サンズvsバックスの第5戦の結果
7月17日にフェニックスで行われたNBAファイナル第5戦は、バックスが123-119で勝利しました。
両チームともホームゲームをモノにして2勝2敗としていた状況で、バックスとしてはどこかで敵地を攻略する必要があったのですが、この試合で見事それを達成し、0勝2敗から3勝2敗と形勢逆転でNBA優勝に王手となりました。
第1Qは完全にサンズのペース。
ホームでの2連勝で勢いに乗るバックスでしたが、この試合は序盤からサンズに主導権を握られることになります。
11得点のデビン・ブッカーを筆頭に、ジェイ・クラウダーやディアンドレ・エイトンに得点を奪われ、37-21とサンズか16Pリードで第1Qを終えます。
サンズのオフェンスは残り2分過ぎまでFGを15本中12本成功(シュートを外したのはブッカーだけ)と絶好調でした。
このままホームのサンズが圧倒するのかと誰もが考え迎えた第2Qでしたが、ドリュー・ホリデーが立て続けに得点を量産し、バックスに流れを引き寄せます。
このQだけで14Pを集中砲火したホリデーの活躍で、中盤には逆転に成功すると、その後はリードチェンジを繰り返し、64-61とバックスの3点リードでハーフタイムに入ります。
勝ったチームが先に王手をかけることか出来る大事な試合でしたが、勢いは完全に連勝中のバックスにありました。
迎えた第3Q、バックスは開始からクリス・ミドルトンが次々と得点を奪うと、そこにホリデーも続きます。
さらにヤニス・アデトクンボが連続得点を挙げるなど、攻撃の手を緩めないバックスは、100-90とリードを広げて最終Qへ臨みます。
サンズはバックスの勢いの前に、エースのブッカーは孤軍奮闘しますが他の選手に精彩かありません。
バックスリードのまま迎えた第4Q残り3分25秒、ミドルトンの得点で10P差に広げたバックスでしたが、クリス・ポールに3ポイントを決められると、ブッカーにもタフな長距離砲を沈められ、3P差まで詰められてしまいます。
バックスはアデトクンボが獲得したFTを2本とも落とし追加点を奪えず、ポールの得点で1P差まで詰め寄られる第2Q以降で最も苦しい展開になります。
そこからバックスが逆転に成功し、最後は接戦に持ち込まれましたが、再び突き放して勝利を収めました。
そんな試合の最大のハイライトは、120-119でバックスがリードしていた第4Q残り30秒からのプレーでした。
ホリデーはこの試合で40Pを挙げたサンズのエース、デビン・ブッカーからのスティールを成功。
そのまま速攻でヤニス・アデトクンボの豪快なアリウープをアシストしました。
このプレーはサンズの追撃ムードを断ち切り、シリーズの勝敗にも影響を与えるかもしれないビッグプレーでした。
はか優勝したとしたら、後に優勝を決定させたプレーと言われるかもしれません。
このシーンについて、ホリデーはまずディフェンスから振り返ります。
彼に言わせれば、値千金のスティールは「チームディフェンスの成果」だそうです。
「僕らはブッカーがラストショットを狙って来ると予想し、彼のアタックを止めた。僕は彼がポンプフェイクをしたら背後からプレッシャーを掛けるつもりだったけど、彼はターンした。そこに僕がいたのさ。まさに適切なタイミングで適切なポジションを取れたと思う」
そのまま走り出したホリデーは、自分を追い越して走るアデトクンボへと迷わずパスを出します。
ホリデーがスティールに成功した時点で残り15秒。サンズはファウルゲームに持ち込むしかなく、成功率を考えればFTが苦手なアデトクンボよりもホリデーのはずですが、自分がファウルを受けても良い状況でパスを選択した理由を質問された彼は、「ヤニスがボールを要求してきたから」と答えています。
「彼の手が届く範囲で、できるだけ高い位置にパスを出そうとした。彼が『フリーク』と呼ばれるのには理由がある。パスを出せば決めるとしか思っていなかった」
空中でパスを受けても、身体ごとつかまれたらダンクまで行けない可能性がある状況で、ホリデーはそれをさせないための高いパスを選択する頭脳プレーを見せています。
その直前にアデトクンボはFTを2つ落としていましたが、信頼は揺らがなかったようです。
「1本目を外したところでTOを取るサンズの作戦は見事だったね。でも、ヤニスがどれだけ集中していたかは分かっていた。彼はいつも自信を持ってプレーしているし、僕らも彼を信頼している。仮にFTになっても、2本決めると思っていたよ」
もっとも、このラストプレー以外にもホリデーのプレーは試合を通じて光っていました。
21-37と第1Qで先行された後、アデトクンボがベンチで休んでいる時間のオフェンスを引っ張ったのは他ならぬホリデーでした。そしてディフェンスも、第3戦から主にクリス・ポールのマークを担当し、サンズをNBAファイナルまで導いたベテラン司令塔を的確なディフェンスで苦しめているのです。
カンファレンスファイナルでは輝いていたCP3ですが、悲願の優勝がかかるファイナルの舞台では目立った活躍が見られません。
攻守両面で活躍するホリデーですが、彼はディフェンスファーストであることを強調して、そのマインドをこう説明しています。「スコアに関係なく、僕たちが気に掛けるのはディフェンスのことだ。(デビン)ブッカーはすごいスコアラーで、どうやっても止められないこともあるけど、ディフェンスへの意識が揺らぐようじゃダメだ。ディフェンスから良いリズムを作り出して、それに乗っていくのが大事。ヤニスのトランジション、クリス(ミドルトン)の3ポイント、ボビー(ポーティス)の力強いプレー、すべてはディフェンスから作り出すリズムによって生まれる。オフェンスが機能していても、いつも意識はディフェンスに置くべきだ」
アデトクンボが32P、ミドルトンが29P、そしてホリデーが27P。バックスの『ビッグ3』と呼ばれているホリデーですが、彼はあくまで謙虚な姿勢を崩さず、「自分の活躍についてはあまり気にしていない」と語っています。
「結局、大事なのはチームにどれだけ貢献できたか。前の試合ではシュートを20本打って4本しか決められなかったけど、チームが勝ったから気にしなかったし、チームに良い影響を与えられたと前向きに考えていたよ。チームに貢献できて、その上で自分のシュートも決まったらボーナスみたいな感覚だね」
淡々と語るホリデーの姿は特段うれしそうな表情を見せるわけではないため、激闘を制したことがうれしくてたまらない、という笑顔で会見に応じたアデトクンボとは対照的に見えます。(バックスで優勝を切望するヤニスの喜びは当然)
ホリデーが笑顔を見せるのは、もう1つ勝った時でしょう。
「2連敗を喫したところで、僕たちは下を向かなかったからね」と彼は語ります。
「チームとしてどう向上するかを考え、次の試合のことだけに集中した。タイトルを懸けて戦うんだから、簡単なはずはない。入れ込みすぎることなく、落ち込むことなく、ただ集中したんだ」
サンズはホームて勝てなかったことて崖っぷちに追い込まれ、連勝するしかありません。
エースのブッカーは不調だった1試合を除いて、相変わらずエースらしく得点でチームを引っ張っています。
CP3がホリデーのディフェンスに苦しめられて、攻守両面で精彩を欠いているままではサンズは絶対に勝てないでしょう。
あとはエースストッパー兼シューターとしての活躍が期待されたミカル・ブリッジズがシリーズ通して全く活躍出来ていないことも計算外でした。
ポイントゴッドが覚醒して無双するのか、バックスが4連勝で優勝を勝ち取るのか、サンズの奮起に期待したいですね。




