PART.20 やっぱり君は…。 後編
前回と同じ彼が出てきます。そう言う言葉が出る描写があるのでお気をつけてください。えっと、名前なんだっけ?ああ、木嶋だ木嶋。
えっと、彼はテンプレートなクズキャラなので一瞬で訪れるざまぁにご期待…できませんが気軽に楽しんでいってください。
「友里さん…。」
「あとは任せて?」
「…分かりました。」
「あ~あ、やっとタメ口で話してくれたのになぁ…。家でしかそう話してくれないし。」
「…分かったよ。」
「よく出来ました。(ナデナデ)」
「…。」
俺は近づいてきた友里さんに頭を撫でられ、昂った感情を沈めることに成功する。しかし、同時に今まで叫んだ内容が聞かれていたことについて急に羞恥心に襲われ、顔が熱くなるのを感じた。
「ねぇ。木嶋君っていうんだね?」
「は、はい!木嶋快晴です!」
「うん、別にフルネームを知りたいわけじゃないんだ。寧ろ知りたくない、知りたくなかった。」
「…え?」
「私はね?健也君のことをすごく信頼してるの。彼ってすごくメンタル強いんだよ?ホント、いろいろ我慢させてるとは思うんだ。健也君、毎日朝早くに起きて私に弁当を作ってくれて、大学や仕事で家を空けている時は留守番をしてくれて、こうやって買い物にだって行ってくれる。料理はすごく美味しいし、服だってとても綺麗に畳んで引き出しにしまってくれる。娯楽も何にもない場所のはずなのに文句ひとつも言わないで、逆に私が酷いことをしてるんじゃないかってたまに心配になることもある。でも、『友里さんが幸せなのが一番いい』って、でも同時に『胸にグサッて刺さる冗談』なんかも言うんだ。ええ。今私が唯一持ってる悩みを刺激する酷い冗談もね?」
「…そうなら、何で健也と離れないんですか?」
「え?私が健也君を気に入ってるからだけど?それに、こんなに素敵な専業主夫、簡単に手放す人はいないでしょ?」
「…どうせ健也とヤってるビッチの癖に。」
「あ?」
思わず睨み付けてしまった。すぐに怒りは収まったが、木嶋はすっかり怯えていた。
「健也君!…えっと、もう名前忘れちゃったんだけど、君、性格サイテーだね。」
「あ?たかが女の分際で何言ってんだ?」
「ええ、確かにただの女よ。で?女性差別みたいな言動は今は結構叩かれやすいし、やめた方がいいと思うよ。」
俺は友里さんが言ったことに少し共感する。実際、最近色々な記事を読んでみると、新聞ですら女性差別問題的な何かを取り上げていた。正直、そう読み間違えた団体が大勢でその個人を責め立てたことによってこの問題は大きな火種を生む結果になったんだが、別にそこはどうでもいい。
俺にとっては元クラスメイトの友人と友里さんが傷つけられなければそれだけでいい、なんて言う一般的には無慈悲で無情なことを思っているし、平気で言っていると思う。
「…どうせただのそこの猫被った化け物に襲われて変な幻覚見てるだけだろ。」
「別に化け物だって構わないわ。」
「は?」
「別に、健也君がどんな人間だって私は信頼しているわ。ええ、今まで何回も抜き打ちでいろいろと調べてみたんだけど、監視カメラにも私の身の危険を感じるような何かは映っていなかったし、そもそも、そんなんだったら今まで何回も襲われているはずよ?」
「(監視カメラって…。気付かなかったんだけど…。)」
「あれ?健也君気付いてなかったの?やった、一杯食わせられた!」
「本格的に敗北感を味わったよ。って、何の勝負?」
「どうでしょうね?」
「いちゃつくんじゃねぇ!」
「「黙れ変態。」」
「息ピッタリってお前ら夫婦か!」
「「夫婦じゃない!」」
というか、俺の話から離れてくれない?正直、一応俺も普通の男子高校生だったわけで、一応そう言ったこともそりゃしたくはなるお年頃なんだが…。まあ、友里さんに嫌われたくないし、基本的にはそう言ったことは友里さんの家に住むようになった後にはしなくなったけどさ。
あー、それと、マジで夫婦じゃない。いや、なれるならなりたいが、そもそも俺と彼女は釣り合わない。せめて告白するにしてももう少し立派に、何とかならないか?…やっぱりしばらくは無理だな。どうやっても後二年はかかる。
