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これはノルマなのかカルマなのかだれか教えて下さい!

 ある二人が退行催眠療法を行うことによっていろいろな事に気づきを得て変わっていくまでのお話を書いていきたいと思います。その中で起きたことが真実なのかフィクションなのか証明することはできません。作者自身もこの話がどなのかのように展開していくかわかりませんが興味がある方は少しだけお付き合い頂けたらと思います。



はじめに


 同居人のあいが急に催眠療法というのをやりたいと言い出した。

きっかけは一冊の本。それが全ての始まりだった。

その本は退行催眠について書かれた本だった。


 催眠療法を用いて、顕在意識下では覚えていない出来事を、潜在意識に働きかけ語らせる。

その内容に衝撃を受けたあいはぜひやってみたいと思いたったようだった。


 実をいうと以前からどうしようかと悩んでいたようだ。

資格を取る為には受講費もかかるし、試験勉強も必要になる。

複数の被験者へのセッションを行なう必要もある。

日常の忙しい中でまとまった時間をつくる事も困難ではないかと躊躇していたようだ。

取得すべきか悩んでいると聞かされた。


 私自身以前から催眠療法に興味はあった。テレビや本で取り上げられることも多く知識としては知っていた。

しかし実際に受けることは難しいだろうなーと思ってもいた。

まず自分が受けてもいいものなのか?

それにどこで受けるものなのかもわからない。

あわよくば受ける事が出来たとしても、他人に対して無防備な自分を見せる事も非常に怖く感じられた。

最も近くにいる存在からそのような相談を受けた事に少しびっくりはしたが、同時に新しいことへの好奇心を覚えた。


 せっかくだからこの機会に私も経験してみたいな。

そんな軽いのりだった。

あいが相手だったら深く考える必要もないだろう。

何だか楽しそうだなーとワクワクしてきた。

あいの資格取得に対して歓迎する事はあれども反対する理由は何一つ思いつかなかった。

絶対取るべきだと励ます事にした。

それから最初の被検者に立候補すると約束した。

そうだ、その内容を文章にするのも面白いかもしれない。


 それから数ヵ月の歳月が流れた。

あいから講義の受講を終えて試験にパスしたこと、施術を行なう許可も得られた事などを聞かされた。



 さあ全ての準備が整った。



 今回あいと私で行なった退行催眠の詳細を、私ゆいの立場で記録していこうと思う。

まず全ての内容は録音をする事にした。

セッション中の自分で覚えている内容、感じたこと、経験したことを書く事にした。

万が一途中で寝てしまったり、意識が朦朧として覚えていない部分については録音データをそのまま記載しようと考えている。

そうするとたどたどしくつたない文章になるだろうが、それもリアルに感じられていいかもしれない。そのありのままを伝えようかと思っている。

今まで読んできた退行催眠の本では検者側の目線で書かれている内容がほとんどだった。

被験者の立場で書くことができたら面白いのではないかと考えた。

そしてあいと私の退行催眠療法の旅が幕をあけた



 セッション一回目


 エアコンの効いたヒンヤリと涼しい部屋で、私はマットの上に静かに横たわっていた。

今から起こる内容を想像し緊張の為か手足に力が入ってしまう。

早くリラックスできるように祈っていた。

目を閉じて横たわり、何回も深呼吸を繰り返していた。


そしてあいの導入のセリフが始まった。

耳元で話される声の音量が大きくやや耳障りに感じ、緊張でなかなかリラックスする事ができなかった。

あいも緊張しているのだろうか、いつもよりもかなり早口で話しているためなかなか声が聞き取りづらかった。

一旦中断してその事を告げるべきか躊躇するも、途中で声をかけるべきではないかもしれないと判断した。

その後も体の力を抜く為に数回深呼吸を繰り返した

しかしリラックスしようと考えれば考えるほどに体に力が入り緊張していくのを感じた。


 これでいいのだろうか。

不安と期待が入り混じったような不思議な気持ちだった。

そんな気持ちを落ち着かせようと深呼吸を繰り返していた。

あいの誘導は続いていた。ます自分が受けてもいいものなのか?


