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第21話 五反野さんの恐怖体験

挿絵(By みてみん)


 この物語は、足立未来高等学校に通う、栗原(くりはら)五反野(ごたんの)牛田(うしだ)(がけ)関屋(せきや)の五人が繰り広げる、ほのぼの日常系・学園モノ小説である。(栗原シホ)


 夏休みも残り少なくなってきた。

オレは最近特に旅行とか行かないけれど、外出自体はよくする。

今日もそうだし。


 …そして夜。

この時期は怪談話で盛り上がるようだが、オレは興味ない。

今日もいつも通り布団に入って寝る。


 …そして朝。

オレの今日の朝食はパンとヨーグルトだった。

ふと、その横に謎の物体が置いてあった。

「なんなんだ?これは」

よく見るとラムネだった。

「パイン味か?パインの匂いがするぞ」

オレは一口で食べた。


 …ココは?

気が付くと地面に横たわっていた。

まわりは巨大な草がはえていた。

「オレ、小人サイズになっちまったのか?」

オレは混乱した。なぜそんなサイズになっちまったんだろうか?

オレはひとまず先へ進む。

もしかしたらスタジオのセットかもしれないと思って。

すると目の前の草が動いた。

目の前に誰かいるのか?

「オーイ出てこい!」

オレが言うと出てきたのは…

青虫だった。

「え…本物?え…でかいよ?オレはホントに小さくなったのか…」

青虫が近づいてきた。

「ぎぇぁぁぁ!虫ーーー!!」

オレはあわてて逃げ出した。

オレは昔から大の虫嫌い。

だから全力で逃げていった。


 …青虫はもう見えない。

「死ぬかと思ったぜ」

オレは一安心した。

さて問題がひとつある。

「どうやったら元に戻れるんだ?」

原因はあのラムネだと思うが、ラムネ食ってから地面に倒れていた間の記憶が抜け落ちている為、真偽はわからん。

ガサガサ

「え?」

オレは不安になった。

またさっきの青虫みたいなサイズの虫が出てくるのか?

オレが後ずさりをすると、草の中からさっきの青虫が出てきた。

「うぎゃぁぁぁ!青虫!」

オレはふたたび逃げた。


挿絵(By みてみん)


今回も全力で。

しかし今回はあきらかに青虫はオレのあとをずっとつけていっている。

「らめぇ!らめぇ!ついて来ちゃらめぇ!」

オレが走り続けていると、今度は目の前に蟻の群れが見えてきた。

「ひぃぃぃ!蟻!」

オレは急いで茎を登り、花弁の上に避難した。

今度こそ一安心だぜ。


 …そのまましばらく花弁の上にいると、目の前に何かが見えてきた。

「あれって、蜂?」

蜜蜂がこっちに向かって飛んできた。

「ふぉぁぁぁ!蜂!」

オレは急いで茎を使って下へ降りる。

「もうやだこんなの!」

オレはまた走った。

…雀蜂じゃなかったのが不幸中の幸いだけどな。


 …どこまで逃げたんだろう?

「とにかく元に戻る方法を考えんきゃ」

オレはふたたび考えた。

しかし、良い案は浮かばず…

ガサガサ

「ひ!」

もうやめてくれよ!このパターン!

出てきたのはミミズだった。

「ぽぁぁぁ!ミミミミミミミミズ!らめぇ!らめぇ!じぇったいらめぇ!」

オレは数ある虫の中でも、ミミズと蛾が絶対的に苦手だ。

オレは急いで逃げる。

しかしあちこちからミミズがひょこひょこ現れ、さらに空から蛾が数頭やって来た。

「うげぇぇぇ」

オレはあまりの気持ち悪さに、吐いてしまった。

それに群がるミミズと蛾。

「今のうちに逃げるぜ」

オレはなんとか逃げ出した。


 …もう、やだぁ!こんなの…

オレはどうしたら良いのか考えた。

元に戻れるように強く念じた。

ガサガサ

「今度はなんだ?」

出てきたのはバッタだった。

「ホッパー!いやぁ!」

さらにダンゴムシも出てきた。

「うひゃぁぁぁ!」

そして空からテントウムシと蝶もやって来た。

「バ…バタフラーイ…」

オレはもう、一目散に逃げた。

ところが目の前に巨大な蜘蛛の巣が…

「いやぁ!落ちるぅ!」

そのまま蜘蛛の巣に落ちた。


挿絵(By みてみん)


 オレはなんとか脱出して、近くの地面に降りた。

しかし、蜘蛛が追いかけてくる。

「マンスパイダー!追いかけないでぇ!」

オレは必死に逃げる。

だがとうとう追いつかれてしまい、大量の蜘蛛の糸を浴びた。

「やめて…!オレに乱暴する気でしょう?エロ同人みたいに!」

何を言っても相手の蜘蛛には通じず、さらに蜘蛛の糸を浴びる。

「う…」

オレはそのまま気を失った。


 …あれ?ここは家の中か?

気が付くといつもの布団の中だった。

オレの今日の朝食はパンとヨーグルトだった。

ただ、謎のラムネは無かった。

「夢だったのか」

オレは一安心した。

すると牛田から電話がきた。

「昨日の足立クリーンマンの活動楽しかったよ。栗原さんと3人でやったけれど、五反野さんも行けば良かったのに」

「今それどころじゃない!」

「えー」

その後に栗原からも電話があった。

「クリーンマンの話なら牛田から聞いたぞ」

「違うの、五反野さんって虫まだ嫌い?」

「…うん」

「じゃあ、克服するために私と一緒に昆虫採集しようよ」

「だが断る!」

「えー」

その後に垳からも電話があった。

「垳?なんか用か?」

「一緒に虫の生態系について調べない?虫嫌い克服できるかも?」

「いやぁ!」

「え、ちょ…」

…なんだみんなして。


 翌日、オレは栗原と牛田と垳を家に呼んだ。

「オレ、悪夢を見たんだ。内容は小人サイズになったオレが虫に追い掛け回されるもので…」

「あら、五反野さんも悪夢を?ウチも見ましたよ。荒廃した街を走りぬけて、最後は車掌風の人にノコギリで体をバラバラにされかけたのよ」

「アタイも見たよ。レズ撲滅天使が次々とアタイにゆかりのある人たちを殺しちゃうんだ」

「何だ、みんなも悪夢を見たのか」

「へ?私は毎日ハピネスな夢よ」

「オイオイ、オレ達と違って平和だな」

「そういえば関屋さんは?」

垳が言った。

「家族でバカンスを楽しんでいるらしい」

とオレが答えた。

「関屋さんも関屋さんで楽しんでいるんだね」

と牛田。

…刻々とオレ達の夏休みが終わろうとしているのであった。

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