新たな未来へ
数ヶ月後。
「この日を無事に迎えられて良かったですね、アオ様」
「ほんとですよね~…。結構大変でしたしね…」
あの後、お父さんやお母さん達の説得は以外とあっさりしていた。私が、ルーカス王子と結婚すると言うと…。
“ほら、やっぱりアオはルーカス王子とくっつくと思ってたのよね”
“涼華の予想は、本当によくあたるなぁ。まぁ、いいんじゃないか?俺達は、賛成するよ”
“えっ、本当に?”
“国王様”
“ん?何かな、ルーカス王子”
“アオ姫は、スクリプト王国の次期女王ですよね?しかし、俺と結婚すると…”
“あ、その問題なら解決してるだろ?”
お父さんが、何てことないように私に向けて言ってきて、最初は私もルーカス王子も分からなかったが、その後のお母さんの言葉で分かった。
“今回の事件で、身代わりの子を使ったでしょ?あれは、あなたが死なない限りはちゃんとあなたと同じように動くはずよ。実際、あなたがルーカス王子への気持ちを自覚して、気持ちが不安定になっても身代わりの子はぶれなかったでしょ?”
確かに…。気持ちを自覚した後、何度か身代わりの子を監察してるときに、気持ちが不安定になったりしても身代わりの子には、影響はなかった。
“大丈夫だよ、アオなら”
“うん、分かった。やってみるよ”
“ただし、式典や国の行事の時は戻ってくるのが条件だ”
“分かった”
て、感じでスムーズにいったんだよね。でも、ルーカス王子の方は大変だったな。
それはなぜか私の方への心配だった。
ルーカス王子で本当にいいのか、都合が良すぎるのではないか、ルーカス王子に脅されているのではないかと言われるしまつだった。
それを説得するのに、結構かかった。ほとんどのものをルーカス王子が聞いて、説得していたけど出来ない時は私も、ルーカス王子と一緒に説得したりもした。
その結果、なんとか説得することに成功した。
ジョイール国王夫妻には、愚息をよろしくお願いします。と言われた。
それから本格的に、結婚に向けて動き出した。結婚は、ナタリーが嫁いでから、ということになりまずは、婚約発表からとなった。
スクリプト王国とジョイール王国それぞれで行うことになった。
私が、ジョイール王国の王妃とスクリプト王国の女王、二つのことを担うことがすごく話題になった。
そして今日は、スクリプト王国での婚約発表だった。ジョイール王国での婚約発表は、国民達から温かい言葉や拍手、労いの言葉をもらった。
「こちらでの発表も、ジョイール王国の時のようにいくといいですね」
「きっとそうなるよ、お父さんの国の人達だからね」
「確かにそうですね。さ、出来ましたよ。そろそろ、ルーカス王子が迎えに来る時間ですね」
「うん、そうだね」
コンコン
「あ、噂をすれば、ですね」
リーンさんが、ニコニコでルーカス王子を部屋へ連れてきた。
「準備、出来たみたいだな」
「うん」
「…ルーカス王子」
ルディさんがルーカス王子の少し後ろで名前を呼ぶ、それに対して、分かってる!、とルーカス王子が返し、改めて私に向き直り少し頬を赤らめて…。
「綺麗だ…凄く」
「ありがとう、ルーカス王子もカッコいいですよ」
私がそう言うと、ルーカス王子はますます顔を赤くして、行くぞ、と照れ隠しのように、私を促した。
私は、ルーカス王子の腕に自分の腕を絡めながら、かわいいなぁ、とニコニコしながらルーカス王子と一緒に、婚約発表をする会場へと向かった。
私は、ホワイトのドレスに黒いレースの付いたものだった。髪の毛は、ゆるふわにしてもらい片方を銀色のバレッタで留めていた。
ルーカス王子も同じような色合いのタキシードだった。青い髪を自然な感じでセットされていた。
「あぁ、そういえばアンドリューから手紙が来てたぞ、祝いの贈り物と一緒に」
「あ、そうなんだ。元気そうだった?」
アンドリューにもあの後説明し、今では私ともルーカス王子とも親友のようになっている。
私達のことを話すと、やっぱりかー、と言っていた。雰囲気で、私達の気持ちを知られていたみたいだ。
「とりあえず、なんとかうまくまとまって良かったな」
「一時は大変だったもんね」
「まぁな」
だんだんと、国民の声が聞こえて来た。
国民達に囲まれた、ステージの袖で一度歩みを止めた私達。
ルーカス王子が、私の方を向く。
「頼りないとは思うが、これからは俺を頼ってくれよ。お前の行動は危なっかしいからな」
「だいぶ、頼りにしてるけどなぁ」
「お前の場合は、まだまだなんだよ。一応、夫婦になるんだからな」
頼りにされていなくて、少し怒ったように言った。それを見て、またかわいいと思ってしまったけど言うと、また怒るだろうから言わないが。
「これからは気を付けますよ、心配性な婚約者がいますからね」
「お前は……。約束だからな」
「分かった。さ、行かないと皆待ってるよ」
「よし、行くぞ」
「うん!」
少し心配性なルーカス王子と一緒に、また歩み始める。それは、これからの私とルーカス王子の未来への最初の一歩だ。
平成最後で、あと一話で止めておくのもどうかと思い投稿しました。
ようやく完結しました。長くなってしまってすみません。感想やご指摘、アドバイスなどありましたら嬉しいです。
ここまで読んで頂きありがとうございます。ブクマや評価もありがとうございます。
次の時代が、皆さんにとって明るいものになりますように。
セラ