6話 ヤンキー女子高の先生
新聞部へのリークは冗談だったらしく止められた。
「でもね、上条君、新聞部の情報網は半端じゃないわよ。相当数の協力者がいると思っていいわ。
だから油断しちゃだめよ」
この白石先生に言葉は肝に銘じておこう。
確かに毎朝僕の家の前を通って通学している白女の生徒は多いんだ。
この間の美佳との玄関前でのツーショット写真もその中の誰かがスマホで撮ったんだろう。
だが話がどんどんおかしな方向に進んできた。
「でもそうなると、他の部員達も入れないとフェアじゃないわよね。
彼女になれるのが貴方たち4人だけだとチームワークも悪くなるし、試合どころじゃないわよ。
部が分裂して廃部になる可能性もあるわよ」
「そんなこと言っても、みんなには黙っていればいいんだし」
「でも、今日私がここに来たのも実はバスケ部の一年生部員たちの要望もあるのよ。
上条君に勉強を教えて欲しいということなんだけど、彼女たちがこんなにも前向きな考えを持ったのは初めてじゃないかしら」
「そりゃそうだよね。中学の時に普通に勉強してれば白女になんか来るわけないし」
「でも本当に勉強したいのかなぁ、本音は慎介と会いたいだけじゃないの。
そしてあわよくば…とか考えてるんじゃないの。めぐみ先生」
「それは少しはあるんじゃないの。白女の生徒なら誰だって上条君に会いたいと思ってるんだし」
誰だって僕に会いたいって言うのは無いだろう。
だけどあの壁新聞の所為で僕が白女で有名になってるのは確からしい。
誰だよその新聞部の部長さんは。一回会ってみたいものだ。
僕の携帯が鳴って僕が二階の自分の部屋に言ってる間、色々ともめたようだが、明日、そのバスケ部員の4人を白石先生が連れてくることになった。
一回でも上条君に会えば彼女らの気が済むだろうと白石先生は言っていた。
美佳などは不満たらたらだが明日は美佳たち4人はここには来てはいけないと釘を刺されていた。
「さあ、みんなはもう帰りなさい。7時を過ぎてるんです。気をつけて帰るんですよ。
私は今後の打ち合わせもあるからもう少し上条君と話してから帰ります」
美佳たちを玄関の外まで送っていくと、由良が心配そうに話しかけてきた。
「ねぇ、慎介さん、明日、女の子が4人揃ったからって襲っちゃだめですよ。
私達ならいつでも襲ってもらって良いですけど」
「バカなことを、そんなことするわけないだろ」
「でも慎介さんと一緒にいると女の子はしたくなっちゃうんです。本当ですよ。
私だって今日抱いてもらえなかったのは残念です」
「白石先生もいるんだし、そんなことになるわけないだろ」
「慎介、明日だけは我慢してね。明後日は私がたくさん相手をするから」
「美佳。そんなに僕が信じられないの」
「そうじゃなくて、さっき由良が言った通り女の子がしたくなっちゃうんだよ。
私はそれが心配なの。ほら慎介は女の子が裸で迫ったら必ず抱いちゃうでしょ」
「裸で迫ってくるわけないだろ。心配すんな」
しかし考えてみると美佳の時も、愛理や沙希の時も裸で迫られたんだ。
明日は注意しよう。
家の中に戻ると白石先生は家の中を探索していた。
「先生、何やってんすか」
「あ、上条君、この家はずいぶん広いのねぇ、ここで一人暮らしって怖くないの」
「そうですね、最初は少し怖かったですよ。今は慣れました。
仕方ないですよ。両親はドイツにいて、もう日本には帰ってこないらしいですし」
この家は4年前に両親が家具付きで買った中古住宅だ。
当時で築25年という事だったから、もう30年くらいになる古い洋館だ。
前の持ち主は大家族だったらしいが、子供たちが全員独立して家を出たため、この家を売って故郷の地方都市にマンションを買って暮らしているらしい。古い家だが父が買った時、外装内装ともにリフォームしたから綺麗なものだ。
