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俺はVRMMOで男と結婚する事になりました。  作者: カイロ


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俺はクリスマスイブを迎えました。

 数週間が経ち、12月24日。雪降りしきるクリスマスイブである。

 この日も、進太郎月光門涼の3人と共に、凛花の家で祝う事となった。


「なんか、思えばいっつも俺ん家だなあ」


 悪いというわけではないが、何かイベント事があれば集まるのはだいたい凛花の家だった。

 色々とあるが最終的には楽しく過ごせていると思うので構わないが、今度は月光門や涼の家にも行ってみたいとも思う。

 とはいえ異性の家にお邪魔するのは気が引けるので、凛花からそんな話をする事はないのだろう。涼は同性と見てもいいかもしれないが、凛花には未だ女性としての認識が強い。

 進太郎の家には、ちょっぴり行き辛くなってしまった。親友の事は信頼しているが、それでもどうしても及び腰になってしまう。

 まあ、その話はいいだろう。とにかく、今日はいつものメンバーで過ごすという事だ。


「レベル上げも順調だし、今日は思いっきり楽しまないとだな!」


 MSWも怠る事なく狩りを続けている。今ではもう150を超え、160レベルまであと数レベルという所だ。

 効率の良いエリアが埋まっていても、そこにいるのが我王流星煌破のギルドの人間だった場合やたらと優先的に狩場を譲ってくれたりするおかげで非常に順調なのだ。

 想像以上に哀れまれているらしいMLGのおかげというべきか、そこそこ良い強化オプションの付いた防具や100万単位のstをプレゼントされたりもしていて、もはや怖くすらなるほどだ。

 と、そんな事を考えていると玄関のチャイムが鳴った。


「お、早速誰かきたみたいだな」


 凛花は急いで出迎えにいく。1時に集合という話だったのだが、今はまだ12時を15分ほど過ぎたばかりだ。

 気が早いと思うが、別にいいだろう。靴を履いて玄関ドアの鍵を開ける。

 進太郎が早めに着いて格闘ゲームで対戦する気なのかと思っていた凛花だったが、そこにいたのは進太郎ではなかった。


「シュガーフェストでーす! 日頃のご愛用への感謝としてサプライズケーキをお届けに来ました!」

「ああ、そこはドーナツじゃないんですね……」


 いたのは、以前行ったドーナツ屋の男性店員だった。手に大きめの紙箱を抱えている。

 サンタのコスプレなのか赤と白のそれっぽい帽子を被っており、そこから下はなぜかやけにボディラインの強調された光沢のある全身スーツと、腕と足を守る甲を装備した変わった衣装である。

 一言で言うと、寒そうだ。


「えっと、お仕事大変そうですね」

「うん、まあこういう時だけは常連客の少なさに感謝するかな……」


 寒そうというか、実際寒いらしい。唇は若干紫だし、よく見れば全身小刻みに震えている。

 魔法少女の格好で店の宣伝をしているというのは凛花もある程度知っていたが、まさかこの男性もとは。いまいち信じられない。

 そもそも魔法の部分はともかく少女ではないし、女性用のスーツを無理矢理男性に着せているように見えて、股間あたりが大変な事になっている。

 まあ、彼も仕事でやらされているなのであまりどうこう言いはしない。凛花は、そこには触れないであげる事にした。


「もしかして、これあの店によく来る人全員に配ってるんですか」

「うん、この町に住んでる人にはね。全部で片手で数えられる程度だから凍え死ぬ心配はしなくていいんだけども」

「常連の数がそんだけな事のが心配なんですが」


 凛花の家もその数に入っているようだが、ここ数か月で合わせて5回も行っていないくらいの頻度を常連扱いしているのも心配である。果たしてあの店は無事新年を迎えられるのかどうか。

 ケーキの箱を渡すと、彼は足早に行ってしまう。


「じゃあ僕は次行くから、あったかい内に食べてね。……それと、今後もウチの店を御贔屓に!」

「はい、あったか……え、あの、これケーキですよね!」

「焼いたサバを近付けると危ないから、気を付けてねー!」

「これホントにケーキなんですよねー!?」


 渡されたものがケーキなのかどうかの確証を得る前に、彼は行ってしまった。

 しばらく誰もいなくなった玄関で呆然としていた凛花だったが、数十秒ほどで我に返るとドアを閉じ、箱の中身を確認する。


「ケーキ、でいいのかな、これ」


 中身はイチゴと生クリームのケーキのようだ。ただし、丸いケーキの中央はくり抜かれており、そこに橋を架けるような形で「クリスマスケーキ」と書かれたチョコのプレートが乗っている。ケーキ、の部分には上から大きくバッテンが書かれ、「ドーナツ」に訂正されていた。

 匂いはごく普通のケーキと同じようなので、食べられないものではなさそうだが。

 そして、顔を近付けた時になぜか熱気を感じた。彼が言っていたように、あたたかいらしい。だがクリームは溶けるような様子を見せず、チョコもまた溶けて曲がったりせず、実に不思議な光景だった。


「……」


 これは本当に食べてもいいものかどうか、凛花はひどく悩んだという。

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