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俺はVRMMOで男と結婚する事になりました。  作者: カイロ


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俺は戦争に参加する事になりました。

 そういうわけで、3人はそれぞれ転職のために別行動を取る。

 Linkerは戦士になるための場所へ移動中なのだが、途中で見知った顔を見付けた。


「あ、ベルさん!」


 全身鈴だらけの特徴的なアバターの彼、ベル・ウッドマンだ。周囲を見回している彼に声をかけると、向こうもLinkerに気が付いたらしく手を振る。


「君は……Linkerくんか。久しぶりだね、楽しんでるかい?」


 何を、とは聞かれなかったが間違いなくMSWの事だろう。Linkerは元気よく返事をする。


「はい! 最近はシン以外にももう一人、一緒に遊ぶ友達が増えたんですよ!」

「そっかぁ、そればボクも嬉しいな。一人でも多くの人がMSWで楽しく遊んでくれるんだものね」


 ベルは喜びに満ちた顔で笑う。それだけで、彼がこのゲームを心から愛しているんだな、とLinkerにも伝わってくる。モロダシおじさんよりもランキングが下な事なんて大した問題ではないのだ。

 と、突然ベルは何かを思い出したようにハッとした。


「あ、そうだLinkerくん、ボクって実は魔王さまだったんだよ」

「…………はい?」

「すごい怖いぞー、なんでも食べちゃうからね。がおー」

「えっと、急にどうしたんです?」


 両手を猫の手に見立てて掲げ、なんの話だかまるでわからないカミングアウトをされ、Linkerは混乱する。

 子供に言うような口調で言われたのがさらに意味不明さを掻き立てている。不明すぎて、もしかして今は実に筋の通った話をしていて、自分が何か重要な語句を聞き逃しただけであって普通の話をしているだけなのでは、とさえ思えてきた。

 そんなLinkerの困惑を悟ったのか、ベルは照れくさそうに頬をかく。


「あはは、ごめんわかりにくかったよね。今のはロールプレイのつもり、だったんだけど、ボクあんまり演技とか得意じゃなくて」

「あ、ああ……そう、なんですか」


 解説をされてようやく納得できた。変な薬でもキメ始めたのかと思っていたLinkerはそれを聞いて安心する。


「この前レベル上げしてたら楽しそうに悪者を演じてる人を見かけてさ、ボクもやってみようかなって思ったんだけど、こういう方向で人を楽しませるのはやっぱり難しいみたいだね」

「はは……まあ、人には向き不向きってありますから」


 向いてるとかいないとかそれより前の話じゃないのかと思うが、そこまではLinkerは言わない。


「そ、それじゃ俺今から転職しに行きますんで、また」

「そっか。職に就くと戦闘の幅が広がって今まで以上に面白いと思うよ。これからもMSWをいっぱい楽しんでね」

「はい!」


 ベルは相変わらずいい人だった。Linkerが楽しく遊べる事を心から応援してくれている。

 期待に応えるように、Linkerは力強く返事をした。


「ところで、ベルさんはここで何してたんです?」

「ん? 友達との待ち合わせだよ」

「はっはっはっはっ、ベルくーん」

「あっ、待ってましたよモロダシおじさん!」

「友達同士だったー!?」



 ランカー同士の意外なつながりを見たLinkerはその場を後にし、特に何事もなく戦士へと転職した。

 進化カードとMLGも同じく希望の職に就いた3人は現在、中央広場のクリスタル前に集合している。


「ううむ、折角職に就いたものの見た目では特に変化を感じないな」

「装備はさっきまでと一緒ですからね。色々スキルとか使えるようになったんですし、どのくらい変わったかは狩りで確かめます?」

「おう。レベル80を目指してガンガン狩っていこうじゃないか」


 進化カードの言葉に若干苦い顔をする。

 新しい職業になり、新しく使えるようになった攻撃スキルやバフなどにときめいていたのも束の間、次のストーリー開放はレベル80となってからだ。

 それだけでなく、ここからは星の因子も本格的に要求され始める。集めた分を減らされたりしないのはLinkerにとって少し気が楽だが、それでも10万もの数値を要求されるらしい。

