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「バトロワ」無視してサバイバルライフ ~デスゲームに巻き込まれた俺は「攻略」しなかったら最強になってた件  作者: 藤明
5章 港町防衛戦

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第97話 空中移動は絶叫アトラクション?

36日目




アスティナさんが拠点をたってから二日経過していた。


遠距離攻撃用の兵器の準備がほぼ終わり、前線用の拠点用器具の準備を進めていた。


ほとんどケイさんの『地形操作』での拠点づくりになるんだけど、移動が快適になるとかなんとか? 地面を掘った後に天井を固め通路を作る……らしいが……組み立て式の支柱なのかな? 炭鉱みたいになるのだろうか?


アヤノさん以外でも持ち運びできるサイズでプラモデルのように組み立てるらしい。プレハブってやつか。


結構な重量だけど、ステータスが上がったおかげで誰もが持ちあげて四次元収納ポーチに入れられるようになっていた。


戦闘にあまり参加していない女性メンバーでも持てるって……ステータスって、どれだけチートなんだろう?




兵器作成中に攻撃用に「カプサイシン」もどきの代わりに「毒」などをまき散らす……など物騒な案もあったが、この世界の物質の事が良くわからないのでお蔵入りになっていた。まぁ、危険な植物が結構大量にある……ってのもアヤノさんの『家事』スキルで知れたんだけどね……恐ろしや異世界、異生態系。





俺は皆が頑張る中、カイトさん達と一緒に、重量を上げた状態での『固定グライダー』の飛行テストを重ねていた。


最終試験として……高さ百メートルの海岸の岸壁の上に立っていた。重量も最終的な登場人員の1,5トンを載せ……って……重すぎない? 20人もいればこれくらいか? 太った人は一人もいないのに、この重量かぁ……重いよな、やっぱり?




「ナオエさん……本当に全員くるの?」


「そうなってるわね。今回はケイさんの作った地下塹壕に逃げれば……襲われないでしょうから……安全らしいわね」


「なるほど……」


「戦闘できる人間がほぼ出払う状態になっちゃうから、残る方が危険なのよね……砦だとは言え」


「まぁ、空からくる飛竜に対しては弱いもんなぁ……」


「建物もかなり頑丈だから耐えうるって話なんだけどね」


「まぁ、先日のあの飛竜見ちゃうとね……」


「最初はパニックになってたらしいわよ」


「まぁ、アレだけ大きければそうだよねぇ……」




アヤノさんがどこかの映画のマッチョな主人公のように丸太を担いで『固定グライダー』の木の骨組みの上に置く。


「これくらいでいいかしら?」


「おそらく……」


「すげぇな……相変わらず色々と……すごい世界だな」




確かにすごいよな……現実で丸太を軽々と持たれると、色々と認識がバグるな。一本が一トンくらいあるんだよね、あれ……


「アヤノさんの『重量軽減』ってどこまで軽くできるんですか???」


「そうねぇ、体積依存だけど……今だと部屋一つ分は調整できるかしらね」


「部屋一つ分……」




六畳なのか12畳なのかはわからないけど、かなりの体積だな……まぁ、重さで運ぶのに困ったらアヤノさん呼べばいいか。




「それにしても……不思議な飛行機ね……骨組みとプロペラだけなんて」


「ああ、『固定』が見えないからどこに捕まっていいかわからないだろ?」


「あとは俺が『回転』で、どこをどう回せばいいかもわからないからな……」


「なるほど……」


「未完成品にしか見えないんだけどね……」


「私には子供が作った飛行機ごっこ……に見えるのだけれども……」




まぁ、アヤノさん達の気持ちもわかる。子供用の飛行機型ジャングルジムに乗って空を飛ぶイメージだ。風を受けるのは『ローカル固定』された空気だから重さはほぼなし。なんだだけと、空気抵抗、風圧はかなり受ける。まぁ、地球のどんな素材よりもチートな素材になっている。


物理法則を考えながら仕様の穴をつく……そんな飛行機だな。これは。




「……これに乗るのよね……3日後は……」


「もしもの時はウキヨさんが全員を浮かせるから大丈夫ですよ。まとまればできるらしいですし」


「『固定』を切ってフレームを浮かせる……のはわかるけど、そこまで浮けるのかしら?」


「実験では丸太が浮いてましたね」


「まぁ……ぶっつけ本番に近いけどな」




俺はむき出しの運転席……に立ち、カイトさんが最後尾に着く。もちろん『回転』も近ければ近いほど燃費も威力も増すらしいからプロペラの横だ。


「じゃぁ、行くぞ! って、あれ? 俺は何もできない?? 固定で台を作る??」


「あ、アヤノさん。俺たちを軽く持ち上げてくれるか?」


「ええ、わかったわ」




軽々とアヤノさんが土台ごと俺たちを持ち上げる……赤ん坊になった気分だ……小さい時に親父に乗り物ごと持ち上げられたことを思い出した。


「不思議ね、これが飛ぶなんて……『固定』は使ってるの?」


「ええ、使ってますが……スキル干渉もしませんね……直接触らなければいいのか?」


「計算の順番次第なんだろうなぁ……地面に足をつけるのが条件か?」


「……難しいこと言わないで。結構『重量制御』がむずかしいんだから。それじゃ投げるわね。えいっ!」




「ちょ!!」


「うぉっ!!」


「本気??」




アヤノさんが躊躇なく俺たちを崖下へと投げる。合図とか無いんすか??