古い家だが断熱や防音に優れ、窓も二重サッシだし少しも歪んでいない優れた家だと思う。
うちは親子3人なので、最初は何考えてるんだと思ったが、前の持ち主は父の元上司で買ってくれと言われ断れなかったらしい。
だいぶ相場より安かったこともあり、父は購入を決めたのだが3年後父はドイツに転勤になってしまった。
母もドイツに行ってしまったため、僕だけが住んでいるという事だ。
「部屋は何部屋あるの」
「一階は両親の寝室と客間が2部屋、納戸と家事室があります。2階は4部屋です。それと地下に物置とワイン貯蔵庫があるんですが使っていません」
「すごい家ね。外見もセンスの良い家だなと思ったけど」
「外国の建築家が設計した物らしくて、一部屋一部屋が広いんですよ。掃除が大変なんです。
僕もたまに掃除してますが、年に2回プロに清掃を頼んでいます」
「部屋を貸せばいいんじゃないの。もったいないわよ。シェアハウスって言うんだっけ」
「それは考えたんですけど面倒くさいです。家ごと貸すのが良いのですが借り手がいませんよ」
先生は何か考えた様で黙り込んでしまった。
実はそれも今年の4月に両親が一時帰国した時に相談したんだ。
『俺たちはもう定年まで日本には帰れないだろう。会社を辞めれば別だがそんな気は無いしな。
だからここはお前の好きなように使っていい。ただな、前の持ち主からは大切にして長く住んで欲しいと言われてるんだ。
一番いいのはお前が早く結婚して子供をいっぱい作ればいいんだ。がっはっは』
『お父さんが定年しても私は日本に帰ってきたくないかも。
ドイツは良いわ。一生住みたいと思ってるの』
と言う訳でこの家は僕が自由にしていいと言われている。
言い方を変えれば両親はこの家を僕に丸投げしたともいえる。
まだ高校生の僕にだ。
ただ売ったり、家を壊すのは駄目らしい。
だから大学もこの家から通えるところになる。
東京か神奈川にキャンパスのある国立大学に行くしかない。
先生が考え込んでるので僕から話しかけた。
「白石先生、僕に話があるんじゃないんですか」
「えっ、あ、そうね、上条君は白女の事をどう考えてるの」
「前は出来るだけ関わりたくないと思っていました。
でも美佳や愛理達と関わってしまった今は偏見とかはないですよ。
みんな普通の子ばっかりだし」
「そう、うちの学校はね。目標は生徒を卒業させることなの。
入学してくる生徒は毎年三百人くらいいるけど、卒業する生徒は7割くらいかしら」
「えっ、そうなんですか」
「うん、学校に来なくなって自主退学する子も多いけど、援助交際で警察に補導されたり風俗でバイトしたりして退学になる子もいるの。
私たち教師も全力でサポートしてるつもりだけど、どうしてもそういう子は居るのよ」
「……」
「実は、加古川さんや各務さんもこの間までは退廃的で覇気のない雰囲気だった。
それが最近はまるで人が変わったように活き活きとして積極的に授業に取り組むようになったのよ。
私は数学を教えているんだけど、まじめに授業を聞いてる子なんて少ないのに、彼女たちは違ってきた。
それは全部あなたのおかげじゃないの、上条君」
「それはそうかも知れませんけど」
「それに私はバスケ部の顧問もしているんだけど、加古川さん達は急に運動神経が良くなったみたいで、以前とは全く動きが違うし、身体能力が上がったとしか思えないほどバスケの技術も上達してきたの」
これは僕が何かしたんじゃなく、僕の中の”精霊さん”の力だと思うが、言えないし。
だけど急に何か先生の様子がおかしくなってきたみたいだ。まさか。
「もしかして貴方には女を変える力があるんじゃないかと思うのよ。
それしか考えられないほど彼女たちは短期間に変わったわ。だから……それを確かめたいの」
「えっ」
