第八十二話 氏神の力と緩み
戦いのプログラムしか組み込まれていないアンドロイドの集団は、ハンドガンのトリガーを躊躇なく引いた。だがそれを事前に察知していたのか、
「シールド!」
極めて無機質な弾丸が向かってくるよりも速く、ネイツーは超能力を使い、自分のみならずトウジたちを守るため、エネルギーシールドを展開させた! 光の速さで広がった力場の盾は、銃撃を全て跳ね返したのみならず、戦闘型アンドロイドの集団を押しつぶすように拡散しつつ前方に大きく広がる!
エネルギーの壁から瞬間的に多大な圧力を受け、戦闘型アンドロイドの集団は、一機残らず後方に吹き飛ばされた! 自分たちの先祖にネイという、強大な超能力を持つバイオノイドがいたことはトウジもリナも知っている。だが、その再来であるネイツーが使用したそれは、彼らの想像を遥かに越えている。超現実的なその力にザーフェルト、クローゼン、二機のアンドロイドの感覚センサーすら、何かエラーを見たのかと、事実を処理しきれていないようだ。
「退けたわけではありません。ザーフェルト、クローゼン、頼みますよ」
「ワ、分カリマシタ!」
「ハ、ハイ!」
ザーフェルトのみならず、ネイツーの圧倒的な強さに敬服したのか、クローゼンまで敬語で返事をする。彼らはそれぞれの右肩に、小型ミサイルポッドをアンドロイド特有の膂力を用いて担ぎ、照準を慎重に合わせた後、体勢を大きく崩している敵アンドロイドに向け、全弾発射した!
「ガーッ! ……コウドウフノウ」
ミサイルの直撃を受け、木っ端微塵になった機体もあれば、防御盾で一部をかわした機体もある。被害はそれぞれながら、敵アンドロイドの多くは壊れ、動かなくなった。しかし、まだ5、6機の敵が残っていた。
「ショックウェーブ!」
油断なく連続攻撃をネイツーが畳み掛ける! 彼女の右腕から発せられた高速の衝撃波は、残存する敵アンドロイドを勢いよく吹き飛ばし、それらは強かに、廃墟となっている建物の硬い金属壁面に打ち付けられ、機能が停止した。
勝利し危険は去ったと、トウジたちは安堵している。だが、そこに緩みはいつでもある。完全に破壊したと思われた敵アンドロイドの銃口は、一つまだ生きていた。発射された銃弾が、照準通り揺らぎなく、トウジに向かって正確に飛んでいく!
「ああっ!? トウジ!?」
リナの悲鳴を聞き、ネイツーは蒼白な顔ですぐに振り返った。アキヒトから受け継いだブレスレット、それから発現した光の盾がトウジを守っている。凶弾は彼の命を奪っていない。




