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冒険者アンディの憂鬱

今回の話は前回の時系列より前の話になります。わかりにくくてすいません。

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 ギルドの緊急の依頼によって私達冒険者は森の探索をすることになった。昨日助けにいった冒険者たちも言っていたが、街からあの距離にオークがいるのは異常である。だって街の森の近くだよ、初心者冒険者が薬草とりに行ったりする場所だよ。あんな近くにオークとか恐ろしすぎるでしょ。



「ねえ、アンディ……原因はやはりスタンピードかしら? それとも何らかの強力な魔物が来たのかしらね?」

「あの森はオーク共の支配下だったはず。どっちにしろ地獄だよねぇ。行きたくないなぁ」



 私は嫌な予感を感じながらも、相棒のマリーに答えた。森の奥に住むオークはそこそこ厄介な生き物だ。だがゴブリンどもの様に何も考えず人間の領域に来ることは少ないし、オークがいれば、奥の森に別の魔物の集団が住むことはないので抑止力になり、人間の街と森はある意味均衡を保てていたのだ。

 街の貴族がワイバーンの巣にワイバーンを押し込んでいたように、我々冒険者も森の奥にオークどもを押し込んでいた。そうする事によって我々はオークを中心に対策すればよかったし、冒険者たちもオーク狩りに慣れているので対処しやすくなるのだ。だがその均衡が崩れた。未知の魔物が森の奥に居座るとなるとかなりまずい。

 ちなみにスタンピードとは魔物が異常発生して森におさまらなくなって人里などに出てくる事だ、これを放置していると、森の中のオークの戦力がすさまじくあがってくるのでもし街に侵略してきた場合最悪街が滅ぶ可能性もある。オーク狩りになれているとはいえ数の暴力には勝てないからね……



「そんなこといわないの、この依頼は私たちが受けるのが最適だとギルドが判断したのよ、信頼に答えなきゃね」

「良いようにつかわれてるだけだよ……」

「むくれないの、この任務が終わったらご褒美あげるわよ」

「え、じゃあ、メイド服着て『ご主人様』っていってくれない?」

「はは、オークと一緒に死にたいのかしら? なんだかんだしっかりやってくれるって信じてるわ」



 マリーちゃんがいたずらっぽく笑った。エルフの彼女に彫刻のように美しい顔で微笑まれるとがんばらなきゃなと思えてくる。

 俺と彼女は新人の頃に出会い、もう十五年も一緒に組んでいる。冒険者をはじめたころからパーティーを組み、今は恋人でもある。そんな俺たちは冒険者ギルドではすっかり古株であり上位パーティーの一つだ。残念ながら戦闘能力ではトップではないものの、索敵能力と生存能力ならば街でもトップクラスだ。その腕を買われ今回も森の最奥部の調査を依頼されたのだ。

 


「オークが二匹いるわよ、弱っているみたいね……」



 マリーちゃんの言うとおり、オークが二匹木に寄りかかるようにして横になっていた。心なしか憔悴している気がする。そういえば冒険者を助けた時のオーク達も何かにおびえていた気がする。

 私とマリーちゃんは弓を構え矢を放つ。矢はオークの胸を射抜いたがやつらを仕留めるまでは行かずうめき声をあげて俺達のほうへと振り向いた。



「グァァ」

「永遠に寝てな」



 オーク達に接近した私は剣を振り切り裂いた。首と体が離れた二匹のオークはしばらくピクピクとしていたがやがて息絶えた。



「さすがアンディ。この程度なら相手にならないわね」

「まあ、この程度はねぇ……魔法が使えればもっと楽なんだけどなぁ」



 私はぼやく。弓の代わりに魔法が使えていれば初撃で仕留めれただろう。だが魔法は貴族のみに許された力だ。

 そういや、今日の仕事に貴族の子達がいたなぁ。確か、ティアという少女が率いるパーティだ。そこそこ強いのだが魔法学校の生徒達は信用できない。実力はそこそこあるかもしれないがこっちは生活かかってるのにあいつらは遊び半分なんだもん。現に下手したら自分より強いかもしれないシオンという少年が率いるパーティーは今回の依頼を受けてすらいないようだしね。

