表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺はVRMMOで男と結婚する事になりました。  作者: カイロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/72

俺は詫びチケを貰いました。

「夏の大型アップデートだそうだよ」


 MSWにログインして一番に、MLGはそう言った。

 あの後、凛花の家の前まで着いてきた夏条は「私の家はここの反対方向ですので、これで」と言って一人で帰ろうとした。

 治安が悪いわけでもないとはいえ、流石にここから一人で帰らせるのもどうかと思ったので途中まで送っていく事にしたので凛花は大幅にログインが遅れた。

 普段より数時間遅い帰りとなって母にも叱られるかと思ったが、女の子(厳密には違うが)を送っていったと正直に言うと嬉しそうなスマイルを見せ、何も言わなかった。

 それはともかく、進化カードとMLGはLinkerがログインするまでの時間、公式サイトのページを見ていたそうだ。


「今月の、というか5日後だね。メインストーリーも追加されるらしい」


 アップデートタイトル、神々のアースガルド。

 異界の神々が創った最大にして最後の砦。アースガルドの名を関する地に悪しき神が放つ軍勢が押し寄せる。

 そこに星の子ら、プレイヤー達が異世界より救援を受け、加勢しにいくというのが始まりらしい。


「内容としては防衛戦みたいだな。毎週日曜日の昼12時から深夜12時まで開催するらしいぞ」

「週末かぁ……」


 内容はわかりやすい。やる事もシンプルにひたすら敵を倒すだけだし、難しいわけではなさそうだ。

 が、週末というのがLinkerには引っかかる。一番プレイヤー全体が参加しやすい日ではあるが、週末の4騎士がプレイする日でもある。

 彼らとまた鉢合わせて蹂躙される時の事を考え、Linkerは憂鬱な顔になった。


「そう心配するなって。プレイヤー対抗じゃなくて協力戦だ。彼らは味方側って事になる」

「あ、そうなんだ」


 それを聞いてほっとした。むしろ仲間として数えられるならこれ以上ないほど心強い。


「しかも敵のレベルはパーティを組んでいる者たちの平均レベルとなる。私たちでも十分に倒せるわけだ」


 プレイヤーはパーティ単位で個別のエリアに飛ばされるインスタンスダンジョン形式で戦うイベントだそうだ。

 1つのパーティと別のパーティで更に大きなパーティを組むシステムもあるそうだが、まあこれはLinker達には関係ないだろう。

 ともかくそれぞれのパーティが撃破しやすい程度のスペックに変更される。戦争の時のように強い誰かに頼らなくては太刀打ちできない、という事にはならない。


「で、今回は戦争とは逆の形になる」


 このエリアでは星の因子が手に入らないそうだ。代わりに、敵は経験値を落とす。

 量はレベル帯にもよるが平均的。しかし出現する敵の数が凄まじいため全て撃破できればかなり美味しいらしい。

 その上強力な装備品を稀に落とすらしい。ユニーク扱いでないため個数制限もなく、若干出やすい。

 確かに、ここまで聞けば参加しない理由の方が少ないだろう。


「ま、実装はまだなわけだから実際に始まらんとどうなるかわからんが、期待はできそうだろ?」

「だな!」


 Linkerは元気に頷きを返した。

 そして追加されるストーリーにはレベルが120必要らしい。

 週末までにそこまでいくのは無理だろうが、とにかくLinker達は現在の目標であるレベル80になるために今日もレベル上げに励んでいくのであった。



「そういえばお詫びの品が届いてたぞ」


 一度狩りを終え、桜花帝国で一息ついていた時、進化カードが思い出したようにそう言った。

 Linker達は現在桜花帝国内の城、聖獣城での狩りをメインとしている。レベル50~70まで長く狩り続けられる非常に優秀な狩場である。

 その分人気も高く場所が空いていない場合も多いが、それでもLinker達は今日で68までレベルが上がっていた。

 もうすぐ新しい狩場へ移る事もできる範囲だ。次の狩場はどこか聞こうかしていたタイミングでそう言われたので、何の事か聞き返した。


「詫びって何のだっけ」

「ほら、この間のメンテナンス延長の」

「あー、あれか」


 言われて、Linkerは苦い顔をする。結婚までの道のりが引き延ばされた瞬間の事を思い出してしまった。

 まあ過ぎた話ではあるのでそう長く引きずりはしないのだが、ともかくその時に後日お詫びの品を配ると公式に書かれていたのも思い出した。


「……遅くね?」

「そこは運営も色々あるんだろうし、あまり深く追求しないでおこうぜ」


 メンテナンスから1週間ほど経過してようやく詫びが来るのはどうなのかとLinkerは思うが、まあただで何か貰えるならいいか、という事にしておいた。

 アイテムは各街のポストから受け取れるらしいので、早速Linkerも受け取りに行く。

 中にはお詫びの文章と共に「ミリオンガチャチケット」が一枚入っていた。


「これが詫びチケってやつか」


 以前進化カードと話題にしていたやつだ。公式マスコットキャラクターなるものがやたらと催促していたアレ。

 内容としては、街の中に存在するガチャガチャで使用すればキャラクターの外見を変えられる装備アバターやここでしか手に入らない特別なアイテムがランダムで手に入るという、よくあるやつだ。普通に買うと一回200円らしい。


