第五十六話 こなさねばならない課題
セトから詳しい話を聞いた後、トウジは目を輝かせて、今度はアテナにも話を聞くため、その前に今いる。だが、アテナにしては非常に珍しいことにかなり機嫌が悪いようだ。楽天的なトウジではあるが、ご先祖様でもあるマザーコンピューターアテナのこんな感情は見たことがなく、かなり驚き幾らか恐怖も覚えていた。すぐ傍にいるリナも同様に感じている。
「私がこのような感情を持つのは、私が生まれてから二回目ですね」
(……怖すぎる……)
「なじるのは嫌いなのですが、セトをなじりたい気分ですよ。トウジ、あなたはこの町で生活するだけでは満足できませんか? それか、もし町の外に出たいなら、オールホープ、ザーフェレジアの二つの拠点に行くことを許します。昔に一度だけ確認した、救難信号を辿る旅に行かせるのは許可しかねます」
「でも……、そこで助けを待ってる人がいるかもしれないじゃない」
迫力のある厳しい表情をモニターに示しているアテナに、トウジは恐る恐るそう返した。さらにアテナは厳しくなるかと彼は思ったが、トウジの言葉を聞いてどこか懐かしさを感じたようにふっとアテナは表情を緩めている。
「あなたはアキヒトの子孫ですが、性格や雰囲気が彼と、とても似ているのです。トウジ、それだけに私はあなたが可愛くて心配で仕方がない。ですが……」
「……ですが?」
「あなたがアキヒトの特性を色濃く受け継いでいる以上、どうしても旅に出ると言うでしょうね」
「うん。頼むよアテナ。何とか旅に行かせてくれよ」
トウジに拝まれているモニター上のアテナは苦笑せざるを得なかった。彼女にとっては子孫に一番せがまれたくないことをせがまれているのだ、トウジを危険な目に遭わせるくらいなら、自身がすすんで犠牲になるつもりでいるアテナにとって、最悪で真逆の願いである。
「仕方ありません。分かりました。許可しましょう」
「本当かい!? やったー!!」
「まだ話している途中ですよ。今から出す課題をクリアできれば、本格的な旅に出ることを許可します。この課題をクリア出来なければ、どの道、救難信号を辿ることは無理でしょう」
「ただじゃないってわけか……。分かった、どんな課題でも出してくれ。やり遂げてみせる」
アテナもセトと同じく、アキヒトと生き写しの表情をトウジに感じている。彼女は少しだけそれを見て微笑むと、表情を厳しいものにまた変え、彼がこなさなければならない課題を伝え始めた。