カイトさんが慌てて『回転』をかけて骨組みに固定されたプロペラを高速で回しだす。


え? 沈んでいく?『固定グライダー』翼延長展開!! あれ? それでも落ちてく??




「カタシ! ちょい上へ! 水平翼を上向きに!」


「わかった!」




『固定』水平尾翼を調整する。それでも沈んでいくような?? 重量ありすぎるんじゃない?……落ちる感覚が……




ヴォオオオオオ!!!!!




プロペラの回転が上がっていく。スゴイ回転音だ。……あ、浮いた??


ふぅ……ってか……風が……口の中に……よくわからいが、かなりの速度になってるんじゃいの!?? ぷぺっ……息が……




「この回転数で落ち着くか……SPの減りは……そこまででも無い!! 大丈夫だ!!」


「早い!! 息しにくい!」


「我慢しろ!! 重いと速度が無いと沈むから……横向いてしゃべるしかないかこれ……」




これは大変だ……全員分のマスクが必要だ。時速二百キロくらいな気がするんだけど??


風よけに固定を顔の前に出すか。うん、大丈夫になった。一応カイトさんの目と口の前にも『固定』をローカルで……なんか驚いた顔をしてるけど。まぁ、息しやすくなったらそうなるか?




「……ありがたいが……カタシに逆らったらすぐに死ねそうだな」


「え!?? なんで!?」


「?!……あんたが善人でよかったって事だよ!!」




カイトさんは余裕あるな……俺は『固定』のマスクと、『固定』の船体の維持と『固定』舵の操作で頭がいっぱいいっぱいなのに……『回転』の維持はそこまで難しくないのか?


とりあえず消費SPの計測ができる10分をめどに旋回して戻る……だったっけか……


重量が無いと自由自在だったけど、丸太を1.5t分載せるだけでこんなに大変になるとは……集中力がもつかなこれ……




俺たちは大体十分間の飛行テストをして旋回して拠点へともどる。何やら慌ただしい雰囲気に見えるが……まぁ、着陸テストもしないとだからな。


「それじゃお願いします!!」


「わかった!!」


骨組みに着いた四隅のプロペラをカイトさんが回し始める。ドローンってやつだよなぁ……見た目は。


地面に近づいて……何かどんどんゆっくりに、プロペラの音は爆音になっていく。それでも大分……速いな? 減速しきれてないような……


「これが最速だ!! この速度だと大丈夫か!??」


「最後浮かします!」




地面に降りる手前で舵を上昇方向に切る。紙飛行機の最後の上昇する抵抗のように一瞬軽く上に浮いた後地面へと落ちる。




ズゥン!!!




すごい衝撃が木の骨組みの船体に走る。さすがに1.5トンは重すぎた様だ……


「……キツイなぁ……」


「『飛行』か『浮く』を最後にかけてもらわないと駄目かもな……テストだと浮けたが……静止している状態だったもんな……」


「下降するエネルギーがそれだけ強かったんですねぇ……ちょっと身の危険を感じました」


「おいおい、カタシが駄目だったらステータスの低い俺は確実に死ぬだろう……お前には『ゴム』があるんだから」


「あ、そうか……もしもの時は乗組み員に『弾力』をかければ……」


「……そんな事もできるのか……何でもありだな」




なんかふと心の重荷が取れた。困ったら全員で『ゴム』になればいいね。


スキル干渉しないと良いけど……実験しないとだな。


【その暇はなさそうですよ】


……え?




アーゼさんに言われ、拠点方向を見ると……


慌ただしく拠点の仲間が作業を……と言うより移動準備をしている様に見えるな。四次元収納ポーチに色々と分解して入れ始めてるし。


何事? と思っていたらジンパチさんがとんでもない速度で走り寄ってくる。全く息切れしていない。さすが『健脚』スキル。




「カタシさん。どうやら動きがあったようです。海賊たちが拠点から出港準備をしているとの連絡がありました。明日には戦いなるかと思われます」


「……え? 3日ほど早くないですか?」


「予測していた、「相手側にも最後まで生存していた人間がいる」パターンかと」


「……なるほど、黒い化け物が大量に沸く前にお宝ゲットして逃げる作戦……ですか」


「そうなりますね」


「ジンパチさん、人数分のマスクが必要だ。速度がありすぎて空じゃ息できなかった」


「……え? そんなに早いんですか?? 時速50kmくらいって話じゃ……」


「……バイクより早かったな……」


「高速道路なんてもんじゃないかったな。200㎞は出てたような……速度が無いと浮かないんですよ」


「そんなに……てっきり鳥人間コンテストくらいの速度だと……それだと骨組みと体を固定するベルトも用意しないとですね……」


「すいません、急ぎでお願いします」




§  §  §  §




一時間もすると、連絡を受けた探索組も帰ってくる交信石が無かったら大変だったろうな。やっぱり連絡手段は大事だね。


彼らの到着前に色々と準備を終えていた。


木の骨組みの上に立ち、ハンドルをしっかりと持ってもらう。高さに不安のある人には簡易的に作ったとは思えない出来のベルトを巻き付けてもらった。スキルってやっぱっりチートだよなぁ……




