ep.050 am02:21 北海道札幌市中央区 テレビ塔下
am02:21 北海道札幌市中央区 テレビ塔下
男達は追い掛けているのが、何者かは知らされていなかった。
只、組の上層部より、“捕まえろ。生死は問わない”との指示が出ていたので、初めから殺るつもりでいたのである。
尤も、中には見た目の性別と中身の差に気付き、
《あれ、女だよな。だったら、姦りながら殺るのもいいか・・・。兄貴の許可さえ出れば、麻薬中にしちまって、ソープにでも・・・。くくっ》
等と不埒な事を考える輩もいた。
皐月は適度に姿を見せては、誘いを掛ける。
勿論、男達も黙って追い掛けている訳ではなく、容赦無く拳銃を何度も撃った。
男達は奇妙な感覚に襲われる。
《追い詰めているハズなのに、追い込まれている・・・。まさかな・・・》
《そろそろ仕掛けるか・・・》
皐月はテレビ塔の真横に走り込むと、男達を待つ。
息を切らせながら、汗だくになり男達は辿り着いた。
途中、皐月の陽動に在っているので、全員憤怒の表情である。
皐月を取り囲み、
「ようも、おちょくってくれたの、ワレ!」
「犯しながら、殺したるからのぅ」
男達は脅しを掛けた。
皐月は脱いだジャケットを右人差し指と中指で襟に掛け、そのまま右肩に乗せて状況を楽しんでいる。
口角を上げ妖しく微笑み、左手でゆっくりサングラスを外した。
サングラスをシャツの胸ポケットに仕舞い、ユックリと男達を見回す。
月に照らされた顔が、恐ろしい程に美しい。
「ふっ、いつになっても、下衆は下衆ね。いいわ。お前達に一度だけチャンスを上げる。“ブラッディ・メイ”の名に聞き覚えは?」
数人の男に動揺が走った。
一人の男が冷や汗を掛き、
「伝説の殺し屋やな。三年前の抗争で巻き込まれて、死んだって聞いたわ。それがどうやゆーねん」
皐月は、猫が鼠を弄ぶかの如く囁き、
「本当に死んだのかしら?誰か死体でも確認したの?ウフフ。でも、もう一つ伝説が在ったはずだけど?」
ある男は完全に思い出した様で、ゴクリと唾を飲み、
「“ブラッディ・メイ”の名前を聞いたなら直ぐに逃げろ、さもなければ待つのは確実な・・・」




