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楓と若葉と  作者: 高槻
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「順調に成長してます、だってー!」


 定期健診から帰ってきた楓は、嬉しそうだ。

 妊娠五カ月の楓のお腹は想像以上に平らで、今朝まで「大丈夫かなあ」と二人で心配していたのだ。


「なんかね、やっぱり最初はお腹の皮が固いから、なかなか大きくならないんだって」


「そっか、じゃあ大丈夫なんだね。良かった良かった」


「うん!ねー、早く大きくなってねー」


 お腹を撫でながら、楓は本当に幸せそうに囁いた。

 




 


 楓のお腹の子は、楓と私の子。

 そう思った所で、結局あの男と楓の子。

 そんな風に考える自分が嫌。


 出勤ラッシュには早い時間の地下鉄に運ばれながら、私の頭の中は鬱々としていた。


 私も妊娠したい。

 楓と一緒に成長したい。

 母になる楓を見ていると、私が一人、置いて行かれるようで。

 だって、私は楓ほど覚悟を決めていないように思えるから。

 育てる覚悟も、愛する覚悟も。

 生まれてきた子があの男に似ていたら、私は本当に愛せるのかしら。

 楓を悲しませた男に似た、子。


 馬鹿。


 自分に心の中で喝を入れて、ネガティヴな考えを追い出す。

 楓に似た可愛い子が生まれてくるに決まっているじゃない。

 それに、性格なんてのは家庭で作られるものだし、良い子に育つのは当然。何せ、手のかからないと言われた私と、可愛いと評判だった楓の子だもの。



 教師をしていると、多くの子供と接する。

 私はまだ担任を持ったことは無いが、授業だけでもそれなりに見えてくるものはある。

 真面目に授業を受ける子や、隣の子とちょっとお喋りしてしまう子、居眠りをする子、それを起こす子。提出物のきっちり書き込まれたものや、解答が丸写しのもの。それは生徒の外見だけで判断できるものではない。


 高校生ともなれば、表面上のにこやかな人づきあいが板に付く頃だ。同級生や部活仲間と波風を立てないような付き合い、そんなものをする時期なのだ。それが授業中の態度。度を超すと、やけに大人しい、教えるのに張りがないクラスになる。

 それは時に本心を隠してしまうこともある。

 

 私達の子供には、本心を隠すような大人になって欲しく無い。何時でも自分に素直であって欲しい。

 勿論、穏やかな生活は大事だけれど・・・。


 一人で鬱々と考え込んでいると、どんどん話が飛んでいく。

 丁度降車駅に着いたので、気分を一新させる心算で電車を降りた。 

感想等、お気軽にどうぞ。

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