでの世界の面識があると……年代差があると会話がおかしく見えるんだよなぁ……


 タチキさんがショウコさんに向ける目は、「友達のお母さん」と言うよりも初恋のお姉さんに見えるんだけど……わかってるのかなぁ……


【あなたは他人を見る観察眼は良いのですが……】




 §  §  §  §




 拠点砲撃組が見守る中、俺はショウコさんの『飛行』で近づいてくる船団へと向かう。


 もうかなり近づいて来てる状態だな。手はず通りに砲撃しやすいように船団を縦に『整列』させないとな……


 気づかれないように、かなりの高度で飛行して近づいていると、翼を生やした人間……有翼人が数十人港町から飛び立ち並列して進む船に向かっているのを確認した。足に小型の樽みたいなのを持ってるから。あれを投擲する感じか? 爆弾みたいのがあるって言ってたけどあれか?


「カタシさん、あんなに低い場所を飛んだら……当たるんじゃないですか?」


「致命傷は受けない……とは思いますが当たりますね……」


「……もう少し速度を上げたいんですが、これが限界で……」


「彼らの援護はせずに、俺たちは手はず通り、彼らが爆撃しない船を足止めしましょう」


「……わかりました……」




 船団の方でも有翼人の集団の接近に気がついたようで、船主に兵士が集まり鉄砲の発砲音と煙が巻き起こる。打ち上げ花火の連続で音が鳴るやつを連射してる感じだ。有翼人も銃の知識がある様で左右に揺れるように飛んで近づいているみたいだ。あれなら偶然当たる事はあっても早々は……え? 急にバランスを崩してる?




「ああ……当たってしまった……」




 悲しそうなショウコさんの声と共に有翼人の一人が海の方へと落ちていき樽を放り捨てて離脱していく。さすがにアレだけ打てば当たるのか……数の暴力ってやつか……




「カタシさん。そろそろ射程かしら?? コッチには気が付いてないみたいなんだけど……」


「丁度彼らが囮になっている様なものですね……助かります」




 相手から見ると空を飛ぶカモメくらいにしか見えてないだろうなぁ……


 俺は目的の船の上、高度200メートル付近にとりつくと、「カプサイシン」もどき弾を『自動追尾』で投擲する。見張り台、甲板、ブリッジ、階段らしきもの部屋……取り合えずまんべんなく投げておく。甲板に出て有翼人を迎撃していた人間が一斉に苦しみ始める。何人かは海に飛び込んじゃってるけど……大丈夫なのか?? あ、なんか黒い影が……可哀想で見てられないな。次、次っと……




「それじゃ次へ行きましょう」


「……凄いわね……全部当たってる……苦しそうねやっぱり」


「次は火炎瓶ですね……」


「……全部「唐辛子爆弾」じゃだめなのかしら……」


「相手は殺す気で来てますからね。やらないと駄目です」


「そうよね……はぁ……嫌になっちゃうわね……」




 計画では、「カプサイシン」弾を投げた後、「火炎瓶」を投げてどちらが有効かを見て次から判断する……って事になってるんだけど。甲板に人が多かったら「カプサイシン」もどき弾で、いなかったら「火炎瓶」で良さそうだな。


 次の船の上空に着く。先に人間がたくさんいる場所に「カプサイシン」弾を投擲した後、『火炎びん』を投擲開始する。こちらもまんべんなく……燃焼しやすそうな荷物を中心に……落ちても火が付いたまま……よし広がった。大丈夫そうだな。思ったより燃焼が続くからいけそうだな。


【計画とは違う投げ方に思えますが?】


 まぁ、これだったら人間が直接焼け死なないだろうしね……ってか甲板は大混乱だな、これ。


【敵にも情をかけるのですね】


 日本人ですからね……俺は。海賊は追い払えれば良いんだよ……




「すごいわね……作戦成功……って感じね」


「そうですね……あと3隻ほど続けます。大分船団がばらけていますし。作戦通りですね」




 ドォオン!!! ドォオン!!! ドォオン!!! ドォン!!!




 すさまじい音が砲台拠点から発せられる。それと共に先頭を進んでいた海賊船の側面に巨大な丸太の様な槍が突き刺さり、爆発したり火が巻き起こったり赤い煙が巻き起こる。




 ドーーーン!!!!




「きゃっ!!!」


「うおっ!!!」




 何かに誘爆したのか、映画の爆発シーンのように直撃を受けた船が大爆発を起こす。


 船体を貫いた火のバリスタの弾が爆薬庫にでもあたったのだろうか? 火薬庫の場所が分かれば簡単に破壊できたのか……ってか、バリスタの弾の貫通力が強いおかげか?




