表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/117

華出井 葵(12)と願いの井戸 85

 思わず、京護の抵抗が止まる。

 影は一つ一つ関節など確かめながら、拘束を増やしていく。

 一つの手が、京護の心臓を指した。


【【お前が死なない理由の一つに、お前の願いが使われている】】


 風を切る音が、部屋に鳴り響く。

 京護にだけは、こう聞こえた。

 

【【死にたくないと願ったな】】


 それは、華出井当主によって、井戸に落とされた時の事。

 命の終わりに抗った、懇願。

 影にとっては、始まりの願い。


「……死にたくないから、死なないって事?」


【しな ナイ ちがう】


【【お前はワシが使った最初、負荷に負けて死んでいる】】


【おまえ シンダ】


【【ワシが使えるように、命を繋ぎなおした】】


【わし ツナグ おまえ イキタ】


【【いじった】】


 影は、あえて誰にでも聞き取れる声と、京護にだけ分かる言語で交互で話した。

 両方を理解する京護にとっては、輪唱であり壊れたレコーダーであり、呪いの言霊のごとく、聴覚に響き渡った。


【で キ ない ナイ】


【【何も出来ない。ではない】】


 京護の心臓を指した手は、首を指した。


【【お前たちの言う呪いより早く、ワシは息子を繋げられる】】


 京護の頭を後ろから掴んだ手を離し、同じ手で頭を撫でる。


【【呪いは、後付け。

 死にたくないは、根本。

 ワシへの制限は関係ない。ワシが息子を生かす】】


 首を指す手は、手の平一杯に、一つ目を見開いた。


【だから シ ない】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