第5話 東京観光
この物語は、足立未来高等学校に通う、栗原、五反野、牛田、垳、関屋の五人が繰り広げる、ほのぼの日常系・学園モノ小説である。(栗原シホ)
東武伊勢崎線のとうきょうスカイツリー駅の改札を出ると、垳さんが待っていた。
「栗原さんおはよう」
「おはよう垳さん、牛田さんたちと一緒に遊びに行くのは初めてだよね」
私たち五人は友達としての思い出作りのため、東京を観光することになった。秋葉原、渋谷、池袋、高尾山と、いくつか出た案の中で、最終的に足立区からアクセスしやすい場所として、私が出したスカイツリー・浅草に決定した。
「おお、栗原に垳。今日は思いっきり遊ぼうな!」
五反野さんが改札から出てきてそう言った。
「おまたせ!」
「おはよう」
と、関屋さんと牛田さんも来た。
「これで全員だよね?」
と、牛田さんが聞くと私がこう答えた。
「実はサプライズがあるの」
「えっ?どんな」
と五反野さんが聞いたときに…
「おまたせー!」
と、水色髪の女子がやって来た。
「誰?」
と四人が言うと…
「私は業平空。足立未来高校の1年C組です。今日は栗原さんに頼まれて、私の近所のスカイツリーや浅草を案内します」
と、答えた。
「実はガイドさんがいると観光らしくなるかなと思って、スカイツリーの近くに住んでいる人を探したら、業平さんの名前が出てきたのよ」
と私が言うと、牛田さんがこう言った。
「ガイドは大変だと思うよ。でもアタイ以外の四人は身長170cm台だから、アタイと同じ160cm台の業平さんが来てくれたことはうれしいかな」
「私たち背が低いですからね」
と業平さんが言うと、五反野さんが…
「アンタたちが低いんじゃなくて、オレたちが背が高いだけだろ?」
と言った。
「それでは、業平空による東京観光スタートです。まず駅を出たら左へ曲がって、東武橋が見えてきました。そこを左に曲がると東京スカイツリーが見えます」
業平さんについていくと、確かに東京スカイツリーが目の前に見えてきた。
「あそこの橋の上で写真撮ろうよ」
と牛田さんが言うと、業平さんが…
「おしなり橋ですね。でもまわりもちゃんと見て撮影しないと…」
「私が撮るから後でみんなのケータイに写メ送るね」
と私が言った。
「アタイの背中にぴったりくっつければ、他の通行人の邪魔にならないよ」
と牛田さんが言ったので、私は牛田さんの背中に自分の背中をくっつけた。
「牛田さん、どうしたんですか?顔が赤いですよ」
と業平さんが言うと、五反野さんがこう言った。
「気にしないでください」
その後無事に、スカイツリーの写真を撮ることが出来た。
「昔は業平も押上も特に何にもなくて、押上駅や、業平橋駅ぐらいだったもんだけれども、今じゃあスカイツリーがあって、すっかり観光地化しているよ。業平橋駅もとうきょうスカイツリー駅に改名し、区間快速・快速・特急も停車するようになったなあ」
と、業平さんがつぶやいた。
「こちらが吾妻橋でございます。墨田区と台東区を繋いでいる隅田川の橋です」
と業平さんが案内すると、五反野さんは思わずこう言った。
「うぉー!真っ赤だぞ」
続いて私が。
「あのビル、筋斗雲が乗っている」
と言うと、業平さんがこう答えた。
「あれはビールの泡をイメージしているんですよ」
すると牛田さんが思わず言った。
「へぇー。アタイてっきりウン…」
「それ以上はダメ!」
と関屋さんが、牛田さんの口を押さえた。
「向こう岸は浅草ですので、向こうでお昼食べましょう」
「うん、そうする!」
と牛田さんが言った。
全員一致でマクドナルドでお昼となった。業平さんは早速私たちが選んだハンバーガーを見た。
「私はチーズバーガーにお茶だけど、みんなは何を頼んだのかな?」