 これまでの狩りでようやく5000に届く程度しか集まっていない星の因子を見るに、相当な時間がかかりそうだなあ、とLinkerは少し気が遠くなる。


「しかし、急に必要なレベルが上がったね」

「二次転職可能になるレベルに合わせたらしいです。ま、そっちはともかく面倒なのは星の因子なんですがね」

「ああ、シン1000回分だもんな」

「おおーっとその発言はもしかして俺これから1000回殺される流れか」

「や、冗談だけどさ」


 モンスターを倒しても稀に、しかも二桁程度の星の因子しか手に入らない。しかし、決闘で進化カードを倒した時、100貰えたのをLinkerは覚えている。

 つまり、因子を稼ぐなら決闘が一番効率的なのではとLinkerは考えた。


「しかし残念だったなリン、同じプレイヤーと何度決闘しても星の因子は最初の一戦しか手に入らない仕組みなのだ」

「楽はできない、ってわけかぁ」


 最初の一戦だけなら因子は増えるそうだ、が負けた側は50因子が減ると追加で教えられ、八百長試合を持ちかけるのも難しそうだなあとLinkerはうなだれる。

 先にstあたりをワイロとして負けてもらおうにもそこまでお金があるわけでもないし、やはりモンスター討伐で地道に稼ぐしかないのだろうか、そう考え始めたところで進化カードはフフンと胸を張る。


「楽な方法は確かにないだろうな。しかーし! ちゃんと大量に稼ぐ手段は用意されているんから安心していいぞ!」

「おや、そうなのか。私はモンスターを倒し続けるのもいいと思うんだがね、その分沢山死体が生まれるからね、うふふ」

「先輩の知られざる性癖の話は聞かなかった事にして続けまず。……星の因子は戦争イベントで稼げるのだ!」

「戦争?」

「うむ、心躍るね」


 戦争イベント。正式名称はシューティングスター・ウォー。

 毎月月末の午前0時から翌日まで開催される国家対抗の大規模イベントだ。

 毎回参加時にエスティメス王国、桜花帝国、光都ロムディア、海中都市レンディアスの4つの国のどれかに所属を決定し、モンスターや他国のプレイヤーをどれだけ多く撃破できるかを競うらしい。

 自分の属した国家が1位になった場合、多量の星の因子が所属者全員に配られる。さらに所属国家内でより多くポイントを稼げば特別なアイテムが貰えるらしい。

 どちらも魅力的ではあるのだが、Linker達は未だレベル100にも満たない初心者。前者は運任せで、後者は絶対に不可能だと言い切れる。

 そんな初心者でも参加する意味はある。このイベント、戦争用のエリア内で戦うのだがそこで倒したモンスターは必ず星の因子をドロップし、さらに敵プレイヤー共々獲得できる星の因子が10倍になっているのだ。

 かわりに経験値は一切獲得できなくなっているためレベルを上げる事はできないが、集めにくい星の因子を大量に収集できるメリットに比べれば大した事ではないだろう。

 低レベルであるため他参加者からも狙われやすくはあるが、イベントエリア内ではデスペナルティもなくなるため、あまり気にならない。

 早い話が星の因子に困っているのであれば参加必至のイベントという事である。


「まあ、そんなところだな」

「月末って……あ、今度の日曜か」

「となれば、私たちは少しでもそれまでにレベルを上げておいた方がいいというわけだ」

「そういう事ですね」


 戦争開始まであと5日。

 たった5日で上げられるレベルなどそう多くはないかもしれないが、少しでもイベント中に星の因子を稼ぎやすくできるようにLinker達はレベル上げに勤しむのであった。

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