第六十三話 面影ガ有リマスネ。
文字通り、身を削ってザーフェレジアのために働き続け、そして動かなくなった二機のアンドロイドが、コントロールタワーの一室で御神体として、丁重に保管されていた。ザーフェルトとテレジアである。二機はまるで、お互いに添い遂げきった人間の夫婦のようである。
「綺麗だね……父さん」
「ああ、だから直してあげないとな」
人のために献身し続けてきたザーフェルトとテレジアの姿を、少しの間、トウジたちは感慨深く見ていた。その後、決意をしっかり固めると、ポリマーケースに保管された二機を直すために移動させ、復旧可能性が未知数の修理を開始する。
カツトシとトウジは、二人ともマリー・サトル総合工科学校を卒業している。カツトシなどはアテナタウンでも非常に貴重な、専門性が高いメカニックとして仕事を持っていた。そうではあるのだが、この二機のアンドロイドは旧時代の技術で作られおり、内部構造を理解するのにまずとても手間取る。それでも工学的センスがあるカツトシ親子はどうにか故障原因を推量し、本格的な修理に取り掛かれた。
彼らが動けなくなった主な原因は、アンドロイドの神経とも言える量子回路の不具合と、エネルギー供給を調整する超小型精密オルタネーターの故障である。カツトシとトウジは、極めて慎重に、あたかも長時間の手術的に、二機の故障部分を直していく。
「ようやく形にはなったね。でも……動いてくれるかな」
「直ってくれないと、これ以上はちょっとお手上げだな。旧時代のアンドロイドは直すのに難しすぎる」
そう祈るような気持ちで、ザーフェルトとテレジアの高性能バッテリーを修理の仕上げとして装着させ、彼らが目覚めてくれるのを、トウジとカツトシは静かに見守った。メカニック親子の願いが天に通じたのか、二機の神様が再び動き始める!
「ココハ……? アナタ達ハ? エッ!? マサカアナタハ、アキヒトデスカ?!」
「違イマスヨ、ザーフェルトサン。デモ、アキヒトニソックリデスネ。アナタ達ガ直シテクレタノデスネ、アリガトウ」
長い眠りから無事目覚めたザーフェルトとテレジア。彼らを復活させたメカニック親子は、危うく感涙してしまうところだった。頭を軽く振り、気持ちを落ち着けた後、トウジは二体の神機に話しかける。
「へへっ……よかった。俺はアキヒトの子孫で、トウジって言うんだ。こっちは俺の父さんでカツトシ。直ってくれて本当によかったよ」
その言葉でザーフェルトは全てを理解し、優しく微笑んだ。彼はずっと会いたかった友の子孫を、その心強い両腕と合金の胸で、黙って柔らかく抱きしめた。