「話が反れたわね。で、選ぶ権利は私にあるって健也君が言った。全く持ってその通りよ。だからここで言うわ。私は二人のうち選ぶとしたら絶対健也君を選ぶ。」
「はぁ!?そこの性欲モンスターが?」
「黙れ。そりゃ俺もただの思春期男子だしそういった欲はあるが、強姦魔のお前よりは幾分かマシだろ。」
「いや、ひたすら甘やかして支配しようとするお前よりは数倍マシだろ。」
「いや、嫌ならしないって。そもそもそれは場合によってだろ…。なに万人にそれが適応されると思ってんだマジで頭湧いてんのか?」
というか、俺の癖バラすな。それに友里さんもこっちを見ないでくださいと言うか何ニヤニヤしてるんですか普通に怖いしなんかロクでもないこと考えてる気しかしないんだけど…。
「ありがとう!また健也君のこと知れた!」
「は?」
「え?」
「え?普通、同居人で専業主夫のことをもっと知らないとって誰でも思うと思うんだけどな?」
「…いや友里さん、普通同居人とはいえ相手の性癖だのなんだの知ろうとするのは流石に異常ですって…。」
「あ~あ、強姦魔に襲われるか甘やかされて支配されるんだとしたら後者の方が良いと思うんだけどなぁ…。」
いや、しみじみとした様子でこっちを見ないでくれマジで。普通に怖い。というか、やっぱり笑ってるんだよな…。友里さん、これネタにしてからかわないでください?お願いですよ?
「で、これ映して配信とかしちゃってる人に言いたいんですが、今の状況を見て、健也君とそこの彼はどっちが悪いんですか?私はそっちの方が悪いと思いますが、身内贔屓みたいなのはやめたいんです。だから、皆さんの率直な意見を聞きたいんです。」
友里さんはとうとう周りに聞き始めた。あ、友里さんこれ結構怒ってるな。なんかヤバそうな感じがするから。ちょっと語彙が減りそうになるくらい。
「では、健也君が悪いと思う人!手を挙げてください!」
そこで、手を上げる人はいなかった。
「では、そこの彼が悪いと思う人、手を上げてください!」
傍観者を貫いていたはずの人たちは全員が手を挙げた。
「おい!おかしいだろ!何で冴島友里と同棲している奴より、俺の方がヘイト買ってんだよ!」
「いや、お前の日頃の行いだろ。」
「黙れ狂愛支配者が!」
「新規単語作るんじゃねぇ!ネット辞典にも乗らねぇよそんな局所的な性癖!」
「で、君はこれから警察にお世話になるか、健也君に謝るか、二通りの未来があるんだけど、どうする?」
「俺は謝らねぇ!…警察!?」
「ええ。健也君が言い返したとはいえ、無実の人を襲ったのは事実でしょ?それにその場に居なかったからか知らないけれど私を襲う発言も聞いちゃったからね。それに、私のことをビッチって言ったわね?それ普通に侮辱罪だから。」
「はぁ?」
「それに暴言の数々、私に向かって言ったことも全部録音してる人がいる。それに、撮影している人も多いんだし、普通に少年院送りとかになると思うよ?」
「…すまん。」
「うん、許さない☆」
「健也マジ死ね。」
「だが断る☆」
「ならドヤ顔やめろ!」
「…(表情がすべて抜け落ちて目のハイライトがすべて消えただひたすら相手を見つめる顔)。」
「無表情はさらに止めろ!お前のそれで中学時代何十人保健室送りになったと思ってやがるんだ!」
「言わせておけば、人を大量殺戮兵器みたいに言いやがって。やっぱり俺お前が嫌いだよ。」
「ああ、お前なんて大っ嫌いだ!」
「これ、一生コイツとは同じ答えを出したくなかったよ。あ、警察だ。」
「おい!誰だ通報したの!」
パトカーが止まり、中から警察官が出てきて木嶋に声をかける。
「えっと、君ちょっと付いてきてもらうよ。」
「嫌だ!俺は家に帰るんだ!」
「木嶋快晴君、君の父さんすでに逮捕されてるからね?」
「は?」
「ああ、事情聴取したら普通に数十件くらいそう言った犯罪に手を染めていたからね。」
「…詰んだな。」
「お疲れ☆」
「健也君、ブレないなぁ…。」
「…。」
結局、顔面蒼白になったまま木嶋は逮捕され、そのまま少年院送りになるという話を聞いた。まあ、どうせ次色々と罪を犯すことになれば終身刑は確定するようなモノだろうし。
「ふぅ、お疲れ様、友里さん。」
