第4話 秘め事
この物語は、足立未来高等学校に通う、栗原、五反野、垳、関屋の四人が繰り広げる、ほのぼの日常系・学園モノ小説である。(栗原シホ)
前回、オレたちは人を避けている牛田を、なんとか打ち解けてもらって友達になろうとしたのだが、断られてしまった。オレたちは翌日から牛田とは距離を置くことにしたが、日に日にそれを縮めようと決心したのだった。(五反野アキ子)
あれから1週間が経った。私たちは少しずつ牛田さんとの距離が縮まってきたが、肝心なところまではまだ踏みこめられない。それは、人を避けるような様子だ。垳さん曰く『何かを我慢している』と、感じ取っているようだ。
「我慢はいけない、やりたいことをやろう。そう思えば良いのに、どうしてふさぎこんでしまうの?」
と垳さんがつぶやくと、関屋さんが…
「アタシ…頼んでみようと思う」
と言った。すると五反野さんがこう聞いた。
「誰に頼むんだ?」
「中川先生。先生なら何か聞き出せるかもしれないよ」
と関屋さんが答えた。垳さんは…
「ウチは賛成。ただし怪しまれない程度にね」
五反野さんが…
「オレも賛成だな」
と言うので、私は…
「牛田さんはなんと言っても同じB組のクラスメイトだから。何か困っていることがあれば助けなくちゃ!」
と言った。
「よし!全員一致で可決。じゃあ誰が中川先生に言いに行くの?」
と五反野さんが言うと、垳さんが…
「言い出した関屋さんが行くべきでしょう」
と言った。
「そうだね。じゃあアタシ、行ってくる」
と、職員室のほうへ行った。
しばらくして関屋さんが戻ってきた。
「みんな、落ち着いて聞けよ、アタシと中川先生が話しているのを、偶然教頭先生が聞いていたようで、急遽朝のホームルームの最初のほうをやってくださるそうだ」
「教頭先生か…インパクトはあるね」
五反野さんが言った。
朝のホームルームの時間になった。いつものように佐野先生と中川先生が入ってくるが、その後ろから教頭先生が入ってきた。私たち四人以外の生徒は驚きを隠せない。
「えー、教頭の西新井です。皆さんは人間関係というものをまじめに考えたことはありますか?友達を作るということは今後社会に出て、上下関係に対応できるようになるためのいわゆる、練習の場ですよ。高校卒業後に職場で働く人も出ると思います。ですから、そういう基本的なことをしっかりしてください」
教頭先生の話はスグに終わったが、果たして牛田さんに効果があったのだろうか?
「さあ、そろそろ学校も慣れてきたと思うし、席替えしよう」
と、佐野先生が言った。私たちは窓側の席になった。窓側の一番後ろの列の右に牛田さん、左に関屋さん。その前の列の右に私、左に五反野さん。その前の列の右に垳さんが座った。
「あら、アタシと隣になっちゃったね」
と関屋さんが言うと牛田さんが小声で言った。
「別にかまわないけど」
「やった、また隣だ!」
と、私は五反野さんと隣になれたのを喜んだ。
「舎人君、よろしく」
「おお、垳さんよろしく」
垳さんの隣には舎人春樹君という男子が座った。谷中君と違っておとなしそうな男子だった。
「オレたちこれからどうする?このまま気まずい生活を強いられなきゃいけないのかな?」
と五反野さんがつぶやいた。
昼休みの時間、弁当を食べ終わった牛田さんのそばに中川先生が、やってきてこう言った。
「ちょっと牛田さん、来てもらえるかな?」
牛田さんはそのまま中川先生と一緒に教室を出た。
「これでどうなるかなぁ…」
関屋さんがつぶやいた。
しばらくして、牛田さんと中川先生が戻ってきた。
「ちょっと関屋さんたちも来てもらえるかな?」
と言われたので、私たち四人は先生についていった。誰もいない備品室で先生が話し出した。
