第十九話 狂愛が芽生えた日《ニ》
かなり間が空きました!
申し訳ないです!!
銀狼の合間にまたちょくちょく書いていくのであしからず!
「あはは、はぁ♪。懐かしい記憶だなぁ。僕と君との……思えばあの時から…」
幼い頃の出来事を走馬灯のように振り返り、僕は笑みを溢す。
あれは課外授業の前日、ミリィの家にお泊まりした時の朝だったかな。
「ふぅ…ミリィ…」
数秒前まで、綺麗な切断面から流々と鮮血のシャワーを噴き出していた首無しの胴体。
もはや物言わぬ屍となったそれを朦朧とする意識の中で抱き寄せる。急激に冷たくなっていく体温、ベットリと身体中に付着した血液が心地良い。
「まさか、こんなところで……ね…」
現在、僕は虫の息だった…というのも、妖魔化したとはいえ、失われた血液が戻ったわけじゃないし体の疲労が取れたわけでもない。
それでも体の奥底から湧き出てくる魔力を血液として循環し、無理矢理にでも体を動かしていたのがさっきまでの戦闘だ。
僕自身、見えない力に体を操作されているような感覚だったよ。
強力な一撃によってクソ豚を仕留める事が出来たけど、同時に僕の魔力はほとんど最期の攻撃に持っていかれてしまった。魔力はこの世界で命の次に大事な生命力を意味する。
ただでさえ多くの血と魔力が失われた状態で、愛する彼女を殺すために短剣を再現したことで、完全な魔力枯渇状態に陥ってしまった。
魔力枯渇状態になると、初期症状で目眩、一分もしないうちに激しい頭痛に見舞われ五分が経過すると全身が痺れて動けなる。
そして、そのまま体が衰弱していき昏睡、死に至る。
恐ろしい症状かと思うけどそうでもない。
魔力を回復するポーションを服用すればあっという間に全快するからね。
まあ、今魔力ポーションを再現しようにも肝心の魔力が無いから出来ないけど…。
折角、復活したばかりだけど早速死ぬわけだ。昔の事を走馬灯のように思い出している間に症状は最終フェイズの意識の混濁へと移りゆこうとしてる。
「だけど…後悔…は…してな…いや」
これは本心。
僕が望んだ異世界での楽しい殺人ライフを全う出来たかは微妙、いや、間違いなく出来てなかっただろう。
もう一度母親を殺す快感を味わいたかったり、町の人達を虐殺してみたかったり、やり残した事もたくさんある。
──それでも…!
「君を…殺せたこと…君と、死ねることが僕は…嬉しいよ」
僕は視線を動かして、転がっているミリィの生首を見つめる。
光彩が失われた瞳、最期の瞬間に浮かべた満面の笑みは虚ろだった。彼女の魂はもう存在しないんだと実感する。
ゾクゾクする…♪
思えばあの日…。
ミリィ以外の子供を処理したときからずっと……僕は君に恋をしていたのかもしれない。
『アル…アイン…君…! どうして、ウグッ…!ど、どうしてこんな…ことを…!?』
ああ、親友君。
魔物に腕を食い千切られた痛みに耐え、追いすがる魔物達から逃げ続け、それでも掴まって…。
首筋に牙を立てられる瞬間、君が放った言葉にようやく返答が出来そうだよ。
そうだ。僕は彼女を独占したかったんだ。
君や君以外の少年達がミリィと楽しげに話していることに我慢できなかったんだよ…!
本当はミリィを殺して、永遠に僕のモノにする計画もあった。
だけど、僕はその時自らの手で人を殺めることを禁止していた。
だから、手はくだせなかった。
だって──
好きな人は……自分の手で殺してあげたいから。
今日、ようやくその願いが叶った。
若干、成り行きでやってしまった感は否めない。どうしようもなく可愛いかったんだ。
仕方ないさ。
二度目の人生で僕が初めて心の底から好きになった少女、ミリィ。
「今日…か、ら…その笑顔は…僕……だ…けのモノ………」
手足の感覚が失われていく。
もう何も見えない。
ああ、意識が───
ミリィ、そしてアルアインはこのまま──!?
次回 二年越しの狂気




