第八十六話「分断」
前回ラペンと会話を試みたカイだったが不成立に終わる。5人の見習いの内、【ルーブ】【ソラ】【アイ】は即死。【未来予知】を発動したレトは、自身の感情に揺さぶられていた。
ラペンと別れた二人の勇者は無言で走る。
再度展開される壁を破壊し、ドアを破壊し侵入する。
「…?!」
▶第二魔王軍幹部【ムシャ】2ndランク
「コレマタ物騒ナ事ヲ…」
▶第二魔王軍幹部【ヒーチャ】3rdランク
「新入りと第二魔王の孫か…舐められたもんだ」
▶第二勇者パーティ統括[剣の勇者]【ノア】
【命運の逆剣】を構えた勇者は、さらに速度を上げる。とっさのブーストに対応した無口な男は、【黒剣】を手首で返し衝突。
「?!」
「…」
睨みを利かす男に、ノアは左手首を流す。重心前の右足を半円を描くように下げ、力を弱める。
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「?!?!」
吹き飛ばされたムシャに、白髪の剣豪は笑いながらアドバイスを行う。
「今のは誘発だよ。意図的に相手を優位に立たせて隙を生ませる技。」
▶第二魔王軍幹部【ブラッド】TOPランク
「その通り。熟練の猛者が戦いを急ぐ時に使う。まず強者には通用しないが…弱者と過信しカウンターを食らうと、致命傷になりかねない。」
▶第二魔王軍統括【ジン】TOPランク
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「……(この技は)」
瞬時にしゃがみ、重心を右下へ傾ける。
【黒剣】は左下から足を目掛けて狙う。
「?!」
「(対策済みだ)」
足を切り落とせば十分。
避ける手段は引くかジャンプ。
即座に見分けて判断しろ…いっそ2分1を当てる
鋭い剣筋は金属音を鳴らす。
視界に映る白金色の刀身は、すべての読みを嘲笑う
「?!(凌いだ?!どんな反応速度だよ?!?!)」
「なかなかやるな…ジンの後輩」
顔を上げた瞬間、左足蹴りが右頬に直撃し、壁端まで吹き飛ぶ。
歯が折れ、よだれのように垂れる血は閉じない口から流れ落ちる。
「ぅぇ......ぁ....?!」
痛みはない…でも…力が入らない…
ふらふらと立ち上がるムシャに違和感を感じたノアは、改めて警戒する。
「【無痛症】か?」
「…ぁ…?」
とどめを刺すために再度構え、【加速】。動き出しの風を読み、今後の動きに警戒する。
「遅れてすいません…ムシャ!!」
割り込んだ白髪の剣豪は、嬉しそうに剣を交えた。
計24回に渡る剣撃を瞬時に防ぐが、連撃は終わらない。
「お久しぶりですね。勇者様」
▶第二魔王軍幹部【ブラッド】TOPランク
「っく?!」
左足がコンマ浮く。そのささいな動作から立ち回りを予測。筋肉線維の動きから網膜に掛けて…
「くっそ…」
剣が左肩から斜め下に直撃し、反対側の壁まで吹き飛ばされる。
ドカンッッ!!!!!!!!!
「ん〜…頑丈ですね…【ビット】なら50回は死んでますよ?」
「想定外の火力だな。傷を負ったのは200年ぶりだ」
滴る血液を剣は欲する。
勇者の血を含んだ鉄剣は、赤黒く光沢を成す。
形状を変え、勇者の器に適合した鉄剣は、性質も変化する
武器適応変化
鉄剣▶ユニーク武器【命運の逆剣】
「なっ?!」
「【血刃】…言っておきますが…まだ余力があります。懺悔は速めに。」
力強く拳を握ったブラッドは、血管を浮き上がらせる。
「許しはしませんけどね」
「なら…貴方も懺悔の準備を」
白髪の勇者は右手を前に伸ばしため息を吐いた。
「更地にしても良いよね?ノア」
▶[魔法の勇者]【アイリス】1stランク
「…やむを得ない」
「うん。間違えてないみたい」
【風魔法】風速の加護▶
【炎魔法】火力の加護▶▶【混合魔法】風炎の壊
【闇魔法】破壊の加護▶
詠唱とタイムラグなしで放たれた魔法は、空気と振動し城壁を抉る。
「【創造魔法】調律ノ不調」
緑黒く燃える魔法は数秒後分離。
3つに分かれた加護は、付与対象を失い消滅する。
「私ガ居ル内ハ安安ト魔法ハ打タセンヨ」
▶第二魔王軍幹部【ヒーチャ】3rdランク
「調律変化を促す器具の【創造魔法】…想像以上に面倒くさいね」
「作ルノニ七カ月費ヤシタ。コツハ継続ダヨ」
「…暇なの?」
「…一応睡眠ト食事モ取ッテナインジャ…暇デハナイ」
「そう?ならマシだね。もっと長く詠唱してる子を…私は知ってる。」
見下すように開く瞳はマナを映し取る
系100を超える属性魔法を生成したアイリスは、頭を傾げながら質問した。
「対応魔法数は幾つ?」
「戦争ヲ考慮シテオル。数千ハ対応可能二仕上ルサ」
「なら1万でいこう」
「…ハ?」
作り笑顔で指を鳴らすと、アイリスより後方は属性魔法に埋め尽くされた。光色の輝きに瞼が思わず閉じる。
「……?!(嘘だろ)」
「流石にこれは…」
冷や汗を掻くブラッドは、部屋を再確認。
「予定と違いますけど…流石にやむを得ないでしょう…」
互いに考えを共有したヒーチャは、即座にボタンを押した。
瞬間。アイリスは消え、魔法は全て消滅する
「アイリス?!」
「元は貴方との一対一を要望してたんですよ?ですが…流石に彼女は強すぎる。…またお会いしましょう勇者様。今度は…必ず…」
瞬間。ブラッドも消滅する。マナの残穢を肌に感じたノアは、前を向き剣を構えた。
「分断か…」
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【世界の反対側/世界樹】
「…やけに怯えてるのね」
「しょうがないでしょう。室内であんなの放たれたら、無条件で即死…こうならざるを得なかった」
【命運の逆剣】を構えた白髪の剣豪は、嬉しそうに左足を引いた。
「命を奪うこと。お許しください。…守るべき者が居るのです。」
「健気だね。殺す事を謝るなんて」
[魔法の勇者]【アイリス】1stランク
VS
第二魔王軍幹部【ブラッド】TOPランク
次回「師弟」
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