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俺はVRMMOで男と結婚する事になりました。  作者: カイロ


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俺の回想が終わりました。

 その後も、凛花は楽しく過ごした。

 いつも以上に気合の入った母の手料理に舌鼓を打ち、進太郎たちと持ち寄ったプレゼントを交換したりもした。

 涼からのプレゼントは「私だと思って大切に使ってください」と書かれたキスマークの付いたカードと、卑猥なグッズだった。一応は貰ったものなので捨てたりはしないが、物置のできるだけ奥にしまっておく。

 そんなこんなでクリスマスイブを過ごし、そして、それから更に数日が経った。



「とうとうか……」


 ついにこの日がやってきた。そう、ミリオンスターワールド最終メインストーリー追加アップデートの日である。

 自室で一人、パソコンを起動して公式HPを見ながら凛花はそれを実感する。

 それは長くもあり、短くもあった一つの冒険の終わり。ゲーム自体はまだまだ続くが、これも一つの区切りの時。

 このゲームを通じて少なくない数の友人ができたし、いくつもの想い出が生まれた。

 思い起こせば、一生忘れないであろう記憶を昨日の事のように思い出せる。

 ふとモニターに視線を向けると、アップデート完了まではあと数時間はかかるようだ。

 改めて、ここまでの道は長く、それでいて短かったなあ、とため息をこぼす。


「月光門先輩と、夏条と……」


 現実で知り合った2人。良し悪しは別として、凛花は彼女らの人生を変えるのに一役買っている。

 そして、それだけでなく親友の秘められた一面をも知る事になった。

 ゲーム内でも仲良くなれた人物がいる。ベル・ウッドマンと、週末の4騎士。

 ベルとはそう多く会えてはいないが、それでも顔を見かければ挨拶はするし、ゲーム攻略に役立つ情報を教えてもらったりもしている。

 4騎士の彼らは、始めこそ怖がっていた凛花だったが、アースガルド防衛戦では頻繁に顔を合わせるし、気が付けば凛花の方から話しかけたりするほどになっていた。

 それ以外にも、顔見知りの人間は何人か増えた。変なドーナツ屋の従業員や、MSWのマスコットキャラの中の人、月光門のストーカーもとい親衛隊。

 1年足らずでこれだけの人間と知り合えるとは、正直なところ凛花自身も驚きだ。


「おっ、もうすぐ終わるかな」


 アップデートデータのダウンロードはあと5パーセントもかからず終わるようだ。凛花は完了の瞬間を見逃さないよう画面をじっと見つめる。

 それから、ゲーム内でも凛花は強くなった。暗黒海域で狩り続け、レベルは160まで上げられる事ができた。

 ここから先は主に一定時間ごとに湧く高レベルなボスモンスターを倒して経験値を稼ぐのが主流との事であり、一度くらい挑戦しようかと思ったがどこも他のプレイヤーが多数おり戦う事すらできなかった。

 一度だけ誰もおらずボスの湧いていた時があったので挑んでみたが、3人だけでは歯が立たず、倒す事はできなかった。

 HPを一定量削る事に発動する特殊行動に対応しきれず、苦い初戦であったのを凛花は思い出す。


「HP3割削る度に即死級のダメージ飛ばして来るとかどうしろってんだよ……あ、終わった」


 愚痴をこぼし始めた瞬間、ダウンロードが完了した。

 凛花はいよいよ最後のストーリーへ挑戦できる事を楽しみにしながらゲームを起動する。

 ……しようとしたが、起動ボタンが押せなかった。


「あれ?」


 バグか、と困惑して視線を動かす凛花だったが、そうではないと気が付いた。

 ダウンロードが終わったので、次はインストールが始まったのだ。


「……」


 それに気付くと、アップデートの完了状況が現在50パーセントほどに変化している事にも気付く。


「――さ、さて。ご飯でも食べてくるかな」


 しょうもない勘違いをしていた事を恥らいながら、凛花は1階へ降りてリビングへと向かった。





 インストールも完了し、ようやくMSWにログインする事ができた。

 前回はレンディアスで落ちたので、Linkerの出現場所も当然同じ場所である。どうやら、今日は一番乗りのようだ。しばらく遅れて進化カードとMLGがログインしてくる。


「よし、じゃあ行こうか!」

「おう!」

「ああ!」


 2人が現れたのを確認すると、Linkerは歩き始めた。追加された新エリアへと向かう。

 が、一歩目でその足は止まった。


「……で、どっから行けるんだっけ」


 自信満々に言ったはいいがLinkerはどこに新しいエリアが追加されたのか知らない。というか、公式HPにもそこまでは書かれていない。

 これは虱潰しにそれらしき場所を巡る事になるか、と思いきや、進化カードが不敵に笑う。


「フフフ、そんな事もあろうかと追加マップへのポータルの位置は掲示板の書き込みで確認済みだぜ!」

「マジかよ、流石だぜシン!」


 どうやら、場所は光都ロムディアの廃教会らしい。ストーリーを全部進めていればそこから転送されるそうだ。

 というわけで、3人は早速ロムディアの廃教会前までやってきた。

 やたらと多数のプレイヤーがそこにはいた。レベルが120未満の者ばかりなので、誰が1番にストーリーを終わらせるかを見物にでも来ているのだろう。

 彼らの事は気にせず、Linkerたちは中へと入る。すると、教会の奥にある祭壇前の空間が歪んでいるのが見える。

 その歪んだ空間に触れると、Linkerの視界は暗転し、それから数秒経って光が戻って来る。

 進化カードとMLGも同じように転送され、そしてその転送された場所は、3人も知っている場所だった。


「……ここ、東京だよな」


 立ち並ぶビル群と、見上げた先に見える赤い鉄の塔。どう見ても東京タワーと呼称されるようなものがそびえるそこは、東京以外の何物でもない。

 違うのは、MSWプレイヤー以外には人間が一人もいない事と、空が紫がかった雲に覆われている事だろう。

 少なくとも日本をモデルにしたマップである事はよくわかる。Linkerも東京には行った事はないが、あの特徴的な鉄塔が東京タワーだと思ったから、そう呟いただけである。


「ああ、そうみたいだな。そして突如何の説明もなく音ゲーのラストバトルが始まったりしない事を考えるとバッドエンドではないと見て間違いないだろう」

「……ええっと、それは何かのゲームのお話、かな」


 何の話かよくわからず困惑を見せたMLGに「気にせんでください」と言った。

 まあ、どんなエンディングを迎えるのかまでは当然Linkerもクリアするまではわからないが、とにかく先へ進む事にした。

 Linkerよりも先にやってきたプレイヤー、話している間に先へと進んでいったプレイヤーの殆どは東京タワーを目指しているので、彼らに合わせて3人もそちらへと進んで行く。

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