「なんか遊園地に来た気分だな」


「ドキドキするね!」


「ヤバいな、テンションバク上がりだよ」


「……良いわね。そんな余裕があって……これって逆バンジーでしょ??」


「飛行機乗ったこと無いんですよね……」


「……コワイネ……」


「……」


「大丈夫よ……ナオエさんので慣れているもの……大丈夫よ……」


「……大丈夫だ。俺が付いてる……」




拠点メンバーの期待と不安、絶望の表情など様々な感情が入り混じる中、スキルで飛行を制御する俺とカイトさん、ウキヨさんの表情は若干強張っていた。これだけの人命を一手に引き受ける事になるのか……ちょっとどころじゃなくてかなり緊張するなコレ。


俺は全員の足と木枠をローカル座標で『固定』する。




「ジンパチさんお願いします!」


「はい、それでは皆さん! 行きますよ!! 『物見台』『発動』!!」




ジンパチさんが支給されたカードの効果を発動させると、逆フリーホールのように一気に上空へと……こわっ!!……耳が……イタヒ……ちょ……はやっ!!! う……うお……これはすごい……




「うぉおおおおおお!!!!!」


「いやっふうー--!!」


「すごい! 島全体が見える!!!! すげぇ!!!!!!」


「すげぇ! すごすぎる!!!!」


「きゃぁああ!!」


「こ、怖いっ!!」


「ひぃいっっ!!!」


「……!!!!」




一気に千メートル上空へと俺たちは上昇する。怖いけど……ぼーっとしてられない。


『固定グライダー』発動っと! 落ちながらも滑空体勢に入っていく。ちょっと例の股の間にヒュンとくる感覚がしばらくした。かなり落下してるんじゃないのコレ??




「落ちてるうぅしいそい!!」


「だおふぁsdふぁsだ!」


「うわぁあああ!!」


「ひいぃい!!」


「うひょー--!!」


「わははははは!!!」


「ぎゃぁあああああ!!!」


「わっほーい!!♪」




まぁ……みんな絶叫するよな。俺もしたいけどそんな場合じゃない! 練習通りにカイトさんが……あれ?




「カイトさん!! 回転!!!」


「……え? すまん!! あまりの絶景に見とれてた!!!」




確かに最初に落ちてくるときに見た風景が広がってる。絶景だ。ほんとかなり広い島なのが良くわかる。大陸にしか見えないくらいだ。




ブォオオオオオオ!!!!!




プロペラの爆音と共に滑らかに滑空を始める。軌道に乗ったな。


カイトさんと視線が合うと頷いてくれる。恐らくうまく行っているようだ。若干顔が引きつってるけど……まぁ、足元には木のフレームしか見えないから……怖さの理由はわかるんだけど……


消費SPも……減っていくが2時間は持つな。目的地までは一時間だっけか? みんなの足の『固定』はSP節約のためにも解除したいけど……




俺は余裕が出てきたのでみんなの事を見回してみる。


……あれ? 何人かはベルトに巻き付いてぐったりしてる?? 大はしゃぎしている人と二極化してるな。あれ? ジンパチさん……気絶してないか?? ナオエさんが手をかざして……治療してるのか??


カオスだな……とりあえず楽しそうにしている人たちの『固定』を解除しておくか。




さてっと方向……っと。こっちであってるよな?


俺の隣にガイドとして乗っていたウィンディードさんが文字通り目を丸くしていた。


方向が合ってるかわからなかったので肩をポンポンと叩くとこちらを見て瞬きをする。


「ゴメン。ビックリしてた。スゴイ!! これスゴイ!! カタシ、スゴイ!!」




ああ……しばらく時間をおかないと駄目なやつかこれ? 目が本気で見開いてる。飛竜に乗ってるから慣れてると思ったけどそうでもなかったのか??


【飛竜は空を飛びますがそこまで上空まで飛びません。生物ですのでなるべく低い場所を飛びたかるようですね】


なるほどね……重い荷物を抱えて階段を上るようなもんか。


俺はウィンディードさんが暫く役に立たないのを理解し、遠くの方に見える港があるあの点……家だよね? 多分あれで良いよね??




「先輩!! もう少し左です!! そっちは漁村ですよ!」


「え? そうなの?」


「あの山の向こうになります!」




良かった、リョウコは全然問題なさそうだ。


俺はリョウコの指し示す方向へと舵を切った。




§  §  §  §

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