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異世界救世譚―差し伸べるは救いの手―  作者: 明月
シア、異世界に立てり
17/40

加減の必要性


「あぁ。スライムの核は取っておいてね。討伐の証拠になるから!」

「……了解」


 取り敢えずフェイに続いて歩き出したわけだが、生憎スライムの倒し方は知らない。

ひとまず動くのはフェイの戦い方を見てからにしよう。




 ――フェイの戦い方は至極単純で、剣でスライムを切り裂いている。

 別にそれは良いのだが、笑顔のまま切り刻んでいる上、返り血(?)で服が赤く染まっているため、正直怖い。雰囲気的には実に近寄りたくない。

 ともあれ斬撃はスライムに効果的みたいだな。このスライムに危険性は無さそうだし、色々と実験してみようか。


 フェイが二匹目のスライムを倒し終わり、考え込んでいるシアに気づいた。


「あれ? シアどうしたの? 一匹も倒してないみたいだけど……」

「あぁ、ごめん。少し考え事してた」


 考え込んでいても始まらないし、どうせだからフェイに質問するか。こっちは初心者だし教えてくれるだろう。情報は多いほうが良いしな。


「あー……質問したいんだがいいか?」

「うん! なんでも聞いて!」

「スライムに効かない攻撃とかってあるのか? 例えば打撃とか」

「うーん……基本的には打撃は効かないかな? 斬撃の場合はコツが必要だね」


 聞いた話によると、ただ叩きつけるような切り方では駄目で、切り"裂く"とか削ぎ落とす様な感覚で切るらしい。フェイ曰く何度か戦えば自ずと感覚がわかるらしい。それじゃあ……次に、手近な石を拾い上げフェイに聞いてみた。


「なるほど。じゃあもしこの石を投げつけた場合は?」

「……無理じゃない? 先が尖ってるわけでもないし弾かれると思うよ」

「まぁ物は試しだ。それっ」


 まぁまぁの力で投げつけてみたが、見事に弾かれた。音が出るなら「ぽよん」みたいな感じだな、全く効いている様子がない。次は魔法も併用してみようか。


「ほらね?」

「全く効いてないな……次は全力で投げてみよう」

「あはは。無理だって今ので分かっ――」

「――ふん!」


 シアが全力で石を投げた瞬間森が揺れた(・・・・・)。一瞬の静寂の後、ガサガサと逃げるような音と鳥が飛び立つ音が響き渡る。標的がいたはずの場所にはクレーターが出来ており、そこには何も存在していない。文字通り"消し飛んだ"上、周囲の木々も飛び散った地面の破片やらでボロボロになっている。

 あきらかにやり過ぎた。冷や汗がだらだらと出てくる。

 フェイがゆっくりとこっちを見るが、その顔はとても引きつっていた。


「シア……」

「何も言わないでくれ。俺もやり過ぎたと思ってる」

「う、うん……見なかったことにしよう」


 その後は至って単純だ。魔法が効果的と教えてもらったため、片っ端から"魔弾"で片付けていった。その時も若干引かれていたのは気のせいだろう。きっとな。


 結局フェイが5匹、俺が6匹ほど狩った。核は取り敢えずバックに突っ込んでおいて、俺達は帰路につく。服は魔法の『ウォーター』で洗った後、『エア』を使って乾かす。

これも『魔法の基礎』の本に書いてあったものだ。


 暫く談笑しながら歩いているとレスクが見えてきた。以前と同様に門番へ身分証を見せたが、フェイ曰くギルドカードでも大丈夫らしい。次からはギルドカードを提示するとしよう。

 そのままギルドへ向かい、依頼達成を報告したが、報酬は銅貨2枚(2000円相当)だった。これで買い物もできるな。

 ギルドから出るとフェイが話しかけてくる。


「お疲れ様! シアはこれからどうする?」

「なんかもう疲れたから家に帰るよ」

「そうか。それじゃあまた一緒に依頼受けようね!」

 

 そう言うとフェイは手を振りながら何処かへと去っていった。

 ……俺もそろそろ帰ろう。なんだかとても疲れた。


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