と業平さんが聞いた。
「私はチキンクリスプに白ぶどう」
と私。
「オレはダブルクォーターパウンダーチーズにコーラ」
と五反野さん。
「アタイはテリヤキマックバーガーに野菜ジュース」
と牛田さん。
「ウチはチキンフィレオに白ぶどう」
と垳さん。
「アタシはビッグマックに炭酸グレープ」
と関屋さんが答えた。
「個性的だね。とくに五反野さんと関屋さんはそういうイメージがある」
と業平さんが言った。
「ビッグマックをたいらげる女子なんて初めて見たよ」
と私がつぶやくと、五反野さんがこうつぶやいた。
「オレもそう思った」
すると…
「アタイもそう思った」
「ウチも思った」
「私も」
と次々言うので関屋さんはこう言った。
「あのねえ、ハンバーガーの種類に男女関係ないわよ」
「さて、こちらは『せんそうじ』の雷門ですよ」
と業平さんが言ったので、私はこう聞いた。
「戦争時の雷門だったら、今の雷門はどこ?」
「あのねぇ、『浅草寺』と書いて『せんそうじ』と読むのよ」
と垳さんが言った。
「え?『あさくさじ』じゃなくて『せんそうじ』だったの!」
どうやら私は今まで間違って覚えていたようだ。
「では写真撮ります」
と業平さんは私のケータイで写真を撮った。雷門前の道路の向こう側から1枚、雷門の目の前で1枚、それぞれ撮った。
「やっぱ遠くからのは浅草雷門っぽいね」
と五反野さんが言った。
「今日は人少なかったね」
と垳さんが言った。
「では最後にみんなで銭湯に行きましょう」
と業平さんが言ったので…
「やったぁ!」
と牛田さんが喜んだ。
「なんだ?やけにテンション高いなぁ」
と五反野さんがつぶやいた。
近くの銭湯に私たちはやってきた。
「さあ、銭湯で癒されましょう」
業平さんはそう言って中に入った。
髪を洗っていた私はふと業平さんと牛田さんの方を見ると、牛田さんが業平さんをじろじろ見ていた。
仕方がない…レズだからと、思っていると…
「どうしたの?牛田さん顔赤くして」
業平さんが牛田さんに聞いた。あわてた牛田さんは答えられなかった。業平さんは牛田さんに近づいて…
「牛田さん、もしかして…」
やばい!バレる…と思ったら、業平さんはこう言った。
「のぼせた?のぼせたなら、いったん脱衣場行きましょ」
と牛田さんと一緒に脱衣所に向かった。
良かった…私はほっとした。
すぐに二人は戻ってきた。そして業平さんは五反野さんに近づいた。
「背中流しましょうか?」
すると五反野さんは…
「おおありがとう」
と言った。すると、牛田さんが私に近づいてこう言った。
「栗原さんの背中流していいかな?」
「いいよ」
と私は言った。鏡からずっと牛田さんの顔が見えていたが、ずっと笑顔だった。
「牛田さんや関屋さんと一緒に風呂に入るのは初めてだよね」
垳さんがそう言って湯船に浸かった。
「ああ極楽だなあ」
と関屋さん。
「銭湯はいいよ、みんなでは入れるもん」
と業平さん。
「やっぱ気持ちいいよね」
と私。
「………」
五反野さんは黙っていた。
「どうしたんですか?」
と業平さんが聞くと、五反野さんがこう答えた。
「業平さんは良いよな、美乳で」
「そんなことないよう、五反野さんの方がびにゅうです」
と業平さんが言った。
「本当か?」
と五反野さんが聞くと、業平さんはこう言った。
「どう見ても五反野さんは微妙な乳で微乳ですよ」
「何言っているの、美しいほうの美乳って言ったんですよ」
と牛田さんが言い、垳さんもこう言った。
「本当のこと言っちゃダメです」
私は五反野さんを見ると、すっかり落ち込んでいた。
「オレはどうしてこういうネタが多いんだろうか?」
とつぶやくのであった。




