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俺はVRMMOで男と結婚する事になりました。  作者: カイロ


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俺はミリスちゃんの本当の正体を知りました。

「それじゃあ、私たちはお先に失礼するよ」

「あたしらの事、ネットで言いふらしたりすんなよ!」


 そう言い残して、2人は店を後にした。

 凛花も進太郎も釘を刺されずともネットで個人情報を拡散したりはしないが、他の客はどうなのだろう。弓山は大声で叫んでいたし、MSWのプレイヤーが居ようものなら既に拡散され始めていてもおかしくなさそうだが。

 が、特にそれを話題にしている様子もないし、別に大人気と言うほどでもないゲームなので、プレイヤーはどうやらいないようだ。

 まあ、その話はこれでいいだろう。


「なるほど、ここは結構近いな。今度の土曜にでも行ってみるか」


 なんと進太郎はいつの間にか弓山時雨とお菓子好きという所で意気投合し、某SNSのDMでメッセージのやりとりを始めたようだ。

 内容は単にどこの店のケーキが美味しいだの店舗の住所だのを教えあう程度のようだが、それはともかく異性と気軽にコミュニケーションができるのは凛花にはちょっぴり羨ましい。

 ラーメンもあらかた食べ終わった凛花がそれを眺めていると、ふと進太郎は見られているのに気付き、あたふたし始める。


「う、浮気じゃないぞ!?」

「俺は浮気の方がありがたいんだけど……まあいいや、そろそろ帰ろうぜ」


 言って、凛花は残ったスープを全部飲み干しすと、伝票を持ってレジに向かった。

 事前におごりであるとは伝えたが、それでも進太郎は直前に金を出そうとしてくる性格なのでそこへの対抗策である。

 チャーシューにかじりつく進太郎に「ゆっくりでいいからな」と言って、凛花は財布を取り出した。





 それから、2週間ほどが平和に過ぎていった。

 夏条涼はいつも通りに凛花にベタベタくっついてくるし、進太郎や月光門とMSWでのレベル上げに勤しみ、詫びチケでゴミを引き当てたり、母の分かりにくい冗談に顔を赤くして、ミリスちゃんとミリスたんの呟きの見方がちょっと変わったりしながら、平和に。

 あれからも草刈りやアースガルド防衛戦などを行っていったおかげで早くもレベル100まで上がり、あと20で3次転職を迎える事になる。

 現状の最終ジョブとなるので、そこまでいけば凛花達も晴れて中級者の仲間入りである。

 そう、まだ中級である。まあMSWにおける上級者とは3次転職のスキルを全てマスターした上でエンドコンテンツに挑み始める層を指すので、目指すかどうかは人それぞれだが。

 レベルが100になったという事で、妖精郷での草刈りも終わりである。

 新たな狩場付近まで移動して、凛花はMSWからログアウトして、今はベッドで横になっている。


「なんか、昔より楽しいな」


 ふと、そんな事を凛花は考え始めた。

 一緒に遊ぶ友人が進太郎くらいだった昔を思うと、今はとても楽しく感じる。

 昔がつまらなかったという話ではなく、現在はあの時以上に刺激が増えてより面白くなったという話だ。


「……えへへ」


 自然と、だらしない顔で凛花は笑いを漏らす。すぐ我に返り、緩んだ頬を元に戻した。

 男ばかりに言い寄られるのに不満も多少はあるが、最近は凛花も慣れてきて、むしろそれも楽しく思っている。

 だからと言っていい返事を返せるという事なわけではないのだが。


「まあ、今の俺に不満があるとしたら、一つだけかな」


 ごろんと寝返ってベッドのすぐ横にある椅子に視線を向ける。


「なんでまた当たり前のように俺の部屋にいるの、夏条」


 椅子の背もたれを抱きかかえるように座っている夏条涼。

 足を椅子に絡めている姿は、一応同性という事になる凛花をドキドキさせる程度にははしたない。

 そんな体勢の涼は凛花の疑問に、当たり前の事を言うように答える。


「私たち、付き合い始めてもう2週間経つじゃないですか」

「勝手にこの2週間で関係が進んだみたいな事言わないでくれる!?」


 いきなりの事実ねつ造に凛花は思わず上半身を勢いよく起こした。

 涼が言ったような事は一切起こっていない。今までと同じように勝手に抱き着いてくる涼と家まで帰り、それを凛花が送り返していただけだ。


「だって、この間だって裸の突き合いをしたじゃありませんか」

「おい字違うだろ! そもそもあれはお前が勝手に風呂入ってきただけだし!」


 先日の凛花が風呂場でのぼせた一件の話だ。

 その時に見た涼の裸を思い出してしまい、凛花の視線は泳いでまともに顔を見られなくなる。


「それに、凛花さんとそのお母様とご一緒に手料理を食べたりもしたじゃないですか」

「シンのだろ! まあ一緒には食べたけども!」

「そんなわけで、そろそろ凛花さんも体を許してくれるかなって。来てみました」

「どんなわけだよ! さっきから俺と夏条との会話何一つ噛み合ってないんだけど!?」


 暴走特急さえ道を譲りそうな涼の我が道を行きっぷりに、凛花は自分がおかしいのではとさえ思えてくる。

 流石に押し流されまではしないものの、こういう涼の強引さを見せつけられるたびに進太郎の苦労を凛花は思い知る。


「とにかく、なんかする気なんてないから早く帰れって!」

「そんな、本当に何をしてもいいんですよ……? 本当に何もする気がないのですか?」

「ほ、ホントだっての! ……半分くらい」


 涼の事は半分くらい同性として見ているし、半分くらい異性として見ている。

 だからといって5割ほどの確率で涼に何かするのかと言われるとそんな事はまったくない。

 姉が怖いし、何よりやはり男性というのが凛花にとって恋愛の対象外なのだろう。

 が、そんな凛花の考えを知らない涼は言葉尻だけをとらえて目を輝かせる。


「わかりました! では私も半分くらい裸になりますわ! 半裸というやつですわね!」

「ぬおおおおっ、帰れえええっ!!」


 涼はあの時と同じく、またも脱ぎ始めようとした。

 しかし今回の凛花はのぼせていたわけでもないし力を十全に発揮できる。

 力ずくで家の外まで押し出し、そのまま涼の家の方まで押し戻していった。

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