先生の体から黒いオーラが立ち上ってきた。
僕にはそれ見えるのだ。その途端、僕の中の何かが膨れ上がってきた。
―――まずい!―――
「先生、すぐに……ここから……帰って…」
だめだ!もう遅かった。
先生は顔を上気させて服を脱ぎ始めている。
「こんなこと教師のすることじゃないのは分かってるんだけど、もう、我慢できない」
「駄目だ……先生、脱いじゃ…だめだ」
必死の思いで言ったのだが、先生はどんどん脱いでいく。
僕も先生から目を離そうと必死になっていたが無理だった。
「上条君は女が裸で迫れば抱いてくれるんですってね。浜崎さんたちの話は聞こえてたわ」
全てを脱ぎ捨てた白石先生の体は、今まで僕が見た女性の中では一番綺麗だった。
僕はまたも精霊さんに支配され理性を失ってしまった。
全てが終わって冷静になれたのは夜12時近かった。
「すごかったわ、何度ももうダメって思ったけど体が貴方の求めに応じちゃって、自分でも信じられない」
「すみません、先生」
「ううん、私から迫ったんだもの貴方に責任はないわ。いや、やっぱり責任取って欲しい。
もう、私は貴方のものなんだもの。離れるつもりはないし」
先生から出る黒いオーラのようなものを吸収するたびに、先生は綺麗になっていった。
僕はそれで欲望が膨らみ4時間にわたって先生を犯し続けてしまった。
「でもすごい体力ねぇ、私は意識が天井を突き抜けて宇宙に行ったような感覚を覚えたわ。
こんな経験は初めてよ。セックスって好きじゃなかったけど貴方とのセックスは大好き」
「先生、今回限りにしましょう。まずいですよ」
「いやよっ、絶対に離れないからね。責任を取ってもらうわ。どうしてもね」
「そんな…」
「貴方は16歳、私は25歳、このくらいの年の差なら問題無いわよね。
さっそくアパートを解約してここに越してくるからお願いね」
「ええーっ」
「ああ、晴れやかな気分だわ。今なら何でも出来そう。
ああ、みんなに言いふらしたい。この私の幸せな気分を」
「駄目だって、何言ってるんですか」
「冗談よ、でも前と景色がガラリと変わったわ。
夜なのに何もかも色づいて綺麗に見えるの。
こんなに元気が出たことなんてないとおもう」
先生のテンションは最高潮のようだ。
顔も艶々して25歳には全然見えない。
美佳よりちょっと年上かなと思うくらいになっている。
「さあ、お風呂に入りましょ。天国に行かせてあげるから」
殺す気か。
でも先生と入ったお風呂は、本当に天国のようだった。
先生が僕の家を出たのは明け方だった。
結局、徹夜で先生の求めに応じてしまった。
僕の体力は底なしになってしまったのだろうか。
しかし先生の乱れっぷりはすごかった。
そして終わった後の恥じらいぶりは可愛かった。
僕は先生を好きになってしまったのだろうか。
「ああ、もう最高だった。
これで私もあなたの彼女候補という事でいいわよね。ねっ
さっそく今日にでも不動産屋に行こうっと。
あっ、今日は午後に部員を連れてくるからね。でも襲っちゃだめよ」
と言って先生は帰っていった。元気だ。僕はぐったりしている。
しかもマジで引っ越して来る気だ。
部屋は沢山空いてるけど、まずいんじゃないだろうか。
学校にも説明が必要だろうし、美佳たちが黙っているわけない。
もめることは必至だ。
だいたい白石先生も僕や美佳達に節度あるお付き合いをしなさいとか説教しといて、昨夜は裸で迫ってきたんだよな。
”精霊さん”のせいだとは思うけど、言ってる事とやった事が真逆なんだもんなぁ。
昨日初めて会って、徹夜でエッチとかおかしいだろ。まったく。
そして僕の家に住むなんて言ったら、さすがに美佳達だって怒るだろう。
さて寝るか。僕は午前中は寝てることに決めた。
そして午後になって、白石先生が4人の女子高生を連れて家にやってきた。