サイド 由良麻衣子 2
「それで……私に聞きたい事ってなんですか?」
麻衣子は目の前にいる朝倉の様子を伺いながら聞く。
唐突に、ちょっと聞きたい事があるから。
と、喫茶店に呼び出されたのだ。
「そうかたくならなくていいよー。
由良ちゃんにさ、
ちょっと協力してもらいたいんだよねー。」
「協力……ですか?」
「うん、あのさ。
片桐七菜香って子、知ってる?」
ぴくりと肩を震わせる。
「その反応……知ってるんだね。
どーゆう関係か教えてくれないかなー?」
麻衣子はふぅと一息吐くと、話す事にした。
「七菜香ちゃんとは、その、
写真が趣味で知り合ったんです。
当時、私は荒れてはいましたけど、
でも、一方で、純粋に写真を撮る事が好きで…。
あの子は…私を見た目で判断しなかった。
同じ趣味仲間として接してくれたんです。」
「その彼女が行方不明になった当時、
彼女は…君たちのグループと接触したんじゃない?」
「いえ!グループとはしてません!ただ…」
「ただ?」
朝倉の追求に、麻衣子は動揺しながらも言う。
「ただ……あの日、
佐紀とそれから……佐紀の知り合いと会いました。
佐紀も写真を撮るのが好きだったから。
それで話が盛り上がって……それで…
みんなそれぞれで良い写真を撮って来ようって事になって…
でも、それっきりあの子は戻って来ませんでした。」
「どうしてそれを、
当時証言しなかったんだい?
…友人が行方不明になったっていうのに?」
「それは……怖かったんです。
それに、あの頃は全ての大人が敵にみえてましたから……朝倉さんに会うまでは本当にそう思ってたんです。
証言しなかったのは、すみませんでした。
でも、信じて下さい!
私は何もしてません!!」
涙ながらに訴える麻衣子に、朝倉は頷く。
「わかった。由良ちゃんを信じるよ。
そのかわりに教えてほしい。
宮岸佐紀さんの知り合い、その名前を」




