105 第二十四階層
こんにちは(=゜ω゜)ノ
作者のくーねるでぶる(戒め)です。
今話から設定の一部が書籍準拠になります。
主な変更点は、
タスラム➔英知の歯車に名前が変更になった点。
ジルの身分が学生から平民になっています。学園には入っていません。
これは、24話でムノー侯爵により平民に落とされたからです。
それと、ジルのギフトが一部強化されています。
書籍版との大きな違いは、ジルベールが学園に入らなかったことです。
そのため、学園編の第二章はなし。ジルは自由にダンジョンに入ってアリスの学費を稼いでいます。
このあたりからまだ未発表の二巻の内容になるのですが、
アリスは学園に入っていて、コレットとお友だちになっています。
ジルベール、アリス、コレットはパーティを組んで一緒にダンジョン攻略する仲になっています。
バル・マスケメンバーとの関係は
エグランティーヌ:騎士見習いとして取り立てられる。
コレット:アリスのお友だちということで面識はある。
コルネリウス:エグランティーヌの騎士見習いの同僚
エヴプラクシア:一方的にジルがゲーム知識で知っているだけ。
こんな感じです。
把握のほどよろしくお願いします。
それでは、ジルと同じくらい、もしくはそれ以上にお楽しみくださると幸いです。
書籍もよろしくね(*ノωノ)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あはははははっははははっははははははははっははっははは!」
オレは笑いながら全力でダンジョンの第二十四階層の草原を走っていた。
途中、襲いかかってきたバレットラビットの群れも、ジェットウルフの群れも、バッファローの群れさえも殴り、弾き、カットしていく。もうオレの敵になるようなモンスターはこの階層には現れない。もう撫で切りだ。無双状態である。
「あははは! いやっふー!」
久しぶりにソロでダンジョンに潜ったけど、楽しくて仕方がない。
いろいろトラブルが続いたからね。仕方がないね。
久しぶりに心晴れやかな気持ちだ。さすがダンジョン。やはりダンジョンはすべてを解決してくれる。
他の冒険者パーティが遠巻きにオレを見ていたが、そんなの構うものか! オレは今を楽しみたいんだ!
いやぁー、モンスターのドロップアイテムが溜まる溜まる。バッファローのミルクなんて、もう二十本以上あるよ。それもまたオレのテンションを上げていく。
バッファローのミルクを使ったカトルカール、バッファローの恵みは、今やお茶のカトルカール以上の人気アイテムだからね。もちろんオレも大好きだ。
しかし、バッファローのミルクの市場供給量が少ないせいでなかなか作られないのが悩みなんだよなぁ。エミールも悲しんでいる。もちろんオレも悲しい。
やっぱり自分で獲ってくるのが一番手っ取り早いね。これでしばらくは安泰だ。
「せあッ!」
目の前のバッファローに左右のワンツーをぶち込み、左と後ろから迫ってきたバッファローを収納空間でカットする。右から突っ込んできたバッファローの突進をバックステップで避け、すれ違いざまに拳を叩き込む。
一撃必殺のカットの能力を多用してバッファローの群れを片付けていく。
しかし、カットは大量にMPを使う能力でもある。だからこうして途中でバッファローを殴ることも忘れない。
オレの着ている装備、白虎装備はかわいいとアリスとコレット、クーから大人気だが、もちろんそれだけの装備ではない。その真髄は攻撃した相手のMP吸収能力にある。
カットでバッファローを仕留め、殴ることでMP回復していく。このサイクルこそが白虎装備の強みだ。MPの消費を気にすることなく大技であるカットを乱用できる。
「ふぅ……」
突進してくるバッファローをカットで始末したら、静けさが身を包んだ。どうやらこれが最後のバッファローだったらしい。
「よっしゃ!」
草原に落ちているドロップアイテムを回収し、オレはまた走り出す。楽しすぎるからか、スキップが混じったようなぴょんぴょんする走りだ。オレの心もぴょんぴょんしている。
「お!」
草原をご機嫌に走っていると、白い山がのっそりと動くのが見えた。
「あれかな?」
オレは動いた山の方に進路を変更する。
するとだんだん山の麓が見えてきた。
「いた!」
白い雪山だと思っていたものの正体は、山ではなかった。その正体はバカデカい羊だ。暢気に草原の草を食べている。
優にその背の高さは四メートルはあるだろうか? そのくらい大きいという言葉では表現しきれないほど大きな羊だ。
マウンテンシープ:ゴメリー。それがこのデカすぎる羊の正式名称だ。本当に遠目には山に見えたよ。驚いた。
名前があるということは、こいつもレアポップモンスターだ。こいつを狩ることが、オレの今日の目標の一つでもある。
「行くぞ!」
そのあまりの大きさに足が止まりかけたが、興奮が勝ったのか、オレはゴメリーに向けて走り出す。
ゴメリーはまだオレに気が付いていないようだ。暢気に草を食んでいる。
オレはゴメリーの背中側に回り込んで、その小山のような背中を駆け上がる。山の頂上で大きくジャンプすると、オレは空中で前転するようにくるりと体を回転させた。
「迅雷!」
繰り出すのは電光石火の踵落としだ。オレの足は正確にゴメリーの頂上に着弾し、その分厚い毛皮を貫き、骨を軋ませる。
「BUMEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEA!?」
ゴメリーの鳴き声が、腹に響く重低音で響き渡る。クリティカルヒットってところかな。だが、さすが第二十四階層のレアポップモンスターだ。一撃では倒れないらしい。
ゴメリーはそのままのっしのっしと駆け出すと、まるでドリフトするように方向転換する。
ゴメリーの真っ黒な顔がオレを捉えた。
「BUMMEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!」
自分を傷付けた敵を見つけて興奮したように咆哮をあげるゴメリー。
しかし、ただの咆哮かと思えば、ゴメリーの口の周りに音符のようなエフェクトが現れた。
「しまっ!」
その瞬間、急激な眠気が襲ってくる。
きっとゲームだったら、ゴメリーの子守歌というメッセージが出ていただろう。
こんな咆哮のような重低音が子守歌になるのか。まるでヘビーメタルバンドのデスボイスだったぞ!?
「あ……」
だが、それがどんなに子守歌に似つかわしくなかろうと、その効果までは否定しきれない。
オレの瞼はだんだんと下がっていくのだった。
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