あい「何か場所が見えてきましたか?」

ゆい「・・・・・・」

あい「何か景色が見えますか?」

景色?何かイメージが浮かばないかと一生懸命に想像してみた。

ゆい「・・・海が見えます」

声は出せたが思ったよりも小さかった。何とかしぼりだし声を発している感じ。

あいにもちゃんと聞こえているだろうか。


あい「音とか聞こえますか」

音?心の中で考えてみる、正しい答えなのかわからないが取り合えず返事をすることにした。

ゆい「音は聞こえません」

あい「匂いはありますか」

ゆい「匂いはありません」


匂い?感じられない。普通匂いとかもするのだろうか?


あい「見えている海の色は表現できますか」

ゆい「青?・・・青い色です」

自分がささやくような声で答えているのを感じていた。

答えているのは私であって私で無いような不思議な感覚だった。

話している自分の横でもう一人の自分が聞いているようなそんな感じ。

指示された言葉をイメージしながら心の中で自問自答を繰り返していた。

さらにあいの誘導は続いていく。


あい「何も心配する必要はありません」


あいの質問に対して言葉で表現しようとするがうまく唇が動かせなかった。

ゆい「・・・・・・・」


話そうとしたがうまく声が出せなかった。

唇や顔だけではなく全身の筋肉がこわばっているようだ。

その後もいろいろな質問が続いていたが返事をする事はできなかった。

ゆい「ああっ、ああっ(うめき声)」

(この声を発したのを全く覚えていなかった、後日録音で聞いて初めて知りびっくりした)



あい「それでは別の時間、別の場所。そこにあなたにとって助けとなる情報があります。私はあなたをそこへ運んでいきます。今ふさわしい時間と場所を探しています。

急がなくても大丈夫です。何か見えたら教えてください。

そしてあなたがその場所に最初に立った時の印象を教えてください」

ゆい「・・・」

何も見えず何も感じられなかった。しいて言うならば真っ暗闇にいた。全てが黒い霧に包まれている。


あい「何か見えますか?」


耳元ではあいの声が聞こえている。

あい「何か見えますか?」


眼瞼をとじたまま考えていた。

うーん、何も見えない、イメージも浮かばなかった。

これをどう表現した方がいいのか返答に困っていた。

ただ時間だけが過ぎていく。

私からの返事がない為中断したほうがいいと判断したあいが終わりのメッセージを告げ始めた。


あい「一、二、三・・・・はい眼を開けてください。」

その言葉を合図にそのまま一回目のセッションが終了となった。


一回目はうまくいかなかった。

残念ながら、何も見ることができなかった。


セッション後にあいと反省会を行った。

実はこのように見えたり感じたりしていたが、どうすべきだったのか聞いてみた。

実は何も見えない場合も見えないと返事はしたほうがよい。、

たとえば真っ暗に見える、何も見えない、感じない等何でもいいので自分の口を通して表現する。

そうすると右脳が働き次のイメージへつながりやすく退行もうまくいくようだ。

今回は先入観を持たないようにあえて事前に説明を行わなかったとの事。

もともと左脳で物を考えている様なタイプの人間はなかなか暗示にかかりにくいらしい事も教えてもらった。

人によっては十回目のセッションでやっとうまくいく場合もあるらしい。

わたしはどちらだろう?

左脳型の人間にあてはまるのか。

子供の頃は勉強よりも絵を描いたり、物を作ったりする事が得意だった。

人生の転機も常に直観に頼って決断してきたような気がする。

そのように考えると右脳型人間なのだろうか?

可能であれば自分の過去世をみてみたい、次の段階に進めたらいいな。


その後休憩をかねて二人で軽い昼食を取ることにした。

一回目はうまくいかなかったが、今回は初日なのでもう一度だけリベンジすることにした。






































ふたりで行った催眠療法も18回を迎えるまでになりました。

まだまだ続く予定ですが興味がある方は覗きにきてくださいね。

現在AmazonKindleにても同名小説発表中です。

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