 どうせあいつら貴族は平民……しかも冒険者なんてあらくれもの達がどうなろうといいのだろう。いかんいかん、愚痴っぽくなってしまった。

 私たちはそれからも何匹かのオークを倒しながら森の奥に進んだ。ここはもうオークの領域だ。いつもならもっとオークがいるはずだがやはり少ない。それに遭遇したオーク達は何かに怯えているようだった。



「これはなかなかひどいわね……」

「そうだねぇ……奥にはなにがいるんだろうねぇ……会いたくないなぁ」



 オーク達の巣に近づくにつれ死骸が目立ってきた。なにか大きな魔物が襲った形跡もある。もう嫌な予感しかしない。



「これ、スタンピードじゃありませんでしたって帰っちゃだめかなぁ」

「魔物の正体くらいは突き止めなきゃだめでしょ。いくわよ……待って、なんかくるわ」



 私はマリーちゃんの言葉で警戒モードに入る。森で育ったエルフは聴力が人より強いし、森での探索能力が高い。それに加えて冒険者としての経験があるので彼女の言葉を疑う余地はない。

 私達は空から急降下してくる影に対し回避行動をとった。影の爪は空を切ったと知るとまたすぐ空へと飛翔する。ずるくない? こっち矢しかないんだけど。



「ドラゴンね……」

「ドラゴンかぁ……そりゃあオークじゃあどうにもならないよねぇ」



 俺達は目を合わせ頷く。森の新しい主の正体もわかったし、これで任務終了かな。あとはこのピンチをどうするかだよね。



「マリーちゃん、報告頼むね」

「死ぬんじゃないわよ……メイド服くらいいくらでも着てあげるから」

「もちろん!! この戦いが終わったら結婚しようね」

「馬鹿……なんでこんなところで言うのよ……」



 え、まって、こういうのお約束ってやつだよね? なんで本気でプロポーズしたみたいになってんの? 全力でマリーちゃんがダッシュすると同時に俺は道具箱から取り出した閃光玉を空に投げた。それと同時に弓を構える。

 おそらくあれは中級のブラックドラゴンだ。主の攻撃は空から強襲と、尻尾による打撃攻撃、火のブレスだったかな。あの大きさならまだ知能はそこまで高くないだろう。自分の武器は経験と知識だ。こいつ相手なら倒す事はできなくとも、マリーちゃんが逃げ切る程度の時間を稼いで、自分も逃げ出す事はできるだろう。



『閃光玉かぁ、こうしてみるとあのゲームでも有効だったように、空にいるやつに対しては強力みたいだなぁ』



 え、しゃべった? ドラゴンの中には人語をしゃべるものもいると聞くがもっと年とったやつのはず……しかもこいつ目をつぶったせいか閃光玉が通じていない。こちらの手口を知っているのか……



『魔力なしかぁ……、お前を食ってもあんまり意味はないんだけどなぁ。まあ目障りだから狩っておくか』



 ドラゴンは私をまるでエサでも見るかのような目でみながら言った。交渉もできなそうだ。ちょっとこれはまずいかなぁ。人語を理解するどころか、こちらの道具の対策をうてるほどの知能があるのはやばい。予想外すぎる……

 まあ、でもマリーちゃんが逃げる時間くらいは稼がないとね。私はドラゴンを相手に武器を構えた。ああ、マリーちゃんのメイド姿みたかったな……





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一話前にこの話を入れればよかったですね……今回の話は時系列的には前の話より少し前の話です。

次回から主人公視点に戻ります。




ラブコメを書いてみたのでこちらも読んでくださると嬉しいです。


『厨二時代の可愛い女友達と高二になって再会したら亡き者にしようとしてきたので付き合うことにした』

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