「すごいわね……勝てそうね……」


「そうですね……次行きましょう。混乱しているうちに」


「はい」




 俺たちが次の船に行こうとすると、手前にいた3隻の船が一斉に回転し始め、船体の側面についていた窓が開き始める。


 あ……あれ、全部の窓に砲身が……あれ……ヤバいんじゃ……




 ドドドドドドドーン!!!




 すさまじい轟音と煙が発せられ、砲台拠点に対して雨あられと砲撃が放たれる。ちょっと……大丈夫なのかこれ?? くそっ!! 土煙で見えない!! 船から発せられる砲撃の白い煙で見えにくい……くそっ!! どうなってる??




「カタシさん!! 投擲を!! 大丈夫です! ジンパチさん達が計画したんですから!」


「……わかりました! 行きます!!」




 俺は確認しに戻りたい気持ちを抑え、白い硝煙に包まれながら先ほどと同じように弾を投擲していく。


 ああ、くそっ! じれったいな!


 船をたたき割るようなスキルがあればすぐにでも使うのに!!!




 それからも砲撃拠点からの巨大魔改造バリスタの砲撃と船団からの砲撃合戦が続く。砲撃が続くって事はみんな無事って事だ。正直なところ、土煙と硝煙が上がりすぎるのと、砲撃の爆音と『固定』盾の維持と投擲とで頭が回らず、周囲の把握は完全にできていない状態だった。


 爆発音が連続すると音の振動で意識が平常を保てない気がする……変な高揚感がある……ショウコさんの方が冷静だな……時々手が止まる俺の顔をたたいたり、ガイドをしてくれる……




「カタシさん!! しっかり!! 計画だと、あれで最後です!」


「すみません、頭がぼーっとして……やります!!」




 俺は計画通りに7隻あるうちの5隻に対しての爆撃を終了させる。最後の方はこちらの方に気が付いた船員たちがこちらに銃を乱射していたが、たまにローカル『固定』の盾に雨のようにあたるくらいで……って無かったら大怪我か……死んでたな……スキル様様だな……ローカル展開だとSP消費が早いな……ってか飛行は大丈夫か??




「SPはどうですか!? 残量!!」


「大丈夫です!! あと20分は持ちますよ! 相手の銃が届いてますよね? 大丈夫??」


「大丈夫です! 行けそうですね……これなら旗艦、相手のボスに爆撃をして……」




 §  §  §  §





 ドーーーーーーーーーーーーーーーン!!!! ゴゴゴゴゴゴゴ……




 それは突然起きた。




 凄まじい閃光が起きたと思い振り返ると、港町にとんでもない光の……爆発が起き……すべてを吹き飛ばし……空気が震える。まるでこの世の終わりの様な光景だった。


 そして俺の体を……悲しみ……怒り……焦燥感……が突き抜ける。




 心の底から感情が爆発する。




 殺す、殺す!!! 許さない!! 俺の大事な人たちを!!!!




【カタシ! 落ち着きなさい!!】




 なにを言っている!! あいつ等を!! あいつを!!!




【今はまだ起きていません!! 現実に戻りなさい!!】




 突然視界が激しく揺れる。




「カタシさん!!! カタシさん!!!」


「あ、あ……」


「カタシさん!! しっかり!!!」


「なにが……」




 ……え? 空が青い……空爆……している最中……か? 


 何も起きていない?


 夢……じゃないよな……あんなリアルな……スキル?? 何が起きてる??


 心臓がバクバクとうるさく鼓動をしている。


 これは幻覚……か? 




「カタシさん! 今、変なイメージが頭の中に……どうなってるんでしょう?」


「ショウコさんも……ですか? 爆発してましたよね……」


「ええ、同じものを見ていたみたいですね……核実験の動画みたいな……」


「同じ……ですね……」




 俺はイメージの共有にも驚きを感じていたが……凄まじい感情が突き抜けた……


 あの感覚の印象の方が強かった……怒り……とても強い……人生で一度も感じたことのない感情だった……あれは……絶望……恨み……殺意というものだろうか……




 気力が抜けていく感じがする……ほっとしてるのか? 


 俺? 戦闘中だぞ??




(カタシさん! 戻って来て!!! あなたの力が必要なの!! 早く!)





 頭の中に声が鳴り響く。アーゼさんじゃない……これはリンカさんの声? 知らされていないスキル??




(わかった!!)


(なるべく早く!! 手遅れになる前に!)




「ショウコさん! 出来るだけ早く港町へ!」


「わかったわ! コッチにも連絡が来たわ!! 止めないと……あなたなら止められるわ!」




 俺の頭の中には、どうやったら爆発を抑えられるかのイメージが流れてくる。リンカさんのイメージだろうか? 『固定』だけで行けるのか?? 


 でもやらないとみんな死ぬな……これは。




 §  §  §  §

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