ep.041 am01:45 北海道札幌市中央区 ニュークラブCoCo
「マサル、お前んトコや」
近付いて来たボーイの一人が、奥に居た若いマサルと呼ばれたボーイに声を掛けた。
マサルは面倒臭さそうに、
「ウチ、もうすぐ今日は閉店なんすけど・・・」
皐月はサングラス越しに睨みつけ、
「“甲牙寺の住職”の紹介なんだが・・・。ここなら安心して酒が飲めると」
甲牙寺の住職と聞いた刹那、マサルを始め、周りのボーイ達の顔色が変わった。
マサルはビッと背筋を伸ばし、
「ごっ、ご住職の!それは、大変失礼しました」
深々と頭を下げると、
「お待ち合わせですか?ご住職は既にお越しで」
皐月は全く動じず、
「そうか。いや、たまたまだよ」
冷ややかに答えた。
しかし、内心では焦りを隠せずに、
《ちょ、ちょっと、聞いてないわよ。甲牙寺の坊さんが来てるの?仕方ない・・・。最悪、殺るか・・・》
もぞりと悪意無き殺意が、鎌首を持ち上げた。
マサルが、そっと皐月に声を掛ける。
「あのー、お客さん、店に案内します。こちらへ」
皐月は現実に引き戻され、
「あぁ、すまない。頼む。車はこのままでいいか?」
すると、恐らくCoCoと同じグループの店のボーイだろうか、少し年配の男が、
「お車は、斜め向かいの駐車場に入れさせてもらいます。鍵は直ぐにお届けいたしますので、それで宜しいでしょうか?」
皐月は頷くと、黙ってポルシェの鍵を年配の男に差し出した。
皐月はマサルに案内され店の中に進む、CoCoの中はシックに黒と赤で統一されている。
《雇ってるボーイの割には、思ったより感じのいいお店ね。問題は、この次・・・》
皐月が目を凝らして店の一番奥を見ると、作務衣姿に首から数珠をかけたかなり年寄りの坊主が、両脇に女を侍らせ座っていた。
年寄りの坊主は、皐月の姿を見るなり大袈裟に手を振って、
「おぉ、良く来たなぁ。こっちや、こっち」
皐月を招いた。
《!!!、この男、なんのつもり?》
疑念を抱くが、坊主の前に立つとサングラスを外し、頭を下げた。
坊主の両脇のホステス達が、皐月の顔を見るなり、
「すっごーい、男前」
「ほんと、めちゃくちゃイケメン」
ほぼ同じにため息を漏らしながら、歓喜の声を上げた。




