ep.019 pm11:28 北海道札幌市中央区 スキャンダル・セックス・スウィート
pm11:28 北海道札幌市中央区 スキャンダル・セックス・スウィート
男は、皐月の上から下までをなめ回す様に見て、
「俺がこの店のマネージャーやってる石山や。君、名前は?」
語り口は柔らかいが、見下した感のある話し方だ。
皐月はサングラスを外し、作り笑顔で偽名を名乗る。
「は、はい。と、鳶田弥生といいます」
「ふ~ん、弥生ちゃんね。ちょっと立ってくれる?」
皐月が立ち上がる。
石山は、弥生(皐月)がプロポーションが良い事に気付き、
《くくっ。この女、ちょっと身長高いけど、ええ身体してる・・・。散々楽しんでから稼いでもらうか》
そんな下衆な考えを浮かべていた。
石山はすっくと立ち上がると机の所に行き、引き出しから二枚の紙とペンを取り出す。
戻ってくると弥生(皐月)に差し出し、
「一枚はプロフィール、もう一枚は誓約書。まず、プロフィール書いてくれる?それを元に質問するから、それと身分証明出来るもの持ってるかな?出来たら免許証がいいんだけど」
弥生(皐月)はバッグを開け、財布の中から運転免許証を取り出す。
もちろん、千葉県公安委員会発行の本物だ。
「あのぉ、原付きのでいいですか?」
弥生(皐月)は、わざと不安げに差し出す。
石山は免許証を受け取り、
「鳶田弥生、3月生まれか・・・。ふんふん、この前、十九になったトコね。で、出身は千葉県浦安市猫・・・。これどう読むの?」
「猫実です」
弥生(皐月)は、笑って答えた。
石山は納得した面持ちで、免許証を返し、
「じゃ、俺、そこでタバコ吸ってるから、書けたら声掛けてよ」
石山は弥生(皐月)の胸元を見ながらソファーから立ち上がる。
《ん~、Dカップってトコか・・・》
オフィス机の椅子に座り直すと、引き出しからスポーツ新聞を取り出し、北海道日本ハムファイターズの特集記事を読み出した。
一方、皐月はプロフィール用紙を眺め、
《えっと、書くのは・・・、本名に、身長、スリーサイズ、それと性感帯で、後は・・・、これはオプションで何が出来るか丸を着けたらいいのね・・・。まっ、とりあえず、興味引く様に書いておこうかしら。フフッ》
皐月の瞳の奥で、悪魔がほくそ笑んだ。