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国際恋愛カウンセリング相談者・吉井美佐子の恋

 椅子に腰掛けたと同時に吉井美佐子が半泣きで興奮しながら話し出す。


「先生、私、彼のことが大好きなんです。好きでは足りない。愛してます。体の関係もあります。私は結婚してもいいと思っています。それなのに、彼には私以外にもデートしている女がいるみたいです。私、誰にも彼を渡したくない。先生、助けてください」


 彼女が書き込んだ相談シートをじっと見つめながら気づかれないように深呼吸をする。


「カウンセラーはあなたの心の問題を解決する手助けをする仕事で、あなたの恋愛成就を祈る祈祷師や占い師じゃないの。まずはそこをしっかりと理解していただいた上でカウンセリングを受けるか決めてください」


 いつものことだが、カウンセラーは祈祷師や占い師などと同等に扱われることが多い。父の友人でもあるイタリア人カトリック教会の神父様はうちに遊びに来るたび、教会にくる日本人の悩み相談の多さに頭を抱えていた。教会は人々を救済する役割を担っているが悩み相談の場所ではない。

 日本の精神科医は日本人にとって敷居が高い上に、精神異常者が行くところというイメージが強すぎる。



「私の悩みを解決してくれるんですよね。私、頭がおかしいからここへ来たのではないし、心の問題なんかありません」


「それでは、吉井美佐子さん。このままお引き取りいただけますか」


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