「お疲れ様。」
「で、今日はどうしてここに来れたんですか?」
「いやぁ、まさか私が専業主夫の君に全部押し付けちゃって、それが原因で辞められたら困っちゃうからね。今は健也君がいる生活が普通なんだから。」
「そうなんだね。ってことは手伝いをしようとしてくれたんだね?ありがとう。」
「ど、どういたしまして。」
ちなみに、野次馬たちは未だにここに残っている。そして皆が思っていることを言おう。
『冴島友里に春が来た!』
『健也、今回もやってくれた!』
全員、冴島友里のファンで、同時に健也ファンクラブの会員だった。ちなみに、動画を撮っていたのはファンクラブの会長に献上するためである。会長は現役JKという立場だが彼らは忠実に会長に従う。その献上度合いに応じて出来高報酬で売ったら平気で万単位に届きそうな手作りグッズを無料で手に入れられるのだ。ちなみに、この件がネットで話題になり、健也ファンクラブの会員が急激に増加したとか。
結局いちゃついているように見られてしまった。…友里さんはどう思ってるんだろう。
「いろいろと勘違いされちゃったね。」
「でも、これでもいいんじゃない?」
「確かにね。でも、ホンっとに、いや、やっぱり君は…。」
「?どうしたの。」
「いや、何でもないよ。」
「ならいいや。今日の夕食は?」
「さっき買った魚を使って、あっさりとしたものを作ろうと。今日は和食だよ。」
「ホントに、健也君が作った味噌汁美味しいよね!毎日飲みたいくらい。」
「うちにいる限りいつでも作るよ。」
「…本当にカウンター上手だよね。からかってる私がバカみたい。」
「…。」
本当に、このままの距離で良いのかな?
恋愛に臆病なのは分かってる。自分はこんな感情になったのは初めてだし、しかもそれがよりにもよって恩人に対してだ。俺は間違った感情を抱いているんだろうか?いや、それは認めたくない。
今日は無駄な時間を無意味に浪費してしまったから疲れた。睡眠不足になってるし、今日くらいには寝るの早くしないとまた体調崩しちゃう。
…別に、良いのかな?
いや、悪い子になっちゃダメだ。って、俺はなんてこと考えてるんだ?病気になったら友里さんに迷惑かける。それだけは嫌だ。
「健也君?」
「…ホント、どうしたモノかなぁ。」
「どうしたの?浮かない顔してるけど。」
「いや、偶然俺にも一つだけどうしても解決できなさそうな課題があってね。」
「教えて?手伝うよ?」
「いや、それは秘密だ。」
「なんで!さっき暴露された性癖を拡散してやりましょうか?」
「それはそれで社会的に俺が死んじゃうからやめて!」
「養ってあげてもいいよ?」
「ヒモになりたくないから断固拒否。」
「冗談だから!マジになんないで。」
「ま、分かってたけど。」
「…ま、半分はだけどね?」
「…勘弁して?」
こうして俺らはからかいあいながら家路についた。
結局、帰ってきたのが五時半位になって、きゅうりの浅漬けを作っていたんだが、途中で食事の時間になり、あまり漬かっていないきゅうりの浅漬けを出すことになってしまった。しかし、元々漬け汁を少し濃い目にしているからか意外にも味が付いていて美味しかったとだけは書いておこう。
翌日…。
え?普通に体調万全で起きましたが何か?流石に体調をそう簡単には崩しませんよ?
そんなことを考えていたが、目の前の惨状を見て俺は意識を失いそうになる。
友里さんがリビングで倒れていた。
はい、前回の続きで相変わらずの彼が出ました。はい、今日で出番終わりです!ご愁傷様!
ちなみに健也の性癖が出ましたが、正確には、『愛情でドロドロに心を溶かして自分に依存させる』という典型的なヤンデレメンヘラタイプ?です。
しかし、素の性格上監禁など相手の自由を束縛するような行動を嫌うので、基本的には相手は自由なまま勝手に彼に依存しているように見えてしまうというなかなかヤバいタイプです。
無意識のうちに健也という存在に依存しているため彼から離れられることが出来ず、…という状態になり、結局支配されてしまうという。
あれ?これまだ強姦魔の方がマシじゃね?(錯覚)
いや、そんな訳ないか。(自己矛盾)
とにかく、次回もお楽しみに!




