↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺はVRMMOで男と結婚する事になりました。  作者: カイロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/72

俺は大事な事を忘れていました。

「残念だったなあ、リン」


 稀に見るレベルの絶不調だったが、それでもLinkerはログインした。

 今は先にログインしていた進化カードとMLGに慰められている。


「不幸は重なるとよく言うからね。私も昔崖際に生えていた綺麗な花を見ようとしたら、まず最初に父がね」

「あの、先輩のはなんか不幸の桁が違いそうなんでその辺で」

「む、そうかね」


 不穏な冒頭を聞いてLinkerは話を遮る。


「まあ、確かに変わってしまった仕様をいつまで嘆いても仕方ないかとは俺も思いますし、レベル上げでも頑張りましょう」


 今回の仕様変更、実は不満に思っていたのはLinkerだけでなかったりする。

 攻略情報をまとめたブログや多数の掲示板サイトにその他SNS等でも肯定的意見は超少数だった。

 いくらなんでも必要レベル上げすぎ、金はわかるけどボスドロップを要求するな、遊びの幅をむしろ狭めてるだろ、でも同性婚可なので俺はオッケーです、とそんな具合。

 しかしいくらゴネたところで運営の対応が変わりはしない。というかそんなゴネ得を許すような間抜けではゲームの運営など到底できないだろう。

 急に変わった仕様には凛花も文句はあるが、それでも変わってしまったものはしょうがないので受け入れる事にした。


 というわけで、まずはストーリークエストを進める。

 桜花帝国の頭領が住まう城に厳重に収められた古文書(厳重とは言いつつもプレイヤーは何人ものいる兵士を普通に素通りするのだが)。ともかくレベル30以上のプレイヤーがそれを読み終えて城から出ると古文書が盗まれるイベントが発生する。

 で、盗まれた古文書を追って桜花帝国東部方面に存在する応龍遺跡へとLinkerら3名はやってきた。


「和風なのに応龍なんだ……」

「まあ、それ言ったら桜花帝国にも四聖獣関係とかあったしなあ」


 基本日本系の和風な桜花帝国だが、なぜか侍風のNPCが闊歩する街中のど真ん中に四聖獣の住まう聖獣城なんてものがあったりする。


「応龍、というのは?」

「えっと、雑に説明すると中国の強いドラゴンです」

「ふむ」


 まあ細かい設定の是非はともかく、3人は遺跡に湧くモンスターを狩りつつ奥を目指している。

 進化カードの情報では河原の次の狩場がここだったらしい。とても経験値が美味しい。

 ダンジョンの名前的にドラゴン系の敵が出るものだとLinkerは思っていたが、トゲトゲしいカニのモンスターばかり出てくるのが気になる。

 順調にレベルも上がっているので、まあ細かい事はよしとした。


「ところでさ、シン」

「どうした?」

「俺達って何か大事な事忘れてないっけ」

「ああ、実は私も気になっていた事があるんだが」


 モンスターの湧きが一段落したので休憩を兼ねていると、唐突にLinkerは違和感を覚えたのだ。今まで気にせずきたが、忘れていた事があったような。

 MLGも同じくだった様子で尋ねる。


「さっき、町で私達よりも低いレベルのプレイヤーが職に就いていたのだが、あれはどうやるのだろう」

「あー、そうだそれだ! 俺達転職してないんだ!」


 MLGの言葉にハッと気が付いた。ついでに自分のステータスを確認してみると、ジョブの所が初心者のままだ。

 狩りを続けて数時間。レベルも35に上がっていたLinkerはようやくそれを思い出した。

 MLGが話した通りなら、既になんらかの職になる事ができるはずのレベルに自分達は到達している。

 それを受けて、進化カードも「あー」と思い出したように声を上げる。


「ここ最近色々あったからなあ。すっかり忘れてた」


 夏条と月光門先輩親衛隊。

 確かに、それを考えれば忘れていても仕方ないだろう。凝縮された一生分の想い出と言われても納得できるレベルだ。


「じゃあ、このストーリー終わらせたら転職するか」


 進化カードの言葉に二人は頷いた。休憩は終わりにして、先へ進む。


 今回のストーリーはボス戦だった。

 相手は現状エンドコンテンツの一つに認定されている超強力ボス、ダンジョン名にもなっている応龍だ。古文書を盗んだ犯人がその中に記されていた召喚魔法を使って呼び寄せた。

 本来ならば最低でも180レベルはないと何もできずに即死するのだが、魔法がうまく機能せずに召喚が不完全なものになってしまったようで弱体化したらしい。Linker達のレベルでも普通に戦える相手になっている。

 暴走を始めた応龍に召喚者も殺され、このまま放置しては桜花帝国が危なくなるのでLinker達が倒す事になった。

 今までの雑魚狩りと比較すればとてつもない強敵だった。Linker一人ではとてもではないが倒せなかっただろう。

 が、パーティを組んでいるプレイヤー同士で協力して挑める相手だったので、初見にしてはかなり楽に倒せた。

 応龍を撃破し、無事だった古文書を取り戻して桜花帝国に戻り、無事にクエスト完了。

 現在3人はエスティメスに戻り転職を目指している。


「さて、それじゃあ大体の初級ジョブはここエスティメスで取れるらしいが、リンと先輩は何になる予定とかはもう決まってるのか?」

「俺は戦士系かな。無難に強そうだし」

「私はこのナイフで戦う職業がいいな。どんなものがあるのだろう」

「なら盗賊系みたいです。攻略サイトによるとレアアイテムドロップ率アップのパッシブスキルがあるからどのパーティにも一人は欲しいジョブらしいから、俺もそれがいいと思います」


 進化カードの説明を受けてMLGはなるほど、と頷く。Linkerも同じくだ。

 まあ、レアドロ率アップとは言っても大抵誤差レベルの差なのだが、居さえすれば効果を実感できるかはともかく安心はできる。


「俺は格闘家系を目指していくつもりなんだが……全員近接かあ。ちょっとバランス悪いかな」

「いいんじゃないか? 別に効率重視ってんでもないし、楽しく好きなようにやろうぜ」

「うむ、リンくんの言う通り、楽しければ何したって大丈夫だよ」

「いや先輩、それだと少し意味が変わってくるような……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。