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第19話 垳さんの恐怖体験

挿絵(By みてみん)


 この物語は、足立未来高等学校に通う、栗原(くりはら)五反野(ごたんの)牛田(うしだ)(がけ)関屋(せきや)の五人が繰り広げる、ほのぼの日常系・学園モノ小説である。(栗原シホ)


今月は恐怖体験シリーズだぜ!(五反野アキ子)


 夏休みという事なので、ウチはお母さんと一緒にお台場に来ていた。あるイベントに参加する為に…

そして帰り道…

8時ちょっと前くらい。

台場駅からゆりかもめで新橋駅、そこから山手線で秋葉原駅、そこからつくばエクスプレスに乗った。

つくばエクスプレスに乗っている間にウチのまぶたが下がってくる…


 気が付くとウチは駅のホームのベンチに横になっていた。

「!」

駅名標を見ると『20 つくば』と書いてあった。

「え?何で、お母さんは?」

ウチは慌てた。つくば駅と言ったらつくばエクスプレスの終点。

こんな所にウチ一人だけってどういう事?オマケに発車標が表示されていない。

「お母さん!どこ?」

ウチは必死に叫ぶも返事は帰ってこなかった。

お母さんに何かあったのかな?

ウチは必死にホームを走り回り、お母さんを探した。

だけどもお母さんはいなかった。

「どうして…お母さん…」

ウチが途方に暮れていた時…

「お客さん、困りますよ車内で寝るのは」

突然後ろから車掌風の男性が近づいてきた。

「え?」

ウチは驚いた。

…と言うのもこの車掌、右手に日本刀みたいなものを持っているのだ。

「ちょっと…その…何ですか…ソレ…」

ウチが言うと、車掌風の男が答えた。

「ああ、これからキミには死んでもらうよ」

「え?」

突然何を言い出すの?この車掌は…

「母親はもうこの世にいないよ、なぜなら先ほどワタクシがこの刀でバラバラにしたんですもの」

「!!」

…お母さんが、そんな…

「キミもバラバラにしますか」

…え?

「い…嫌だぁ!!」

ウチは急いで階段を駆け上がる。

しかし、上にあったのは改札口ではなく森だった。

「どうなっているの?」

ウチはさらに困った。

ウチはとにかく逃げるしかないと思い、森の中へ入っていく。


 だいぶ走った。どれくらいの時間が経っただろうか?

後ろを振り返るが誰もいない。

ウチがふたたび前を見ると、突然謎の男が襲い掛かって来た。

「!!」


挿絵(By みてみん)


ウチは避けれなかった。その男はウチの服を引き裂いた。

「車掌の命令で捕まえに来ましたよ」

…何を言い出すの、この男…

「キミを生まれたままの姿にしちゃおうか?」

「絶対嫌!」

ウチはその場から逃げた。


 なんとかさっきの男が見えない所まで逃げてこれた。

「どこまで逃げれば良いんだろう」


 ウチはあてもなくひたすら先へ進む。

かなり時間が経っているはずである。しかし一向に夜が明けない。

…どうしてだろう?

ウチは携帯電話を取り出した。

しかし圏外だった。

…まぁ、当然でしょうね。

ウチはさらに進む。


 しばらく歩くと川が見えてきた。

…もしかしたら人里に降りれるかも。

ウチは川の流れをよく見て川沿いを歩く。


 しばらく川沿いを歩くと小さな湖にたどり着いた。

歩き疲れたウチはその場でうずくまる。

…いつになったらこの森をぬけだせるの?

…早く助けを求めなきゃ。

ウチはふたたび歩き出した。


 湖の反対側はいくつもの川が分岐していた。

ウチはその中から1本の川を選んで進んだ。


 川沿いをずっと追っていくと、だんだん下り坂になっていく。

…もしかして、人里が見えてくるかも?

ウチは期待しながら降りて行った。


 ずっと追って行くと、遥か彼方に町のようなものが見えてきた。

…やった、やっと見えた。

…やっと助けを求めることが出来る。

ウチは先を急いだ。


 すでに12時間くらい経過しててもおかしくないはず、しかし夜のまま。

さすがのウチも怪しいと思った。

携帯電話の時刻表示は朝11時を指していたから。


 ようやく町の入口らしき所にたどり着き、町へ入っていく。

しかし町は廃墟だった。人が全然いない。

「どうです、荒廃した足立区は」

「!!」

見るとあの車掌が目の前にいた。

「キミもアレに見覚えあるだろ?」

「まさか…千住ミルディス」


挿絵(By みてみん)


「その通り、よくここまでたどり着いたねぇ」

途端にウチの体中にツタのようなものが巻き付いた。

そしてウチは意識を失う。


 …ウチはそのまま、捕まってしまった。

「どこからが良いかな?腕?足?それとも首かな?」

「お願いやめて!」

ウチは必死に抵抗した。

この車掌、巨大ノコギリを持っているから。

しかしいくらジタバタしても、ツタはちぎれない。

このままではウチはバラバラ死体にされちゃう。

それだけは何としても回避しなきゃイケナイのだが、脱出する方法が無い。

車掌は近づいてくる。

ウチは必死に逃げようとするが、動けない。

「さーて、これでゴリゴリと切ってやるとするか」

そう言って車掌はウチの腹をノコギリで切ろうとする。

「ダメ―!」

ウチは必死に叫んだ。


 …え?

気が付くと自分の部屋にいた。

どこもケガしてないし、引き裂かれたと思っていた服も普通に着たままだった。

時計は朝8時を指していた。

「よく寝たなぁ…」

…悪夢だったんだよね、コレ。

…夢で良かった。


 携帯電話が鳴る。

栗原さんからだ。

「もしもし」

「もしもし垳さん。今日の11時から2人で千住ミルディスに行こうよ」

「千住…ミルディス…やめときます」

「えー?なんでー」

そのまま切る。


 …また悪夢を思い出しちゃうじゃない。

ウチはしばらく、千住ミルディスには行けないかも…


 今日は親もいないので1人だ。

ウチはとりあえず心を落ち着かせた。

明日は栗原さんとどこかに行きたいなと思ったのであった。

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