「リンがインする前に俺と先輩でやったけど、ハズレだったな。24時間の間毒を無効化する消費アイテムが出てきた」

「あー、やっぱそういうゴミも入ってるのか」


 MSWにおいて毒を使ってくる敵は少ない。その上使ってきたとしても秒間10ダメージを固定で与え続けるというものであり、はっきり言って対策する意味がない。

 が、Linkerはむしろやる気が湧いてきた。ハズレがあるという事は当然その分当たりがより良いものであるはずだ。

 そう考えて早速、2人を引き連れてガチャガチャの設置されている場所までやって来た。


「よっしゃ、それじゃあ俺が超レアなやつ引き当ててやるぜ!」

「リンくん、あんまり期待しすぎない方がいいんじゃないかな……私たちもそういい物が出たわけでもないし」

「そんな不安になんなくって平気ですって、意外とこういう流れの時はレア物が出てくるもんですよ。まぁ見ててください」


 2連続でハズレを引く。という事は3度目の正直というやつに違いない、そう思って自信満々にガチャを回す。2度ある事はなんとやらとも言うが、そちらは今は気にしない。

 ハンドルを回すと、ゴトンと音がしてカプセルが出てきた。

 しかも、金色に光っている。


「! ……シン、2人が引いた時ってカプセルの色ってどんなだった?」

「ん? えーと、上が透明で下が赤の、まあ普通の感じだったかな」

「私もだ」


 それを聞いて、Linkerは確信した。間違いなくレアを掴んだ。

 ニヤリと笑いながらカプセルを開封する。

 中から出てきたのは強化アイテムだった。「ユニークアイテム強化スフィア(100%)」という名前だ。


「フッ……」

「リ、リン! まさかその反応は! 引いたのか!?」

「ああ、金の」

「虹色のカプセルを!?」

「そう、金の……、え……?」


 ドヤ顔で自慢する気マンマンだったLinkerは、自分が引き当てた金色よりランクが上そうな色を引き当てたのか聞かれ、途端に口ごもる。


「いや、その、き、金色……」

「あー、じゃあそこそこ出るやつか。何が出たんだ?」


 急にトーンダウンした進化カードに自分が入手したアイテムの名前を教える。


「……うん、そこそこいいものみたいだな。100点中63点の評価みたいだ」

「び、微妙過ぎる……!!」


 驚くほど下なわけでもなければ飛びぬけて上なわけでもない、かなりなんとも言えない評価がされているアイテムらしく、Linkerも反応に困る。

 が、進化カードはすぐにしかし、と言って続ける。


「だがリンには有用なのは間違いないな。それは名前の通りユニークアイテムにしか使用できないが、ランダムで強力な効果が付与される可能性があるらしい」

「ってことは、こいつにとうとう出番が……!」


 装備アイテム欄の中に眠っていた劫火の姫の加護へ目を向ける。何の能力も持たなかったこいつが、ついに真の力を見せる時がきたのだ。


「じゃあ、さっそく使ってもいいかな!?」

「取引不可のアイテムだし、いいんじゃないか? しかしなリン」

「よっしゃ、いくぜ!」


 GOサインを貰い、Linkerは最後まで聞かずに強化を開始した。

 強化タブを開き、劫火の姫の加護の上に先ほどの強化スフィアをドロップする。

 するとまばゆく輝いた後、成功の文字が浮かび上がった。


「へへっ、これでこのアイテムの真の力が発揮されるわけだな!」

「おお、かっこいいなリンくん!」


 Linkerは強化の成功したそれを早速装備してみた。自分ではやはりよく見えないが、紫色の炎のようなオーラが背後でメラメラしている。

 装備した所を始めてみたMLGはその姿に称賛を送ったが、進化カードの方は微妙そうな顔をしていた。


「どしたよシン」

「……リン、どんなオプションが付いたか見たか?」


 その反応に首をかしげながら、劫火の姫の加護の装備効果を確認する。

 今までは何も効果のなかったそれだが、今は新しい効果が追加されていた。


 毒耐性20%上昇


 それだけだった。

 そう、ランダムで効果が付与されこそするが、それが強力かどうかはランダムなのだ。

 これなら何も付いてない方がマシなんじゃないのか、そう思いながら、Linkerは再び劫火の姫の加護に装備アイテム欄の番をさせる事にした。


「……よし、今日はもう寝よう! おやすみ!」


 レア度だけなら2人より上だったが、結果的にはどちらかといえば下だった。

 Linkerは半ばヤケになりながらさっさと寝る事にしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