「牛田さんには秘密にしている秘め事があるみたい。でも本人から聞きだせなかったから、関屋さんたちのことを話したの。そうしたら牛田さんは、関屋さんたちが誰にも話さないなら秘め事を打ち明けても良い、と言っていたよ。だから放課後にこの備品室に来てくれるかな」
「もちろんです」
と、私が言うと、五反野さんは…
「じゃあ放課後だね」
と言った。
「どんな秘め事でも受け入れる覚悟でね」
と垳さんが言った。
放課後、誰もいない備品室に私と五反野さんと垳さんと関屋さん四人が入っていくと、牛田さんが待っていた。
「ごめんね皆。この秘め事を知った人たちは皆アタイからはなれていってしまった過去があるから、なかなか話せなかったんだ。でも中川先生から皆のことを聞いて、大丈夫かな、と思ったんだ」
「つらい過去があったんだね」
と垳さん。
「オレたちちょっと無神経すぎたかもしれないな」
と五反野さん。
「アタシも過去嫌なことあったし、その気持ちはわかるよ」
と関屋さん。
「大丈夫、どんな秘め事でも受け入れるから」
と私。そうしたら牛田さんは…
「ありがとう皆、実はアタイは皆と違う感覚があるんだ。その感覚っていうのは恋愛の感覚なんだ」
「つまりどういうことだ?」
と五反野さんが言うと、牛田さんがこう言った。
「実はアタイは…レズなんです」
「えええーーー!!!」
三人が驚いていたが私は…
「レズって何?」
と聞いた。私が『レズ』の意味を知らなかったからだ。
「正式名称『レズビアン』とは、女子の同性愛のこと」
と垳さんが答えた。
「つまり男子でいう『ホモ』と一緒か」
と私が言うと、牛田さんは…
「皆レズと聞くと大体、ガチレズのイメージしかないから、それで敬遠しちゃう」
「つまりは軽いレズもあるってことか」
と五反野さん。
「大丈夫よどんな秘め事でも受け入れるって言ったじゃない」
と私が言うと、牛田さんが…
「ありがとう!レズを受け入れる人なんて今までいなかったからー」
と、私に飛びつき私たちは抱き合った。
「よほど今までレズを否定されていたんだね」
と関屋さん。
「熱烈すぎるハグだぜ」
と五反野さん。
「やっぱり、我慢は良くないね。今の牛田さんはイキイキしているから」
と垳さん。
「うーん…よく分からないけれど、案外こういうのも悪くないね」
と私。
「ありがとう、ありがとう、ありがとう。もうアタイは皆の友達になれたかな?」
と牛田さんが聞くと、私は答えた。
「うんうん、なれたよ、私たちは友達だよ。五人の仲間だよ」
「そろそろ、家に帰ろうか」
と五反野さんが言うと、垳さんは…
「そうだね、長居するわけにはいかないからね」
「今日は話しながら帰ろうな」
と関屋さん。
「友達っていいものだね」
と牛田さん。
「何言っているんだ。まだ始まったばかりじゃないか」
と五反野さんが言うと、私が言った。
「そうだよ、まだ始まったばかりだよ。私たちの足立ライフは」
私たちはその後、学校を後にした。
北千住駅の近くで私たちは、メールアドレスの交換をした。牛田さんがあることを言った。
「改めて自己紹介しますか」
「そうだね、私は栗原シホ」
「オレは五反野アキ子」
「アタイは牛田エリ」
「ウチは垳ケイ子」
「アタシは関屋ケイ子」
皆が言い終わると私はこう言った。
「よろしくお願いします!」
とここから私たちの友情が始まったのであった。
翌日、私たちの変化を早速気づいた人がいた。
「君たち、いつの間に仲良くなっているね」
と、舎人君が言った。
「よく気づいたね。さすが舎人君」
と、垳さんが言った。
「今度の休み、どこか遊びに行こうよ!」
と私が言うと、五反野さんはこう言った。
「そうだな、オレはおもしろいところに行きたいぜ」
「秋葉原!」
と牛田さん。
「渋谷」
と、関屋さん。
「後で決めておく」
と私が言った。結果的に皆で話し合うのであった。




